2020年シーズンは8年ぶりのAクラス入りとなる3位となり、来季飛躍を期待されている中日ドラゴンズ
今シーズンの中日において、大きな課題となったのはライト・レフトが固定できずに苦しんだ事でした。
今年の開幕戦ではライト平田、レフトアルモンテという布陣で臨みましたが、平田が打撃不振に苦しみ、アルモンテも怪我で複数回離脱するなど固定できず、遠藤、井領、福田、武田、シエラなどが出場したものの、安定した結果は残せませんでした。
wRAA(平均的な打者が同じ打席数立った場合に比べて増やした得点)では中日の両翼を見るとライト-14.2、レフト-3.0と得点を減らしてしまったということになります。
また今オフはアルモンテ、シエラが退団したこともあり、野手の補強が必要とされていました。
そんな中で12月3日、今季コロラド・ロッキーズ3Aに所属し、2019年は3Aで26本塁打を放った経験を持つマイク・ガーバー外野手を獲得したと発表しました。
中日 新外国人選手獲得 19年3A26発の強打者ガーバー(スポニチ)
中日が3日、新外国人選手としてマイク・ガーバー外野手(28=前ロッキーズ)の獲得を発表した。
ガーバーはマイナー通算626試合で91本塁打を誇る左の長距離砲。ジャイアンツ在籍時の19年にアロンゾ・パウエル打撃コーチと出会ったことをきっかけに打撃開眼。傘下3Aで119試合に出場し26本塁打、二塁打41本と打ちまくった。
ガーバーは「中日ドラゴンズと来シーズンの契約ができたこと、プレーできることをとてもうれしく思います。新しいチームメート、コーチ、監督と一緒に2021年シーズンを戦いたいと思います」と球団を通じてコメントした。
今回は中日が獲得を発表したマイク・ガーバー外野手について紹介します。
19年3Aで26本塁打をマーク DET時代には球団内プロスペクト11位にランクイン
マイク・ガーバーはアメリカ合衆国・テネシー州出身の28歳。右投左打の外野手です。
2014年MLBドラフト15巡目(全体460位)でデトロイト・タイガースから指名を受け、入団。1A-、1Aの2球団でプレーし、合計65試合打率.298、7本塁打、42打点、OPS.859と活躍を見せた。
その後2年間で着実にステップアップを続け、2017年には3Aに昇格し、4試合に出場。またオフに40人枠入りを果たした。
2018年は3Aで開幕を迎えると、4月20日にメジャー契約を結び、同日の試合で代走でメジャーデビュー。同年はメジャーで18試合打率.095、0本塁打、2打点を記録。また3Aでは74試合打率.213、13本塁打、34打点、OPS.688を記録。
同年12月10日、ウェイバー公示を経て、サンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍した。
2019年はメジャーで12試合打率.042、0本塁打、0打点とメジャーの高い壁に阻まれたが、シーズンの大半を過ごした3Aではアロンゾ・パウエル打撃コーチからの指導を受け、119試合打率.308、26本塁打、83打点、41二塁打、OPS.937と好成績を残した。
オフの11月12日にFAとなり、12月16日にコロラド・ロッキーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加する事が決まった。
しかし2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でマイナーリーグの全試合が中止となり、メジャーの試合出場条件でもある60人のプレイヤー・プールからも外れたことで今シーズンは公式戦出場がなく、11月2日にFAとなった。
成績で読み解く
上記はマイク・ガーバーのMLB、3Aでのシーズン成績です。
メジャーでの成績は散々たる内容で、メジャーレベルでは通用しなかったと印象。3Aでも2018年も13本塁打を放ちましたが、打率.213と苦しんでいます。
しかし2019年は119試合打率.308、26本塁打、83打点、OPS.937と打撃面で覚醒を遂げました。しかし気になる部分があります。
それは打高なPCLへの移籍であり、昨年はボールの統一により反発係数が上がった影響でこれまで以上に大幅に打撃成績を向上させた選手があまりにも多かった事です。
ガーバーに関しては2016年に1A+で351打席で14本塁打を放ったのが最多だった選手がここまで本数を増やすというのは疑問符が付き、前年の3Aでの成績を考えると鵜呑みにしづらい印象。
今年3Aが中止になったことでガーバーのパワー面は向上したのかどうかを測れなかった部分が気になるところです。
コンタクト率の低さが大きな問題だが・・・HardHit%の高さが大化けに繋がるか
上記はマイク・ガーバーの球種別成績・打撃傾向です。
MLBでの球種別成績はどこまで参考になるかレベルではありますが、全体的に言えることはコンタクト率があまりにも低すぎる事です。球種別もですが、総合的なストライクゾーンコンタクト%も低すぎる印象で、3Aでも18年→64.1%、19年→69.8%と非常に数字が低く推移しています。
またWhiff%もかなり高い印象で、ガーバーのコンタクトスキルは大きな問題があると言えそうです。
ただ大化けできそうな可能性があるのは、打球速度の速さとHardHit%の高さです。
元々スイングスピードの高さでは評価を受けており、2019年の打球速度とHardHit%の大幅な向上は捉えたボールは強い打球となっていることが分かります。
3Aで長打が増えた要因とも考えられますが、この部分がNPBでも大化けに繋がる可能性があります。
マイナー時代は外野3ポジションをこなせるとして注目 MLBでも外野3ポジションでUZRがプラス
上記はマイク・ガーバーのMLBでの外野守備成績です。
デトロイト・タイガース時代はプロスペクトとして評価を受けていましたが、外野守備で高い評価を受けている選手でした。
スカウティングレポートなどでも「派手さはないが、外野3ポジションを高いレベルでこなし、ライトやレフトを守る上では肩が強く、送球の正確性も高い」などと記載されています。
メジャーでの2年間はライト、レフトを守ることが多いですが、2019年3Aでは500イニング以上をセンターで守っています。「SprintSpeed」という指標では18年29.6ft/s、19年28.0ft/sといずれもリーグ平均27.0ft/sを上回る脚力を備えています。
中日は両翼もですが、センターの大島も来季は36歳のシーズンを迎え、後継者育成や負担軽減を考えなければならない時期を迎えています。
外野3ポジションいずれもこなせるガーバーの加入は、中日外野陣の底上げにつながる可能性もありそうです。
映像で見る
打撃集
打撃&守備集
映像を見ると引っ張り方向への打球が多い印象で、逆方向への当たりは多くないプルヒッターの傾向が強い印象。基本的にはヒットゾーンは引っ張り方向と考えるべきでしょう。
マイナーリーグでは投手の左右問わずに打てている傾向にありますが、2019年の打撃フォームの動きでは左投手の外や高低に厳しさを感じてしまう印象もあります。この部分はパウエルコーチの指導でフォームを固める可能性もありそうです。
コンタクト率の低さや三振数の多さなど課題はありますが、28歳という年齢の若さが大化けに繋がる可能性がありそうです。