脱サラしてBARをやってみた                ~<追記>コロナ禍での新たな気付き 個人経営飲食店の実態 -15ページ目

お店を始めて早々、大きな誤算がありました。

それは、実際の客単価が開店前想定した客単価を大きく下回ったことです。

 

原因は明確で、当初想定した客単価を、独身でお酒好きの自分が使うであろう金額をもとに設定していたからです。

よくよく考えれば、住宅最寄駅にあるBARで、自宅に帰る前に一杯飲んで行こうという方なら、本当に一杯だけという場合も多いし、ご結婚されている方であれば、お小遣いに制限がある方が当たり前でしょう。

 

もちろん、お客様はさまざまなので、一概には言えませんが、事業計画は自分基準ではなく、ターゲットとなるお客様をベースに策定しなければならないと実感しました。

念願のお店をオープンするに当たっては、自分の思い描く内装や演出がたくさんあるでしょう。

しかし、理想とあわせて冷静に考えなければならないのが実用性です。

 

例えば、椅子やテーブルの素材やデザインなども実用性を考慮して決める必要があります。

いくらかっこよくても、お客様が長い時間座りにくかったり、劣化して清潔さをしまうようなものは避けるべきです。

 

また、見落としがちですが、掃除のしやすさも大切な実用性です。

お客様に汚されることは当たり前のことです。

例えば椅子であれば、水拭き掃除をしても劣化しにくく、汚れも染み込まないことを考慮すれば、座面は布製ではなく、合皮などを選ぶべきでしょう。

 

トイレの床面もそうです。

見栄えを気にして木材にするよりも掃除のしやすいビニール生地にする。

そのうえで、好みの柄を選ぶ。

椅子やテーブルやトイレなどは、まず清潔であることをお客様は求められるのですから。

 

そうした、実用性とデザイン性を両立させてくれるのはやはりプロです。

店舗設計なら店舗専門の設計士さんに、調度品なら店舗専門の業者さんに相談することによって、そういった盲点を補っていただけます。

サラリーマン経験の有益さは、こういったマーケティング的手法の習得にとどまらないと考えています。

 

少し大げさに言ってしまえば、どんな仕事でも取り組むのは人間であり、仕事の仕方は人間力であると僕は思っているからです。

その人間力という面でも、僕はサラリーマン時代に鍛えて頂いたと感じています。

 

大きな組織の中で、みんなで組織目標達成に向けて、邁進していく。

その過程にはいろいろな障害があって、ライバルがいて、それを乗り越えるために、それぞれが役割を持って団結して挑む。

そんな過程の中で、逃げない、くじけない、あきらめないという姿勢を、僕は組織の中で学びました。

なぜなら、逃げて、くじけて、あきらめてしまうと仲間たちに迷惑がかかるからです。

一人なら安きに流れてしまいそうな場面でも、組織の中では仲間たちに迷惑がかかるので、簡単にギブアップできないはずです。

 

いわゆる責任感ですが、僕の場合はそういった過程を繰り返す中で、自然と人間力として身についていったように感じます。

僕は16年半、全く異業種のサラリーマン経験をして本当に良かったと思います。

 

いわゆるホワイトカラーのサラリーマンと飲食店経営・運営は全く共通点はないように見えます。

確かに、一つ一つの具体的な業務は全く異なります。

しかし、仕事に対する姿勢、取組み手法はどんな仕事でも共通だと感じます。

 

例えば、僕はサラリーマン時代にブレインストーミングという手法を学びました。

ある課題に対して、要因となる事項を思いつく限り書き出し、それを属性に分けて整理していきます。

さらにそれらの事項の原因にブレイクダウンし、具体的な解決策を見出すという手法です。

また、後述する定期的な自己レビューもサラリーマン時代のデザインレビューから学んだものです。

 

例え異業種であっても、実は転用できる手法はたくさんあるものです。

むしろ、異業種であればあるほど、これまで飲食業になかったような横展開できる手法があるのではないかとさえ感じています。

ですから、僕は今でも飲食店とは関係ないビジネス書を読むようにしていて、実際自分のお店で実践している手法もたくさんあります。

僕自身は38歳でお店を始めました。

別に意識したわけでなく、結果的にその年齢になったわけですが、今考えるとちょうどいい年齢だったと思います。

 

お店の特性によるでしょうが、ベッドタウンのBARである当店のお客様の年齢は30代が40%、40代が45%、50台が10%、20代と60代以上が5%といった構成です。

 

つまり、同年代もしくは少し下のお客様が半分以上になります。

最も自分に感覚が近いお客様が最大勢力というのは心強いことです。

さらに、全年齢層の中間的年齢ということは最もオールマイティーに接客しやすいとも言えます。

また、20代や60代といった両極端な年齢の方が店主の場合、店主の年齢に近いお客様で大半を占め、他の年齢のお客様が近寄りがたい傾向が出来上がるようにも思います。