先日、Facebookのお友達から記事「大谷翔平の活躍に思うこと」の内容について質問を受けたので、ちょっと書いてみる。

 

質問は次の2つ。

 

(1)大谷選手のように“肩を開かず両腕を伸ばすインパクト”から、メジャーの一流選手のように“肩を開いて後の腕を伸ばし切らないインパクト”への矯正方法

(2)大谷選手くらいのレベルなら簡単に矯正可能か?

 

まず、この大谷選手と一流選手の動作の違いは何に起因するのだろうか?

 

根本的な原因は高岡英夫氏が言うところの「身体意識」の違いだと考えられる。

 

「身体意識」とは身体の意識の濃淡のことで、例えば手の平は手の甲より意識が濃いし、投手の指先やサッカー選手の足の甲は一般人のそれより意識が濃い。

 

バットでボールを強打しようと思った時、手や腕の意識が濃い大谷選手は両腕を伸ばすことでヘッドを走らせ、体幹の意識が濃い一流選手は腕を体幹から離さずにボディターンでヘッドを走らせる

 

大谷選手の手や腕の意識の濃さは投球能力の高さ(器用さ)からも感じられると思うが、一流選手の体幹の意識はどうだろうか?

 

僕にはこれを強烈に感じた思い出がある。

 

1997年春、ホワイトソックスのマイナーキャンプに参加した時、メジャー昇格直前のマグリオ・オルドニェスと一緒に練習する機会に恵まれた。

 

オルドニェスといえばメジャー昇格3年目から4年連続で3割30本100打点を記録したホワイトソックスの主砲で、デトロイトに移籍した後の2007年にはイチローを抑えてアメリカンリーグ首位打者のタイトルも獲っている。

 

 

その彼の打撃を目の前で見たのだが、ステップした次の瞬間、何のためらいもなく腰と肩を開き、ピッチャーに正対した体幹に巻きつくようにバットが鋭く弧を描くのだ。

 

「スイング動作=重量の大きい体幹を素早く動かすこと」という感じで、僕の倍くらい太い腕をしているのに、明らかに腕力より体幹の重さを使っている。

 

 

バットは手で振るものではなく体幹で振るものなのだと思い知らされた出来事だった。

 

このように、動作の違いが身体意識の違いだとするなら、大谷選手の身体意識が変わらなければその動作も変わることはない。

 

熱心でクレバーな彼のことだから、間近で見る一流選手の身体意識を感じとって徐々に変わっていく可能性もある。

 

しかし、春先に変更したステップのような小手先のテクニックと違って身体意識が簡単に変わることは考えにくい、というのが僕の見方だ。

 

一方、まだ経験が浅く、スイング動作に関わる明確な身体意識が確立していない少年たちなら矯正可能だろう。

 

もちろん、やり方はいろいろあって当然なので、大谷選手のスイングがダメだということではない(今年の成績を見ればわかる)が、ここではメジャーの一流選手のスイングを身につける方法を考えてみる。

 

まず、彼らのようにボディターンでヘッドを走らせるには、村上豊著「科学する野球 実践編」(ベースボール・マガジン社)193頁にあるように腕と体幹をワンピース(一体)にすることが必須条件となる。

 

腕を体幹にくっつけて一体化すると、腰や肩を開かなければバットが出てこないから、否応なしにボディターンでスイングしなければならなくなる。

 

あとは前足に体重を移して素早く腰を切るだけだ。

 

では、腕と体幹をワンピースにする方法を3つ挙げてみよう。

 

1.前の脇を締める

 

ボトムハンド側の脇を締めながらステップする。

 

右バッターなら左上腕を左胸に密着させてインパクトまで離さない。

 

こうすると、肩が開ききったところで手首を支点にしてバットのヘッドが走る。

 

ケン・グリフィー・ジュニア

 

アルバート・ベル

 

クリス・デービス

 

2.後の脇を締める

 

ステップ後、インパクトに向かってトップハンド側の脇を締めていく。

 

右バッターなら右肘を右脇腹に近づけていく。

 

肩が開いた後、肘が体幹から離れないうちにインパクトしたい。

 

バリー・ボンズ

 

アレックス・ロドリゲス

 

アルバート・プホルス

 

3.腕を短く使う

 

腕を短く使うことで一体化を図る。

 

腕を伸ばさずグリップが体幹から離れないようにして、手首を支点にバットのヘッドを走らせる。

 

肩甲骨を寄せて胸を張ると、より腕を短く使うことができる。

 

マイク・トラウト

 

以上3つの方法を挙げてみたので、自分のやりやすい方法でトライしてみよう。

 

今まで肩を開かず胸の前で腕を伸ばしてインパクトしていた選手にとっては、ミートポイントが近くなり不安を覚えるかもしれない。

 

しかし、それはバットを当てに行っている証拠なので、体幹の重さを使ってヘッドを走らせることに重点をおいてほしい。

 

投球線にスイング面を合わせるのは、そのあとでいいのだから。

 

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