
能「熊野(ゆや)」を2013年2月2日に上演。
それに先立ち、ワークショップの開催。
講師は下平克宏(しもだいらかつひろさん。
氏はシテ方観世流準職分。 重要無形文化財総合指定保持者 。
(社)能楽協会会員。 (社)観世会会員。 正派音楽院講師。
上毛芸術奨励賞特別賞 受賞。 1958年高崎市出身。
なんと100人の受講生。
今回は第2回(1回目はコンサートの日で参加できず)。
ちなみに
第1回は「熊野」その人間模様
曲目の解説を手島仁(群馬県立歴史博物館)さんが、
そのプリントをいただく。
「熊野」にみる無常感 その美的感性」
すぐに「熊野詞章(台本)」を読みながら、
場、熊野、平宗盛の心模様・心情などをひも解かれる。
熊野の老母の手紙を読むくだり、
宗盛の熊野を帰したら、
もはや会えないのではという無常感(この後、平家は壇ノ浦で滅亡)。
和歌を書く動作のリアルな表現だと語る。
その場面場面を映像で見る。
なんと全員で謡の稽古。
「四条五条の橋の上・・・」と
お祝い事のときの
「四海波静かにて・・・」。
充実の1時間45分。
下平克宏 ホームページ
http://www.ennou.jp/
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◆能「熊野」
遠江の国(現在の静岡県)、池田宿の女主人である熊野(ゆや)は、
京の都で、平家の公達で権勢を振るう平宗盛(たいらのむねもり)に
仕えています。
このところ故郷の母の病状が思わしくないと聞き、
故郷に帰りたいと、休暇を願い出ますが、
宗盛は今年の花見までは一緒に過ごそうと言って、
聞き入れません。
その頃、熊野の一家の侍女である朝顔が、
母の手紙を持って訪れます。
文には、病状が思わしくなく、
今生の別れが来る前に一目でも会いたいという
切々とした母の願いがしたためられていました。
一刻も猶予はないと熊野は、
母の手紙を宗盛に読み聞かせ、
帰郷の許しを一心に願います。
しかし宗盛は、許すどころか
清水寺の花見に同行するように命じます。
春爛漫の中、楽しげな都の人々の様子を見ても、
熊野の心は故郷への思い、母への気遣いで沈みがちです。
心ならずも酒宴で舞を舞っていると、
急に村雨が来て、花を散らしてしまいました。
これを見た熊野は、母を思う和歌を一首読み上げました。
その歌はかたくなな宗盛の心に届き、
ようやく帰郷が許されます。
熊野は、宗盛が心変わりしないうちに、
と急いで京を発ちました。
◆見どころ
この能は、平家物語の巻十に語られた、
平宗盛と愛妾熊野のエピソードに肉付けした現在能です。
「松風」と並び昔から人々に親しまれ、
「熊野松風は(に)米の飯」と言われるほど、
飽きのこない面白さが称えられてきました。
話の内容は、平宗盛という権力者に
翻弄される美女の姿を描いていますが、
この能の最大の魅力は、
明るい春の情景と熊野の暗く沈む心象風景という
光と影を際立たせて、
物語に深みを与えているところでしょう。
清水での花見の道すがら、
車窓からの風景を美しい詞章の連なる謡で描写し、
その情景に熊野の心の揺れを重ねるように、
謡、舞が織り込まれ、秀逸です。
the 能 com より引用