第1次:1970年代の産業向け
第2次:2000年代のAIBO
そして現在、ヒト型ロボット「Pepper」や災害用ロボット、無人飛行機「ドローン」など新しい技術が開発されています。
この新時代の先駆けとなったのが、ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明社長です。
北野氏は人工知能の第一人者で、ソニーのペット型ロボット「AIBO」の開発に参加しました。
まだ機械的で精密な動きを重視していた当時のロボット開発に対し、ロボットが自律的に考えて人と共生するコンセプトを掲げました。
数多くの業績の中、北野さんが人々に影響を与えた最も大きな成果は、歌手の宇多田ヒカルさんの音楽ビデオに登場するヒト型ロボット「PINO」です。
一般に販売している部品を使い、50万円ほどで製造できる設計が売りでした。
「PINO」販売を担当したのがZMP(東京・文京)の谷口恒社長。
谷口さんは制御機器大手などを経て電子書籍を扱うコンテンツ企業を設立し、現在では車の自動走行技術で世界のトップランナーとして活躍しています。
制御技術を担当した遠藤謙さんは、元陸上選手の為末大達と競技用のロボット義足を開発するサイボーグ(東京・渋谷)を創業しました。
北野さんのもとで画像認識技術を磨いた、アールティの中川友紀子代表は、米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を採用した二足歩行ロボットを世界で初めて開発した実力派であり、。ペッパーを開発する仏アルデバラン・ロボティクスのヒト型ロボット「ナオ」の販売も手掛けています。
ペッパーの原型となった「ナオ」は、北野さんが提唱して開かれた『ロボカップ』で技術を蓄積しました。
その『ロボカップ』で技術を培った米キバ・システムズ創業のラファエロ・ダンドレアさんは、現在、世界のドローン開発を牽引しています。
このように、北野さんに影響を受けた、多くの起業家が、現在の第3次ロボットブームを支えているといっても過言ではありません。