龍の王女の嘆き
私の若い頃。全ては龍のためにあった。私の子どもの頃。全ては龍のためにあった。龍の王女はいつも雲をかき混ぜる。体を存分に使い、体をうねらせ雲をかどわした。空に浮かぶ大きな雲。その合間にぽっかりとまあるく青い空が覗いた。そのぽっかりとあいた青い空の隙間が急激に暗くなった。まあるくあいた隙間に暗い暗い雲が立ちこめた。かどわしすぎた龍の王女は雷に打たれた。そのあと光が放った。全てはイエスのために産まれた。神々に呪われ、唯一プルートに愛された。冥土の神は裏切りの神。いくつもの裏切りを越えて、愛されるべきものが愛されなくなる術を学んだ。神々よりプレゼントされた数々の物語。いまここに始まる。「クラウド!クラウド!クラウド!いつものようにかどわしたよ!半分やっておいてね」結婚したかったな。龍の王なんだ。心の中にいつも君がいた。こころにはいつも君がいていつも笑ってた。ほんとぼくはダメなやつだ。君の心には他の男がいるんだ。ぼくはいつもだめなんだ。いつも君を罵った。実は君は違う所にいたと言うことにずっと後になって気付いた。その時にはもう遅かった。イエスに睨まれていたんだ。「クラウド!クラウド!クラウド!大好きなんだ!やっと言えた!言いたかったんだ」いつも笑顔の君は僕の太陽だったんだ。僕は龍の王なんだ。大きい大きい仕事を任されるはずだったんだ。だから君と一緒に舞いたかった。君がいなくなって、僕は人間になんて落ちると思わなかった。でも君と一緒が良かったんだ。そして気がついたら黄泉さ。龍の黄泉の国は陰気くさくて気持ち悪いんだ。でもぼくは雲が好きなんだ。だからきみは「クラウド」って呼ぶんだね。僕の事だと思う。でもあいつも「クラウド」なんだ。でもやっぱり僕の事かな。ほら、僕のこと大好きだって言ってくれた。でも隣にいるあいつらも喜んでる。僕は僕はいつも黄泉で君を待つよ。いつも待ってるからね。絶対なんだ。1958年8月男はいつものように農作業をしていた。「美しい少女を見た。かならずあってやると思った」「だからダリーの言葉っておかしいよ」男は楽しく暮らしていた。もう一人のdallyは龍の王と楽しく暮らしていた。「いまの王は農夫か」龍の王女は「dally」という名前を名乗っていた。龍の家族からはdallyと呼ばれていた。龍の王と結婚する前の名前だ。dallyと言う名は、お父さんがつけてくれた。お花の名前なんだって。でも違う意味もあるんだ。それに気がついたのはずっと後のこと。龍の王は「大好きいつも一緒だよ」って言ってくれたのに。気がついたら睨まれた。誰に睨まれたのかは言わない。くるしいくるしいくるしいくるしいみたくないみたくないみたくないみたくないもういいや行こう。振り返ったらお父さんが怖い顔をしていた。「もういくぞ」お父さんは不気味な顔をして睨んだ。ぞっとした。こわいのこわいのこわいのこわいの全身緑色のオカマが走り出す。気がつけば黄泉の世界の黄泉の王。完璧に狂っている。薄緑色の木製のドアを開けると、黄泉の女王の部屋では相変わらず、兄と性交に耽っていた。朽ちた床に色あせた沁みだらけの絨毯。そして贅沢なシャンパンに贅沢な食事。色とりどりの蝋燭と揺れる炎。天蓋のついたベッド、紫色のサテンのシーツ。女王は白く透けたレースのベビードール姿で贅沢な贅肉をふるわせて兄に跨った。「地獄のセックスは最高よ。求め合い貪るの」ぎょろぎょろした目を光らせ舌で舐めて作ったまじない紙が風に揺れて飛んだ。兄は苦笑した。そして「愛の湖」に思いを馳せた。急にドアが開き、「こわいこわいこわい」と叫んで女王の部屋に黄泉の王がやってきた。真っ先にベッドに潜り女王と男の間に入り込んだ。ベッドにある首が取れた人形の山の中に蹲りそして叫んだ。「僕のdallyがいない。僕のdallyがいない。どこなんだどこなんだ」そう言うと狂って叫んでいた黄泉の王の顔が急変し笑みを浮かべ不気味に言った。「やぁ今日もやってるね。僕も仲間に入れてくれるかい。いつものように。ダリールームの打ち合わせをしようよ」男と女王の顔がこわばった。もう王はよだれだらけで呂律が回らなかった。もう王は狂っていた。ベッドの向こうにはdallyともうひとりのdallyがいた。裏切りを仕留めた瞬間のはずだった。1967年2月冬の夕暮れ、煉瓦色の石畳の街の一角。広場には噴水があった。そこに赤い色の花の模様のスカートを履いたお婆さんがいた。お婆さんは乳母車を引き風車を持っていた。乳母車の中には大きな人形が入っていた。お婆さんは赤いスカートに白と水色のセーター。よれた肌色のタイツ。ぼろぼろの赤い靴。簡単にまとめた髪は崩れてぼさぼさだった。顔には赤い口紅をさしていた。このおばあさん。発見するとみんなが逃げた。見ると狂っている。若い子を捕まえてはこう言った。「わかいころあかいくつはいたおんなのこだったのよ」と言って「赤い靴履いてた女の子」を口ずさんでいた。彼女の前世は実にそうだった。そして彼女霊使いであった。1966年9月男はいくつもの人生を終えて、会いたい女性がいた。いま日本にいるらしい。方々を探してもいない。いつも捨て猫みたいな女だった。気がつくといなくなる。いないと思ってあきらめるとまたやってくる。そんな女だった。dallyによく似ていた。また彼女を愛していた。もう離さない。獲得まで黄泉で待つことにした。1968年8月黄泉の国にひとりの女が現れた。黄泉のあたりから煙が立ちこめた。この女かなり古い婆さんだった。この世に降りてから黄泉になんか行ったことない。不思議な女だった。一つの人生をきちんと終えた事が無い。この女、赤いスカートに赤い靴が目印だった。神々がこぞって欲しがった。その訳は人生でこの女性と関わると不思議な事が起こる。奇跡を起こす霊使いだった。この霊使いの女は普通の人間と違っていた。霊になると体からの光が多すぎるのだ。姿は人間にも何事にも変化する。この女にまず出会う事は無い。それは地獄の星「冥王星」からやって来たからだ。小さな星だがその威力は大きい。確実に宇宙人なのだ。そして黄泉はある男から呼ばれてきたわけだが勝手がわからず、黄泉の「愛の湖」を発見し男に変身し存分に若い醜女と存分に楽しんだ後、迷い込んで黄泉の女王の部屋に行った。変な匂いがする。悪霊の匂いだ。不気味な声。喘いでるような叫んでいるような。「ああこれが私のこれからの声か」と咄嗟に思った。依頼の内容は何となく聞いていた。それに不思議な事の多い黄泉の国。ここは普通の黄泉とは違っていた。次元の違う黄泉は不気味だった。迷い込んで出られなくなる事もあると聞いていた。龍の黄泉は動く。かどわされる。動きがまた龍独特の動きで読めない。だから友達からずいぶん行くことを反対された。とにかく声のする方へ向かって行った。そして女王の部屋があった。また更に不気味だった。ベッドには私をここへ呼んだ男。男は愛した女との再会が女王との性交に耽っている最中であった。見つけた瞬間女は目に一杯ゆっくりと涙を溜めた。そして「ごめんなさい」と言った。男は思った。dallyか。魂はdallyそのものだった。でも違う。また男も狂いそうだった。男は上着を着て女の手を引き、その場から逃げた。黄泉の国の先にある雲の上をひとしきり走り抜け二人手を繋いで逃げた。女王から逃げるように。その後二人は黙ったままだった。雨が降った。そこから二人が愛し合うまでに時間はかからなかった。1969年1月黄泉の大きな礎を築く祭が行われた。龍の黄泉はいつも空は明るいがなぜか陰気くさい。龍の呪いを受け、明るい陽がないのだ。「黄泉なんてそんなもの」そう思った女はまた「愛の湖」へ行った。そこには次なる依頼者dallyの姿があった。彼女は若い女性に姿を変えて黄泉の王を見て泣いていた。管理者である黄泉の王は「愛の湖」の醜女に姿を変えられカエルになっていた。緑色のその姿は他の女性たちをが囲んでいた。不思議な光景だった。カエルを女が囲む。最近黄泉の王は全身緑色の姿をしてカエルに変わると聞いていた。女はしばらく様子を見た。じっと声を潜めて。dallyが泣き始めた。その後彼女は龍に姿を変えた。しばらくすると黄泉の王のカエルは女に依頼した男そっくりになっていた。dallyは男といつも人生を歩み王の元には行けなかったようである。女は震えて泣いた。こわかった。狂っていたのである。よだれを垂らし泣きながら「dallydallyポケットの中のビスケットは半分なんだ」と叫んでいた。黄泉の王はdallyが大好きだった。この王はもともとは龍の王だった。昔々王は離縁した女がいて、龍の仕事を辞めたと聞いていた。離縁した女はdallyだと言うことに気がついた。dallyと龍の王は半神だ。姿と透けて見える魂の色とかたちがそっくりだ。その時光が差し銀の龍が現れた。また光が差し女も龍に変わった。黄泉の「愛の湖」に無数の雷が落ちた。轟く音。そして黒い龍が無数にも現れた。風が強く強く吹いた。雲は厚く黒く変わり白く明るく照らされた湖の水は水かさを増し何体もいる男を女を流した。男と女の姿は無数の人型の紙の人形であった。湖の水が無くなり雲がまた明るくなりその人形は渦を巻いて天に昇っていった。そして二つの龍はこの黄泉の王をさらって天に舞っていったのである。クラウド!クラウド!クラウド!はんぶんこしたからいけないんだ。龍のちからがわかなくなっちゃたんだ。ごめんね、言いたいこと言えなくなっちゃった。私の好きなクラウドは空気にもなったんだ。だから空気に向かって好きとも言えなかったんだ。くるしいくるしいくるしいくるしいごめんなさいごめんなさいごめんなさいびすけっとはんぶんあるよ。びすけっとはんぶんあるよ。きれいなおねえさんといっしょにすてきな家庭を築いて欲しかったんだ。私じゃダメみたい。一生懸命すぎるって。だめなんだ。dallydallyいつもの君はいつも裏切った。いつも大切な時にいなかった。だから黄泉で待ったんだ。礎の祭には間に合いそうだ。あとでだよ。知ってたよ。dallyいつもの君は伝える気まんまんだ。かわいいかわいい。すてきな笑顔がみたいな。すぐに会えるよ。大好きなんだ。僕は黄泉のdallyが気になるな。イエス!神さま今日のプレゼントを故郷の星へ天然宇宙人、冥王星から誕生!地獄のヒカリを添えて。マンモス悪魔の退治はもうちょっと。くすんだヒカリから透明を増したヒカリへ!ヒカリ通信だ!はやく!愛してます。Discovery,BBC