脱サラしてBARをやってみた                ~<追記>コロナ禍での新たな気付き 個人経営飲食店の実態 -14ページ目

では、家賃の割に効率の良い立地はどんな場所か。

僕は、それは競合店が少ない街だと考えます。

 

例えば、新興住宅地のような場所の場合、大手チェーン系の飲食店はあっても、個人経営の飲食店は多くない気がします。

そういった場合、競合店が少ないため、最寄の駅に帰ってきて、自宅に帰る前に飲みたい一人のお客さんを獲得しやすいはずです。

しかも、競合店が少なければ、開店時にも目立ち、認識してもらいやすいというメリットもあると考えます。

 

しかし、この場合、結果的にお客様の選択肢が少ない中でご来店頂いていることになるために、お店の個性に合ったお客さんを中心に客層が出来上がらないはずです。

従って、お店の雰囲気としては、繁華街のミニチュア版という風になると想定しなければなりません。

繁華街が家賃が高く、ベッドタウンが家賃が安いのは当然のことです。

同じ10坪の店でも、繁華街では30万円、ベッドタウンでは10万円という実例もあるでしょう。

 

一見、20万円の家賃差は大きく、個人店ならベットタウンでないと難しいととらえがちかもしれません。

しかし、その20万円の差は集客力を考えると十分に賄える差かもしれません。

 

月間営業日が25日とすると、20万円の差は1日1万円、客単価を2000円としても1日5人です。

しかも、繁華街の方が客単価も高くなるはずです。

 

僕は家賃の高い安いではなく、常連のお客様を中心とした店づくりをしたかったので、ベッドタウンを選びました。

それに後悔はありませんが、利益を追求する経営を目指していれば、繁華街を選択していたと思います。

当店は、東京都内主要都市から電車で1時間くらいのいわゆるベットタウンにあります。

繁華街ではなくあえてベッドタウンに店を構えたのには理由があります。

 

僕が飲食店をやりたかったのは、自分の手でサービス提供するお店をやりたかったのであり、多店舗展開するつもりもありませんでした。

つまり自分の思い入れを込めた一店舗で細く長く続けていきたいと思っていました。

そのためには、売上至上ではなく、自分自身もストレスが少なく、日々楽しめる店舗を目指すべきだと思いました。

そして「仕事帰りの方が、最寄駅付近で、素の自分に戻ってくつろげる場所」をコンセプトとしました。

すると、おのずと店舗の場所はベッドタウンとなります。

 

実際、ベッドタウンはビジネスユースのお客さんも少なく、繁華街ほどたくさんのお客さんが来ていただける場所でもありません。

しかし、当店のお客様は7割以上が常連さんであり、地元のお客様であるがゆえに、(こちらから言うのは失礼ですが)とても上質のお客様ばかりです。

11年間の間、警察にお世話になるようなトラブルは1件もありませんし、軽度のトラブルですら2,3件しか記憶にありません。

 

結果として、僕の趣旨からするとベッドタウンを選択したことは大正解だったと思います。

逆に売上を最重視するのであれば、ベッドタウンはふさわしくないでしょう。

 

つまり、自分の目的によって場所選びも変わってくるという事です。

固定費である家賃は安いに越したことはありません。

しかし、家賃も需要と供給で価格が決まっているので、高い物件は高いなりの、安い物件は安いなりの理由があります。

人が集まりやすい場所か否か、路面か、建物は新しいか。

こういった点は誰もが気にする点でしょう。

 

それ以外にも、排水、換気設備はしっかりしているか、看板や装飾の設置に寛容か、管理会社はしっかり対応してくれるか、近隣店舗の環境や客層・経営者の人柄、などなど。

細かくチェックする必要があります。

 

物件の設備は店舗設計の方に相談する必要があるし、近隣の環境は実際に自分が散策して確認する必要があるでしょう。

しかし、自分の要望通りの物件が理想の家賃で借りられることはないでしょう。

 

僕の場合は別表のように、最適な物件を選定するためにチェック項目をはっきりさせたうえで、優先度を決め、定量的に物件を評価しました。

 

物件の選定がお店の命運を大きく左右することは言うまでもありません。

しかも、一度始めたお店を引っ越すことは困難でしょう。

だからこそ、物件の選定にはとことん慎重になるべきなのです。

飲食店で勤務経験がない方には誤解されがちですが、個人経営の飲食店では、お酒や食材、備品などは一般の方と同様の小売店で購入します。

大量の商品を仕入れられるようなチェーン店や大規模店は別でしょうが、個人でやっているお店ではそれが実情です。

もちろん、特定の酒屋さんや業者さんにお願いをして日々配達をしていただくことは可能ですが、価格は通常の小売価格と同じもしくは逆に高めだと考えてください。

 

当店の場合は、お酒は酒屋さんに配達して頂き、食品は近隣のスーパーで購入しています。

近隣で購入する場合、スーパーなどの充実度も場所選びの重要な要素だと言えます。

日々、スーパーで仕入れをしていると、スーパーごとに得意分野があることが分かります。

野菜はA店、肉はB店など、仕入れ先の選択の幅を持てるようにしたいものです。

 

また仕入れは毎日の事なので、利便性も十分考慮すべきだと思います。

開店前は「このくらいの距離なら」と思っていても、開店後、仕入れ、仕込み、諸々に追われるようになると、案外その距離が面倒になるものです。