俳句を読む Ⅳ  @ 金子兜太主宰誌「海程」490号 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



俳句鑑賞、もうひとつはこちら。

二句の鑑賞で次数は400字。

こちらは一行短くして。

()はルビ。





  でろでろと長々し夜を一人かな       中田里美
 


「でろでろ」にやられた。

「とろとろ」でも「どろどろ」でも

「てろてろ」でもない「でろでろ」。

不気味さとある図太さ。

このオノマトペは

歴史的に積み重ねられた「秋の夜長」の情緒を軽く一蹴する。

しれっとひとり存(あ)在る。

「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の長々し夜を独りかも寝む」と

柿本人麿は詠ったが、

よもや「ひとり寝の夜」がでろでろと長い」とは

思わなかったに違いない。

でろでろ。