象潟や雨に西施が合歓の花 芭蕉
(きさがた) (せいし) (ねぶ)
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「何と魅惑的な象潟の情緒であることよ。
それはさながら、雨に濡れて咲いている合歓の花のように、
憂愁をたたえてまぶたを閉じている西施の風情である」
蘇東坡が西湖の美景を西施の美貌にたとえたのに倣う。
「西施が眠り」に「合歓」(葉を閉じる)を
言いかけて比喩を重層させた。
新潮古典集成「芭蕉文集」より
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松島は笑ふがごとく、
象潟は憾(うら)むがごとし。
曲は委嘱作品:野澤美香による。
シノワズリの印象的な和音づかい、
雨にけぶる気を、情緒をかもす曲。
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<合歓の花・ねぶの花・花合歓・合歓咲く>
マメ科の落葉高木。
山野に自生している。
7月ごろ開花するが、
紅色の多数の雄しべが美しく、
涼しそうな羽状複葉とよく釣り合う。
葉は夕方閉じ、花は夕方開く。
夏の季語。
以前、
家にかなり大きい合歓の木があって、
けぶるような花と閉じて眠る葉が
とても不思議でした。