私の囲碁の師匠だった剛田さんはよく言っていた。
「プロ棋士は本当のことは言わないよ。言ったらアマが強くなっちゃって食いっぱぐれるからね」
プロ棋士の本で学ぶことが多かった私は、それ本当かなあと疑問には思っていた。
しかし、剛田さんから本には一切書かれていないことを教わるうちに、真実だと思うようになった。
確かにプロ棋士はウソはつかないのだけれども、肝心要のことは隠したり曖昧にはぐらかしたりいることが分って来た。
↑剛田さんのイメージ。
容貌魁偉というのか、さも勝負師という雰囲気の人だった。アマチュアだがプロ級の実力を持っていた。
そういうことを知らない一般のアマチュアは、「~本因坊がこう言っている」というだけで、無批判に正しいと判断しているように思われた。(実は私もそうだったのだが)。
剛田さんは、「本因坊が言おうが名人が言おうが、間違っているものは間違っているんだ」と言ってはばからなかった。「権威に従うんじゃない。棋理(囲碁の理論)に従うんだ。棋理に外れたことをやるから負けるんだ」とも言っていた。囲碁に限らず、この世のあらゆる事象に当てはまることだと思った。
ただし、私の主観だが、プロでも本当のことを言っているなと思われる棋士が一人だけいる。韓国出身の二十五世本因坊の趙治勲(ちょうちくん/チョチフン)さんである。相手が誰だろうと歯に衣着せぬ批評をするので有名だったが、それだけに嫌われもした。
↑趙治勲二十五世本因坊。
著書でも、普通の棋士が言わない真実を書かれている。
やはり日本人は周りに忖度し過ぎるから、本当のことを言えなくなるという面があるのだろう。こういう点は変えていかなければなるまい。
あっ、声楽の世界でも本当のことしか言わない人を知っているよ。
誰であるかは「永田チャンネル」で検索してください(笑)。
ありがとうございました。