今オフは2年連続最下位からの脱却を狙い、積極的な補強が続く北海道日本ハムファイターズ。
FA権を取得した加藤貴之の残留やFAで山﨑福也の獲得成功、外国人選手ではマーフィー、ザバラ、スティーブンソン、レイエスを獲得し、今オフは約30億円近い補強資金を投じるなど、積極的な動きを見せています。
ただ更なる外国人選手の補強を検討していると宣言しており、残る投手の獲得の行方が注目されていました。
そんな中で1月13日、昨年セントルイス・カージナルスで60試合防御率3.98を記録したドリュー・バーヘイゲン投手が3年ぶりにチームに復帰する事が発表されました。
【日本ハム】バーヘイゲン3年ぶり復帰!メジャーのオファー断る 1年3億5000万円+出来高(日刊スポーツ)
日本ハムは12日、20年と21年は先発として計13勝を挙げた前カージナルスのドリュー・バーヘイゲン投手(33)と契約合意に達したと発表した。1年契約で推定年俸3億5000万円プラス出来高(金額は推定)、背番号は45に決まった。
3年ぶりに復帰するバーヘイゲンは「2020年と2021年シーズンに北海道日本ハムファイターズでプレーをしてから、自分のキャリアの中でいつかはまたファイターズに戻ってプレーをしたいという強い思いがありました。私に再度のオファーをしてくださったファイターズに心より感謝していますし、幸せに思います。チームメートに会うこと、エスコンフィールドHOKKAIDOという素晴らしい球場でプレーできることを楽しみにしています。今シーズン、チームの勝利に貢献できるよう、自分のできる限りの力を発揮し、精いっぱいプレーしていきます」とコメントした。
昨季は60試合に登板し、5勝1敗、防御率3・98だった。
新庄剛志監督(51)は「メジャーからのオファーを断って、ファイターズに戻ってきてくれるとは夢にも思っていなかった。僕は前回一緒にやっていないけど、素晴らしい投手だとは、聞いていたので本当にうれしい! 彼がどんな選手か、いまさら説明する必要もないかな。去年はメジャーで60試合投げて成績がずっと安定しているからね。もちろん、ローテに入って活躍してほしい。何より『もう一度ファイターズの一員になって北海道の大歓声の中で投げたい』という心意気がうれしいよね。うちの先発投手陣、どうなるんだろう? ハイレベルな争いが本当に楽しみだね!」とコメントした。
今回は3年ぶりにチームへ復帰したドリュー・バーヘイゲンについて紹介します。
20-21シーズンで通算13勝をマーク 昨年はメジャーで自己最多60試合に登板
ドリュー・バーヘイゲンはアメリカ合衆国テキサス州出身の33歳。右投右打の投手です。
2012年MLBドラフト4巡目(全体154位)でデトロイト・タイガースから指名され、プロ入り。契約後に傘下ルーキー級でプロデビューを果たした。
2014年7月16日にメジャー契約を結んで、同日の試合でメジャーデビューし、1試合0勝1敗、防御率5.40、4奪三振を記録。この年はメジャーではこの1試合のみの登板だった。
2015年はリリーフへ転向。メジャーでは20試合2勝0敗、防御率2.05、13奪三振を記録した。
2016年はメジャーで19試合1勝0敗、防御率7.11、10奪三振を記録した。
2017年はメジャーで24試合0勝3敗、防御率5.77、25奪三振を記録した。
2018年はメジャーで41試合3勝3敗、防御率4.63、53奪三振を記録した。
2019年はメジャーで22試合4勝3敗、防御率5.90、51奪三振を記録した。オフの11月26日に北海道日本ハムファイターズと1年1億1000万+出来高で契約を結んだ。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が遅れたが、先発ローテの一角を担い、18試合8勝6敗、防御率3.22、115奪三振を記録した。この年のオフに1億3000万+出来高で契約を延長した。
2021年は股関節のコンディション不良に苦しんだが、後半戦では防御率1.65、奪三振率10.47と復調。最終的には20試合5勝8敗、防御率3.84、100奪三振を記録した。オフに自由契約となり、MLB復帰を目指していると報じられた。
2022年3月11日にセントルイス・カージナルスと2年契約を結んだ。シーズンでは股関節の怪我などで離脱もあり、19試合3勝1敗、防御率6.65、18奪三振と苦しんだ。
2023年はメジャーで自己最多となる60試合に登板。5勝1敗、防御率3.98、60奪三振を記録した。
シーズン成績
上記はドリュー・バーヘイゲンのシーズン成績です。
2023年はメジャーで自己最多となる60試合に登板し、5勝1敗、防御率3.98、60奪三振、1.28WHIPを記録。メジャーでのキャリアでは過去最高のシーズンを送ることが出来たと言えます。
メジャー復帰初年度は股関節の怪我の影響もあって、様々な数字が悪化していましたが、2023年はいずれも数字が改善するなど、コンディション面での不安も解消されたと見るべきでしょう。
NPB時代の数字も優れていたものがあり、2021年は股関節の不調で前半戦は11試合2勝6敗、防御率6.13、43奪三振、奪三振率8.23と苦しみましたが、後半戦では9試合3勝2敗、防御率1.65、57奪三振、奪三振率10.47と好成績をマークしていました。
NPBでの対応能力に加えて、メジャーで好成績残してからの再来日という楽しみな部分があると言えます。
スライダーの精度が更に向上しスプリットチェンジを習得
上記はドリュー・バーヘイゲンの球種別成績です。
2023年の投球割合を見ると、スライダー:38.0%、ストレート:27.0%、シンカー:18.0%、スプリット:11.0%、カットボール:6.0%となっています。
スライダーですが、MLBでのデータでは“スイーパー”と呼称されていています。実際縦変化は大きく、MLB平均と比べても43インチ(約109.2㎝)も大きいと言うデータがあります。空振り率、K%共に数字がよく、更に精度が向上したと言えるでしょう。
ストレートは最速158.3キロキロ、平均150.6キロ、シンカーは最速156.7キロ、平均149.3キロを計測。ただ被打率自体はやや高い傾向。この2球種に関してはゾーン内に集まってしまうコマンドの甘さがあると指摘されています。ただ球速はNPBの平均を超えていますし、ある程度は改善できると言えそうです。
スプリットに関してですが、落差は平均的ですが球速が早いと言うデータがあります。このことからMLBのデータサイトでは“スプリットチェンジ”とも表記されています。ストレートやツーシームと近い軌道で小さく落ちるため、空振り率もあり、K%も高い傾向にあります。
プレー映像
↑2023年の球種別映像
投球フォームは独特なテイクバックから投げ下ろすような印象です。実際リリースポイントは地面から6.4ft(約1.95m)とかなり高い位置であると言うデータもあります。
球種全体を見ても日本時代から更に力が付いたと言う印象で特にスライダーは更に質が良くなったと言う印象があります。
カージナルスとの2年契約が満了し、MLB球団からオファーがある中で再度のNPB入りを決断をするなど、個人の感情はもちろんありますが、日本ハムの交渉能力の高さも光る印象です。
今オフは30億円近い補強資金を投入し、外国人選手は総勢8名となり、最下位からの脱却だけではなく、リーグ優勝やその先を狙わなければならないという補強をしたと言えます。