失墜のアジアカップ2015 | ばーやちゃんのブログ「リンガフランカ」

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先週金曜日ですか。

2015年明けて開幕したアジアカップ、グループリーグ3戦全勝で決勝トーナメント進出を決めての

トーナメント第1戦。

準々決勝。対UAEとの一戦。


2015年1月23日は、サッカー男子日本代表とサポーターにとってショッキングな1日となりました。


アジアが簡単だとは思っていませんし、UAEの戦い方も彼らにとって歓喜に値するものだと思います。


でも、去年のワールドカップで世界に通用しなかった経験を受けて、

日本代表は、世界で勝ち抜けるチームをこれからの4年間で作っていかなければならない。


そんな目標と期待感の中、


ベスト8で敗れるとは一体誰が予想したでしょうか。




昨年アギーレジャパンが発足してわずか半年という短期間ではありましたが、

ブラジルW杯メンバー以外の欧州組とJリーグの選手を試す期間は若干ありました。


そこで、MF柴崎やFWの武藤など新戦力も加わり、少しずつ世代の交代も進めて行きたいところだったんですが…


まずは、今のメンバーでベスト4以上に進み、アジアの強豪(3強)とどこまで戦えるのか試せなかったのが非常に悔やまれます。


今回の4強は、韓国、オーストラリア、イラク、UAEとなりました。




それと、コンフェデ杯への道も潰えてしまった訳で、

ロシアW杯に向けて色々試したり経験するチャンスが無くなってしまった訳です。非常に残念です。




■UAEのプランを読み切れなかった日本代表

今回のUAE戦を振り返ってみると、失点のシーンは前半の7分。

その直前にもDFラインの裏に抜けられてピンチを迎えています。


前半はUAEの10番オマールが運動量豊富にセンタサークル付近で動き回っていました。ワンタッチで繋いだり自分でキープしたりと、しなやかなプレーでとてもテクニックに優れたいい選手だと思いました。


日本はグループリーグからメンバーを固定して戦ってきていましたね。

アギーレ監督になってから使っている4-3-3というシステムで、今大会では4人のDFラインの前には長谷部をアンカーとして置くというもの。これを固定として戦ってきていました。


攻撃力は前に人数をかけたおかげでかなりアップしたと思います。

しかし、その反面バイタルエリアには人が少なくなってしまうという弱点ができてしまう。


グループリーグでは、このバイタルを徹底して狙ってくるチームがいなかった様に思います。

日本の攻撃力を警戒してくれていたおかげで、どちらかというと最初から自陣に引いていてくれた。

そして日本も弱点であるアンカー長谷部が引き出された時の対処が何となくうまく行っているような気になってしまった。運の悪い事に無失点という最高の結果も出てしまった。


そんな状況を理解してなのかどうか、分かりませんが、

UAEは前半開始から10番オマールを中心として、このアンカー長谷部をちょっと引き出すという攻勢に出てきたのです。


中盤MFは遠藤と香川と長谷部の3枚で守っているのですが、

香川と遠藤がちょっと前目にいる所の、長谷部との間でオマールは何度か勝負を仕掛けてきていました。軽快なタッチでボールを回されて長谷部選手はいきなり面喰ったはずです。


そして実はこれはDFラインの注意力と判断を迷わせたと思いますね。


長谷部が出て行かざるを得なくなったバイタルを誰がどう埋めるのか。

本来なら長谷部が左サイドに出て行ったら、遠藤が下がってDFラインのセンター付近を埋めるというのがいいと思いますが、この辺の対応がいまいち確実ではなかったのではないか、と。DFが前に出て埋めるのか、結構判断に迷うところがあったはず。先ほどのグループリーグで何となくうまく行ってしまったという話がここにつながっています。


そして中盤に注意を引き付けられてからの、裏へのスルーパスという得点シーン…


前半7分で得点された事で、日本は持っていたゲームプランを崩されたのではないでしょうか。

いわゆる「敵に機先を制された」わけです。

この相手の出方を予想していたのは果たして監督含め何人いたでしょうかね…


グループリーグの戦い方と何も変えていなかった上に、最初のピンチで何か危機感を感じ緊急対応を施せなかった。これは結果論ですが、日本は監督、スタッフ、チーム内でもUAEが最初から猛攻を仕掛けてくるのを全く想定していなかったように思います。

オーストラリアとの親善試合でボランチを2枚にしたあの時のように、前半の15分間は守備的に最初から対応する事にしていて良かったのかもしれないなあ…と。


■悲しいほどの決定力不足
ここに試合のデータがあります。


日本対UAE


・ポゼッション率

68.1%対31.9%


・シュート数

35本対3本


・オープンプレーでのクロス

42本対3本


・コーナーキック

18本対0本


・パス数(パス成功率)

799本(90.1%)対396本(70.7%)


・Duels(50%対50%の可能性でボールを奪える状況)の勝率

54.5%対45.5%


完全に圧倒していたわけです。


もうこれは今後の大きなテーマとして日本は取り組んでいかなければなりませんね。

(だいぶ昔から言われていることだけど)


まずはスーパースターがJリーグで現れないといけないと思います。

昨年のJリーグ得点王は川崎フロンターレの大久保選手でした。

確かに素晴らしい選手ですが、逆を言えばまだ大久保選手がけん引しているこの状況は、どうなのかと。


海外に早くして移籍してしまうという今の現状はあります。


でもそれでもスーパーな選手が現れてゴールを量産してほしい。


これは日本の過渡期かもしれません。

それが必要だと分かったのは今大会は大きな収穫だと思います。




■アギーレ監督はどうなる?!

日本サッカー協会の大仁会長はアギーレ監督の「続投」を明言しました。


私個人的にはもうちょっとアギーレジャパンを見てみたいという気持ちです。

ただ、今大会で一つ分かったのは、世界で戦う以前にアジアで勝てないのは、

アジアならではの攻略法をスタッフともに一新、つまりリセットしてしまっているのではないか?

という疑問が残ったこと。


サッカー番組「Foot! Friday」というCSでの番組で解説されていましたが、

中東のチームには昔から独自の弱点があり、そこをつけば得点チャンスは必ず生まれるはずというもの。

それを意図的に組み立ての中でやっていたかというと、選手個人では見られるが、チームとしては疑問が残るということでした。


つまりチーム戦略の中にこれまでの中東攻略法が引き継がれていないのではないかと。


これは日本サッカー協会のマネジメントも責任を問われるものだと思います。



もし引継ぎがされないまま毎回監督が代わってきたのだとしたら、

新監督はまず、アジア戦略を一から立てるのが仕事になる事になります。


なんつーもったいない…

それならスタッフのブレインを経験者を一部残し、アジアの部分と欧州の部分とに分けてもいいかもしれません。




■次の段階に行くために

思い返せば過去のアジアカップも激闘の連続でしたね。


今回の敗退はPK戦までもつれての惜敗。


たまたま負けてしまっただけで、過去の大会でもPK戦でギリギリ競り勝った試合が多くあります。

これだけで今の日本がダメかというと、そうとも言い切れないと思います。


今回は結果が出なかった。

これは逆にいいチャンスかもしれません。


ザックジャパンの時を思い出して下さい。

アジアカップ優勝という最高の「結果」が出たおかげで、日本は何も変化を求めずに4年間を過ごしてしまいました。


今回は違います。いきなり見直す必要に迫られている。

日本の10番、香川選手は今絶不調にいると思います。


果たして香川選手を絶対的な選手として招集を続けていいだろうか?

DFは吉田選手以外にも屈強な選手を発掘しないといけないのではないだろうか?


アギーレ監督で果たしていいのか?


これら色々な疑問が出てきて、メディアを含め色々と議論を重ねることが、

次のロシアワールドカップへの進むべき道だと思います。



がんばれ日本サッカー代表!


アジアカップはまだ続きます。

韓国がどうなるのか、オーストラリアは世代交代が進んでいるのか、イラクとUAEは若い世代がどこまで行けるのか。


ではでは。