【204】狐の嫁入り | 吟遊舞踏苦労狂 Bard Ball Chronicle~競技ダンス冒険譚~

吟遊舞踏苦労狂 Bard Ball Chronicle~競技ダンス冒険譚~

理想を語るだけのヘタッピ中高年による
競技ダンス冒険譚、幻想譚もとい妄想譚
『ファンタジーとダンスが交錯する世界』
のつもりで書き始めましたが
気づいたら普通の(変な)ダンスブログになっていました

 それはそれは綺麗な光景でした。

 

 4月16日の財団B・C級戦。産業貿易センター浜松町館。

 5階が競技会場で、4階が控室でした。

 

 C級プロラテン決勝を観終わって、B級アマラテン準備のために下りのエスカレーターに乗りました。

 

 僕が下る左横。上りのエスカレーターには、控室から競技に向かうB級プロスタンダードの選手たちの背中、背中、背中…。

 

 息を呑みました。

 

 一段ずつ、パートナー、リーダー、パートナー、リーダー…

 エスカレーターの幅は一人用なので、左右の隙間もなく、

 規則正しく、ドレス、燕尾、ドレス、燕尾、ドレス、燕尾…

 

 赤、黒、緑、黒、白、黒、青、黒、黄、黒…

 

 選手は既に姿勢が試合モードですが、荒ぶらない研ぎ澄まされた闘志で前後の選手を牽制し合っている様子。

 そして、衣装の高級さもあってか、優雅。

「C級君たち、終わりましたか? 今から私たちが本当の舞踏会を始めますよ」

と言っている様な行列を、エスカレーターがスローフォックストロットの流れのように運びます。

 

 美しさを通り越した不気味さを放つ行列は、まるで狐の嫁入り。

 

 窓の外も、晴天と雨降りを繰り返していました。