塚田佳男
日本歌曲の第一人者、塚田佳男先生の公開レッスン。
通常のレッスンは先生との一対一(ピアニストを伴って)。
そのレッスンを公開で行う。
今回は松尾芭蕉「おくのほそ道」より、
一家に遊女も寝たり萩と月
雲の峰いくつ崩れて月の山
曲は野澤美香の書き下ろし曲。
塚田先生に前もって楽譜を送っておく。
先生は日本歌曲のどんな曲でも熟知されているが、
委嘱作品のため、事前に楽譜をお届けする。
いつも、じつに丁重に譜読みをされて。
ここでのレッスンは
いかに<曲>としてつくってゆくかで、
通常のレッスンの「譜読み」、「声」、
などはできている前提となる。
「萩と月」ではメロディーを打ち出す、
その旋律のラインをくっきりとさせる。
ピアノもやわらかさときっかり出すところの緩急。
「月」の発音、「tu」の「t」をかなり長く、
そこから母音の「u」をいれる。
これがなかなか・・・
この「月」が言えると
格調のある「月」となるのだが・・・
「雲の峰」
塚田先生をして「難しいね!?」と言わしめた曲。
ピアノの楽譜、3段で、
手が3本あると弾ける(笑)。
変拍子、スラーの多用、
たくさんの装飾部音符、拍がとりずらい、etc。
和音も一筋縄ではいかない音が続く・・・
山の稜線を打ち出す、
雲の断片が重層的にたち現れる。
など貴重なアドバイスをいただく。
このレッスンはコンサート本番と
同じくらいの緊張・集中を要求されるが、
得難い充実したもの。