こんにちは
すっかり10月になり気温も秋らしくなってきましたね
今回は、前回の体外受精に引き続き
もう一つの受精の方法である顕微授精(ICSI)についてです
顕微授精(ICSI)は、一つの卵子に対して一つの精子を選び、細い針を卵子に刺し入れて、得られた受精卵(胚)を一定の時期まで成長させてあげる方法です
メリットとしては
・精子数、運動率が低くても受精させることができる
・精子の形態を選別して受精させることができる
・抗精子抗体など、受精障害をもっている卵などでも受精させることができる
・多精子受精は起こらない
・精子を傷つけて受精させるため、卵活性が起こりやすい
デメリットとしては、
・穿刺による衝撃で、卵子にかかるストレスやダメージが大きくそれにより変性してしまうことがある
・顕微授精をしても異常受精してしまうこともある
・体外受精(IVF)よりもコストがかかる
・未熟だった場合、成熟がしにくい
適応は、
・精子濃度、運動精子が少ない
・抗精子抗体をもっている
・正常形態精子が少ない
が挙げられます
顕微授精を行う流れとして、
①採卵によりとれた卵子の前培養
通常hCG投与後36時間で採卵され、その時点で8~9割の卵子は成熟卵となります。採卵後から顕微授精まで3〜6時間の前培養をします。それにより卵子の細胞質が完全に成熟し、高い受精率を得られると考えられています
②ヒアルロニダーゼによる処理
採卵後の卵子は、顆粒膜細胞に取り囲まれています。この顆粒膜細胞をヒアルロニダーゼという酵素を用いて取り除くことにより、卵子の成熟確認や精子の注入操作をすることができます
③精子の不動化処理
精子尾部の頸部に近い部分をピペット先端でシャーレの底に擦りつけ精子の不動化を行います。
不動化をすることにより、卵子活性化の誘起など精子・卵子相互作用が円滑進むようになります
④精子の注入
細い針を用いて、選別精子を卵子の中へ入れていきます。
⑤受精確認
次の日の朝、受精確認をします。2つ前核が見えたら正常受精となります
⑥追加培養
媒精2日後には4細胞、3日目には8細胞、4日目には分割していた細胞同士がくっついて桑実胚という状態になり、5日目に赤ちゃんになる細胞と胎盤になる細胞が分かれて胚盤胞という状態になりますこのような胚で凍結や移植をしていきます
今回は顕微授精(ICSI)についてお話しさせていただきました
次回は、ホルモンについてお話しする予定です