作用・反作用の法則(運動の法則の3つめのやつ) | 姿勢やトレーニングに悩んだ方へ。【矯正王】姿勢と背骨のプロが語ります

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軸をつくるボディワークスタジオBASE Conditioning Labo、せぼねや京都のオーナーが日々の事や、思ったことを綴っています。2022の医療オリンピック近畿ブロック「矯正王」です。2023は準優勝

うんどうのほうそく【運動の法則】


物体の運動を説明する基本的な法則。
普通は古典力学の基礎であるニュートンの運動の三法則をさす。
(1) 第一法則(慣性の法則)静止または等速直線運動をする物体は力が作用しないかぎりその状態を保つ。
(2) 第二法則(ニュートンの運動方程式)物体に外力がはたらくとその方向に、力に比例し質量に反比例した加速度を生ずる。
(3) 第三法則(作用反作用の法則)物体が他の物体に力を及ぼすとき、相手の物体は同一直線上にあって大きさが等しい逆向きの力をはたらき返す。(大辞林より)
 
先日、facebookで知人の記事を見ている時に
【溝口理一郎】という名前を目にする機会に恵まれました。
 
今、何かと話題のAIの研究をされている方だそうです。

その記事のコメント欄にあった
【力学】【見かけの力】【遠心力】【因果推論】が気になりすぐにネットで検索してみるとこんな溝口先生の書かれているこんな論文を発見する事が出来ました。
 
【力と運動に関する因果推論理論】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/31/4/31_A-F44/_pdf
 
これを読んで
ズーーーーーーーット引っかかっていた
『作用・反作用の法則』についてが
スーーーーーーーッキリしたんですラブ


まじ納得!!

ってやつです。
 
 
運動指導や姿勢指導、トレーニングを行う上で
物理学なんて理解できていなくても全く問題ありません。

しかしなぜ僕が物理学(力学)を勉強するかというと
今、目の前で起きている運動を、
ただの動きとして捉えるのではなく
その本質的な部分からしっかりイメージしたいからです。
 
本質的な部分をイメージする
というのどういう事かというと
例えば、
そもそも『力』って何?
『重さ』とは?
と言ったものです。

こういったことが分かると、その先には
投球動作においてどのような力が必要なのか、
そもそも投球とはどのような運動なのか。
と言ったこともイメージ、説明できるようになってきます。
 
 
動きの本質をイメージしたい!
という理由で僕は物理・力学を
たまーニヤニヤに勉強しているわけですが
運動の法則の一つでもある
『作用・反作用の法則』
がどうしても引っかかっていたんです。
 
というのも、
たしか中学生の時の理科の授業で
『力』を勉強していた時だったと思います。
 
 
その時、教科書かプリントにはこんな(感じの)絵がありました滝汗
 

 


これは『作用・反作用の法則』を勉強する時には
テッパンのシチュエーションなのですが
『人が壁を押す』という状況です。
 
こんなイラストを見ながらこんな解説をされたんですね!
 
『壁を押す力が作用で、
反作用として壁が押し返してきます。』
 
 
たしかこんな感じの言葉だったと思います。
さらに、分かり易いように
こんな説明もつけ加えて下さいました。
 
『例えば、3kgの力で押せば壁は3kgの力で押し返してくるし、
10kgの力で押せば10kgの力で押し返してくる。
だから壁は動かないんです!真顔
 
 
 
ポーン
 
 
もう訳分かりません!!
分かりやすくしてくれたんか知らんけど
僕にとってはこれのおかげで約20年間迷子のままなんじゃい!!
 
『その時々に応じて、
力のかけ具合を壁さんが変えてくるんかい??』
 
 
屁理屈なのはわかっていますが
物理学ってある意味屁理屈の塊ですウインク
 
 
上手くは言えませんが、
壁はただそこに【ある】だけなのに
あたかも人格があるかのように
振る舞うそのイメージの持たせ方が
僕の脳裏にべったりと張り付いていたので
『作用・反作用』『釣り合い』『運動の第二の法則』
などがごちゃごちゃになっていました。
 


トレーナーや講師の方が分かり易いようにと
作用反作用の話を持ち出してくださる度に
僕の中の【屁理屈君】が頭の中にどっしりと鎮座しニヒヒ
その後の言葉を受け付けてくれなくなりますゲッソリ

そのせいで東京で受けたワークショップでも
途中、10分ほど僕の頭はフリーズしていましたチーン
 
なので、僕のセッションでは
トレーナーやボディワーカーが
よくスクワットや、姿勢指導の時に使う
『作用・反作用の法則によって・・・・』
といった類の説明は敢えて避けてきました。
 
こちらのブログ(『作用・反作用』で検索して偶然出てきたリンクです)
http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/undo4.html
にもあるように

 
この『地面から押し返される』というイメージが
どうしても持てないんですえーん
 
 
だって地面はそこにただ『ある』だけなのに。。。
 

この気持ち分かってもらえると幸いですおねがい
 
 
しかし、今回溝口先生の論文を読む事で
本当にすっきりしました。
 
あまりの嬉しさで
その晩はなかなか寝付けなかったほどです。
 
詳しくは読んでいただければわかるのですが
僕がどう感動たのかだけでも書いておきたいと思います。
 
 
溝口先生の考えによると
ある物理的な現象を理解する時には2つの理解の仕方があるそうです。
 

【因果的な理解】
【方程式に基づく理解】
 

今の教育過程では【方程式に基づく理解】に
重きを置かれ教育されているのだそうです。
 
それにより何が引き起こされるかというと
方程式では現象の因果(関係)が消えるため
誤った因果理解をして、
正しい方程式を立て(立式)られなくなる。
だそうです真顔
 
これは大いなる矛盾です。
大変困ったことなんです。
 
【運動】において、
その【本質】を理解するためにあるはずの【物理学】が
【物理学】のせいで、その【本質】【因果関係】を見誤ってしまう!(※ここ重要)
という事につながってしまう!

第2、第3の僕がどんどん世に輩出(排出)されてしまいますゲロー
 
 

では、【作用・反作用の法則】について。。。

溝口先生の文を引用させてもらおうと思います
(赤い部分が引用です。)
 
 
『しばしば見られる説明文に「力Fで押す」という表現があるが、それは因果理解を阻害する表現と言わざるを得ない。正しくは「力Fで、ある物体を押そうとしたら、その物体から大きさFの反作用が返ってきたので力Fで押すことが出来た」のである。このことは、のれんや豆腐を100Nで押すことが出来ないことから理解されよう。つまり因果が終わった結果として「力Fで押すこと」が出来たのである。』
 
 
 
どうですか?
もう涙無くしては読めません。
 
 
感動・・・笑い泣き
 
分からない方は申し訳ありません。
これ以上いい説明が僕にはできる気がしないので
理解できない文章に出会った時の伝家の宝刀、
暗唱出来るくらいまで繰り返し口に出して読む。


それでも分からない方、
僕に聞いてください爆  笑
 
嬉々としてお教えいたします。

ただし、理解できる様に
説明できるかは不明ですが真顔
 
 
そしてその後には
【作用・反作用の確認〜物を押すケース】
という部分があります。
 
ここで、この論文の最高の盛り上がりを見せます。
音楽で言えば大サビに当たるようなところです。
 
 
もう心躍るような部分ですラブ
血湧き肉躍るとはまさにこの事でありますちゅー
 
 
物を押す場合(接触力)押されたものが
反作用として返してくる方法は
2つの方法に分類されます。
 
(a)動かない方法
(b)加速度aを生成してma(質量×加速度)で返す方法
 
この後に2つの方法について、
さらに2つづつのケースに分けて考察されています
 
(a)動かない方法
 a1.(押される側を)絶対に動かないと仮定している物
 a2.(押される)物体と床(地面)の間に摩擦がある場合
 
(b)加速度aを生成してmaで返す方法
 b1.maで力を返す
   b2.押した人がmaで動く
 
いきなり
 
ma(質量×加速度)
というものが出てきましたが
このブログの冒頭に挙げておいた
運動の法則の2つ目の【運動方程式】と呼ばれるものです。
それを数学的に書くとかの有名な
 
F=ma (ma=Fと書く人もいます。僕はどっちかというとこっち派です) 
 
となり、
 
(力)=(質量)×(加速度)
 
を表し力とは何かを説明します。
 
 
要するにニュートンの運動法則の2つ目(運動=ある質量を持った物質の速度変化)は
3つ目の【作用・反作用の法則】の
反作用の1つの姿だったというわけです。
 
 
やはり、壁が押し返すという表現はおかしいんです。
というかそもそも
ある力を持って『壁を押す』という表現がいい加減だったんです。
 
 
この論文を踏まえて、
今回、溝口先生のおかげで
体幹の役割とは『反作用』そのもの
だという風に理解しました。
 
 
例えば腕を動かすために
肩の筋肉が収縮したとします。
 
収縮する事で生み出された【力F】を
体幹部で【-F】という反作用を作り出す事で
肩の筋肉の遠位部の骨に加速度aを生成して
腕を動かす事ができるというわけです。
 
僕一人で納得して、何を言いたいのか
良く分からない事になりましたが・・・・
 
物理学とは洞察力、分析力そのものですが、
それにしてもアイザック・ニュートンさんの洞察力たるやエゲツないです。