2020年シーズンは2012年以来8年ぶりとなるAクラス入りを果たし、来季更なる飛躍が期待される中日ドラゴンズ
今年の中日を象徴するのが強固なリリーフ陣です。
守護神のR.マルティネスは21セーブ、祖父江、福は最優秀中継ぎ投手を受賞するなど活躍。6回までリードした試合は実に37連勝という凄まじい結果を残しました。
またベテランの谷元、又吉、若手の藤嶋や木下雄など勝ちパターン以外の充実度もリーグ屈指と言えます。
そんな中で12月3日、今季カンザスシティ・ロイヤルズでプレーし、メジャー通算69試合に登板したリリーフ左腕ランディ・ロサリオ投手を獲得したと発表しました。
中日 新外国人選手獲得 最速156キロ左腕ロサリオ(スポニチ)
中日が3日、新外国人選手としてランディ・ロサリオ投手(26=前ロイヤルズ)の獲得を発表した。
ロサリオは17年にメジャーデビューし、通算69試合6勝1敗1セーブ、防御率5.00。最速156キロの直球、平均150キロのツーシーム、スライダー、チェンジアップを武器とし、対左打者の被打率は.184。まだ26歳と若く、対左打者のスペシャリストとしてだけでなく、強力なリリーフ陣に厚みを増す存在になることが期待されている。
ロサリオは「中日ドラゴンズと2021年シーズンの契約ができ、とてもワクワクしています。ドラゴンズの話は、ジョーダン投手(元ドラゴンズ)からも聞いています。早く監督、チームメイト、ファンの皆様に会いたいと思います」と球団を通じてコメントを寄せた。
今回は中日が獲得を発表したランディ・ロサリオ投手について紹介します。
2018年にシカゴ・カブスで44試合に登板 MLBレベルの対左キラーとして活躍
ランディ・ロサリオはドミニカ共和国出身の26歳。左投左打の投手です。
2010年に16歳でミネソタ・ツインズと契約を結び、プロ入り。
2011年にルーキーリーグでプロデビューを飾り、13試合2勝4敗、防御率3.86を記録した。
2012年もルーキーリーグでプレー。10試合2勝1敗、防御率1.64を記録した。
2013年もルーキーリーグでプレー。9試合4勝3敗、防御率2.82を記録した。
2014年は1Aに昇格するも4月に肘手術を受け、シーズンを全休。翌年6月に実戦復帰を果たすとオフに40人枠入りを果たした。
2016年は8月に2Aに昇格。1A+、2A合計で25試合6勝7敗、防御率3.77を記録した。
2017年は6月1日にメジャー昇格。翌日の試合でメジャーデビュー。しかしメジャーでは2試合0勝0敗、防御率30.86と結果を残せず、オフにウェイバー公示を経て、シカゴ・カブスへ移籍した。
2018年は5月18日にメジャー昇格。同27日にはメジャー初勝利を挙げた。この年はメジャーで44試合に登板し、4勝0敗1セーブ、防御率3.66を記録。また対左打者には打率.174(69-12)と抜群の成績を収めた。
2019年はメジャーで13試合1勝0敗、防御率5.91と前年を大きく下回る成績に終わると9月にカンザスシティ・ロイヤルズへ移籍。移籍後は6試合1勝0敗、防御率0.00を記録した。
2020年は4試合0勝1敗、防御率8.10と結果を残せず、9月3日にDFAとなり、6日にマイナー契約に切り替わった。オフの11月2日に自由契約となっていた。
成績で読み解く
上記はランディ・ロサリオのMLB、3Aでのシーズン成績です。
2018年に44試合4勝0敗1セーブ、防御率3.66と一定の結果を残しました。
ロサリオがメジャーで結果を残せたのは、対左打者へ対する対戦成績の良さです。
対左 17年.250(4-1)→18年.174(69-12)→19年.150(20-3)→20年.400(5-2) 通算.184(98-18)
と2018年、2019年はいずれも対戦打率が2割を切り、通算.184を記録するなどMLBで左キラーとして通用していたことが分かります
ですが対右打者に対しては真逆の成績が残っています。
対右 17年.600(10-6)→18年.321(109-35)→19年.316(38-12)→20年.455(11-5) 通算.345(168-58)
と明らかに対右打者では打ち込まれていています。スリークォーターのフォームゆえ右打者には苦戦してしまったと言えます。
またロサリオにとって厳しい状況になったのはMLBが試合時間短縮を目的に「投手は打者3人と対戦するか、イニング終了まで投げる事」がルールとして採択したことです。
これによって特定の打者を打ち取るためだけに投手を送り込むことが出来ず、投手はより右左問わず抑えるスキルが求められる事になり、ロサリオのような対左打者特化型の投手には厳しい環境になってしまいました。
こういった部分も26歳にして来日を決断するきっかけに繋がった可能性は高いと思われます。
沈む軌道のストレートとスライダーでゴロを量産 空振りが取れるチェンジアップがカギに?
上記はランディ・ロサリオの球種別成績です。
ロサリオはストレート、スライダー、ツーシーム、チェンジアップを操り、GB/FBが通算2.34を記録する典型的なグラウンドボーラータイプです。
ストレートとツーシームは今シーズンのデータで66.04㎝~76.2㎝落下しており、MLB平均よりも沈む軌道となっていて、非常に多くの内野ゴロを量産するボールとなっています。
スライダーも空振りが奪えるボールでK%の割合が高い球種ですが、GB%(ゴロ率)が通算47.7%とゴロを打たせるボールとしても機能していて、球速があり、ジャイロ回転の回転軸を持っているボールでまるで横滑りするかのような軌道を描いています。
一方で対右打者を考えるうえで必要となりそうなのは、チェンジアップの比率をアップさせることでしょう。
このチェンジアップはSwStr%通算20%と空振りが奪えるボールですが、使用頻度が少ない印象です。対右打者へのチェンジアップというのはカウントを稼ぐボールとしても十分活用できるだけに、使用頻度を上げていけば対右も改善する可能性がありそうです。
映像で見る
球種別三振集
球種別投球集
映像を見るとテークバックがコンパクトで、変則気味の投球フォームという印象です。
ストレートはカット気味でなおかつ沈み込むような軌道を描いている印象で、スライダーは左打者から逃げていく軌道となっていてこれが左打者を封じる1つの鍵となっているようです。
一方で対右では有効と言える球種の精度が乏しい事もあって、打ち込まれている原因になっていますし、やはりチェンジアップの配球割合増加という部分が求められる印象です。
年齢も26歳と若く、ここからもう一段レベルを挙げる可能性は十分感じさせるだけに、左のセットアッパーとして成長するかどうか注目です。