能ワークショップ @ 群馬県民会館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

$「月球儀」&「芭蕉座」                          俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ-熊野


能「熊野(ゆや)」を2013年2月2日に上演。

それに先立ち、ワークショップの開催。


講師は下平克宏(しもだいらかつひろさん。

氏はシテ方観世流準職分。 重要無形文化財総合指定保持者 。

(社)能楽協会会員。 (社)観世会会員。 正派音楽院講師。

上毛芸術奨励賞特別賞 受賞。 1958年高崎市出身。


なんと100人の受講生。

今回は第2回(1回目はコンサートの日で参加できず)。

ちなみに

  第1回は「熊野」その人間模様

曲目の解説を手島仁(群馬県立歴史博物館)さんが、

そのプリントをいただく。

 「熊野」にみる無常感 その美的感性」


すぐに「熊野詞章(台本)」を読みながら、

場、熊野、平宗盛の心模様・心情などをひも解かれる。

熊野の老母の手紙を読むくだり、

宗盛の熊野を帰したら、

もはや会えないのではという無常感(この後、平家は壇ノ浦で滅亡)。

和歌を書く動作のリアルな表現だと語る。


その場面場面を映像で見る。


なんと全員で謡の稽古。

「四条五条の橋の上・・・」と


お祝い事のときの

「四海波静かにて・・・」。


充実の1時間45分。


下平克宏 ホームページ
http://www.ennou.jp/


href="http://stat.ameba.jp/user_images/20121216/22/bashouza/d6/31/j/o0200030012333400792.jpg">$「月球儀」&「芭蕉座」                          俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ-下平克宏







~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


◆能「熊野」

遠江の国(現在の静岡県)、池田宿の女主人である熊野(ゆや)は、

京の都で、平家の公達で権勢を振るう平宗盛(たいらのむねもり)に

仕えています。


このところ故郷の母の病状が思わしくないと聞き、

故郷に帰りたいと、休暇を願い出ますが、

宗盛は今年の花見までは一緒に過ごそうと言って、

聞き入れません。


その頃、熊野の一家の侍女である朝顔が、

母の手紙を持って訪れます。

文には、病状が思わしくなく、

今生の別れが来る前に一目でも会いたいという

切々とした母の願いがしたためられていました。


一刻も猶予はないと熊野は、

母の手紙を宗盛に読み聞かせ、

帰郷の許しを一心に願います。


しかし宗盛は、許すどころか

清水寺の花見に同行するように命じます。


春爛漫の中、楽しげな都の人々の様子を見ても、

熊野の心は故郷への思い、母への気遣いで沈みがちです。


心ならずも酒宴で舞を舞っていると、

急に村雨が来て、花を散らしてしまいました。

これを見た熊野は、母を思う和歌を一首読み上げました。

その歌はかたくなな宗盛の心に届き、

ようやく帰郷が許されます。


熊野は、宗盛が心変わりしないうちに、

と急いで京を発ちました。




◆見どころ

この能は、平家物語の巻十に語られた、

平宗盛と愛妾熊野のエピソードに肉付けした現在能です。


「松風」と並び昔から人々に親しまれ、

「熊野松風は(に)米の飯」と言われるほど、

飽きのこない面白さが称えられてきました。


話の内容は、平宗盛という権力者に

翻弄される美女の姿を描いていますが、

この能の最大の魅力は、

明るい春の情景と熊野の暗く沈む心象風景という

光と影を際立たせて、

物語に深みを与えているところでしょう。


清水での花見の道すがら、

車窓からの風景を美しい詞章の連なる謡で描写し、

その情景に熊野の心の揺れを重ねるように、

謡、舞が織り込まれ、秀逸です。


                 the 能 com より引用