ネルドリップという呼吸法 | BAR14Nの憂鬱なラテアート

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エスプレッソやラテアート、コーヒーの話

10月1日、コーヒーの日、D&DEPARTMENT主催のイベント、d SCHOOL 「わかりやすいコーヒー」の第2部に参加した。第2部では、対談とネルドリップ。初めてネルドリップをすることになった。

今まで面倒そうですることがなかったものが、ネルドリップ。管理はどうするの?とか、ペーパーフィルターで表現できるものではないの?とか、きっとやらなかったことには、言い訳に近いものがあったと思う。

 

イベントの入場時に、くじを引いた。このくじによって、ネルドリップを教えてくれる講師が決まる。ぼくが引いたのは珈琲美美の森光さん。対談が終わり、ネルドリップ体験へ・・。

 

ネルドリップで何が大切なのかとか、全然わからないまま森光さんのドリップを見る。注目していそうで、ただボーっと見ていたんだと思う。森光さんによる実演は一度のみで、あとはイベント参加者がドリップしていって、森光さんからアドバイスをもらっていった。

最後までゆっくり淹れて行った方が良いのかとか、注ぎ方の質問があったと記憶しているけど、最初の「ドリップ」が肝心で、あとは、どうでも良さそうな感じで言っていた。最初で味が決まるから、と。言葉通り受け止めてしまうことはできないけど、でもそれは、ちょうど数日前に見たブリューワーズカップというコーヒーの大会で、選手たちが度々言及する、味の決め方に通じるものだと思う。

森光さんの淹れたコーヒーは、コーヒー豆の状態の時に見た光沢感からは、想像できない甘さがあった。苦味もあるんだろうけど、甘い印象を中心に、心地良さがあるコーヒー。

 

 

ぼくの淹れる番になった。左手にネルドリッパーを持ち、右手にはケトル。自然と手が震える。コーヒーの粉にお湯を注ぎ始める。落ちていくコーヒーがサーバーから外れないように、ドリッパーをサーバーに近づけて注いでいると、森光さんから

「体の重心をここに置いて」と下腹部を指された。

あまりにもコーヒーをこぼさないように、と思っていたから、自然とドリッパーの方にばかり意識がいってしまっていた。テーブルも低かったから、屁っ放り腰になっていた。あまりにも美しくない姿。

少し勇気を持って、腕の位置を上げる。下腹部で呼吸するようなイメージをする。これでもかっていうくらい両手が震える。それでも、森光さんがドリップしてたように、注ぎ口を限りなくコーヒーの粉に近づけて注ごうとした。

 

手元の技術だけでは得られない美味しさがある。森光さんや大坊さんが注いでいる時の美しさ、それって姿勢から来るものであり、その美しさがなければ、コーヒーも美味しいと感じないのかもしれない。

森光さんは、コーヒーを飲まなくても、見れば美味しいかどうかわかるって言っていた。対談の時も、美味しいコーヒーには、コーヒーのふちにゴールデンリングができると言っていた。

美しいと思えるもの。その情報は美味しさへと繋がるが、騙されてはいけない。何か本質的なものがあって、それが結果として美しさを生み出しているんだろう。

 

コーヒーの検証だったり、技術の習得、その他いろんな勉強があるけど、その前に、まずは姿勢を正し、体の重心を意識して、呼吸しよう。そして、そこから生み出されるものがあるんだろうと思う。

 

(↓ネルドリップを教えてもらった翌日、自宅で早速)