8月のサービスボトル | BAR white L(ホワイトエル)のブログ

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天神橋最南端のBARです。
「身近で温かいオーセンティック」
をコンセプトに下町のbar文化を発信していく所存です。
心地良く背筋を伸ばし、限りなく心に寄り添う。
white Lはそんなお店でありたい。

BAR white L
ほぼ無休 18時〜4時
大阪市北区天神橋1-10-9 2F

今年も天神祭が終わった。



たったの二日間ですが、この町の『天神祭』はもう少し長い。
春先から話題に上り、年末迄祭り話に花が咲く。



皆口にする「天神祭終わったら年末や」を実感する程に、私も南森町の住人に成りました。
今年も獅子に齧られた、鈴木です。


8月のサービスボトルを御紹介致します。
今回もウイスキー二本立て!



王道シングルモルトの18年熟成とブティックウイスキーのアラン27年‼︎
何とも豪華な二本立てです。

先ずは王道から...



グレンモーレンジ18年
¥1900/shot

グレンモーレンジはスコットランド・ハイランド地方を代表するシングルモルトウイスキー蒸溜所。
1843年創業、地元スコットランド内でトップの売上を誇る銘柄です。
「樽」に対するこだわりが強く、バーボン樽熟成をメインに今やシングルモルト業界の常識になった「ウッドフィニッシュ(熟成後期にシェリーやポートワインの樽などにウイスキーを移し替え、後熟成させる事)」の生みの親でもあります。
それ故グレンモーレンジは「樽のパイオニア」と呼ばれる。

創業当時、資金不足から異様に首の長いジンの中古蒸留器を使ってウイスキーを造り始めますが、逆に他の蒸留所が持ち得無い風味が生まれ、唯一無二のウイスキーが完成した。
以来グレンモーレンジは蒸留器を新設する際、当時と寸分違わぬモノをオーダーしているとか。

この一本は正に「樽のパイオニア」が生み出した傑作。
原酒の70%は18年間バーボン樽熟成。
30%は15年バーボン樽熟成後シェリー樽に移し替え3年間後熟。
それらをブレンドして出来上がる、お手本のようなグレンモーレンジ。

その味わいは『マイルド』、『ナッティ』、『フローラル』、『スムース』。

明確な個性を持ちながら、その全てが甘美で優しい。
ブレンデッドウイスキーの『バランス』とは異なる、シングルモルトらしいハッキリとした調和。
流石のグレンモーレンジ!
流石のルイヴィトン・モエ・ヘネシーグループ( ̄▽ ̄)
素晴らしい一杯をお楽しみ下さい。

お次は当店では超高級品に属するアランモルトの頂き‼︎



ブティックウイスキー アラン27年 シェリーパンチョン 47.8%
¥4000/shot

極めて珍しい「アラン」のボトラーウイスキー!
しかも「ブティックウイスキー」!
しかも「27年熟成シェリーパンチョン」‼︎
当然超少量生産で日本入荷は120本のみ。
そもそも超高級酒ですが、既にネットでは大手酒屋がプレ値で販売しとる嘆かわしい一本です。 
ブティックウイスキーは500mlと少し小さめのボトルでリリースされるので700ml換算すると偉い値段で取引されとるもんです...。

1996年蒸留なので、恐らくアランモルトではオフィシャル踏まえて最長期熟成では?

少し前に定価で手に入れ温めていた当店秘蔵のシングルモルトウイスキー、今回サービスボトルとしてお届け致します‼︎
このお値段でもかなりのお値打ち価格と御理解下さいm(_ _)m

あっ、販売元のボトラー「ブティックウイスキー」については先月ブログを御参照下さい↓↓
クラフト蒸留所のパイオニア、アラン。
今やスタンダード品ですら入手が難しいシングルモルトスコッチウイスキー「アラン」。高い次元で安定した品質と適正価格(今や)が仇となり、需要に供給が追いつかない。
慢性的にこの状態は続くでしょう。
勿論、長熟品は更に入手困難なのは言うまでもありません。

少し長いですが、シングルモルトウイスキー「アラン」について少し触れます。

スコットランド南西・クライド湾最大の島、アラン島。
主要都市であるエアシャーやグラスゴーに近く、かつ海を隔てた島と言う立地から、全ての蒸溜所が未認可だった密造酒時代は「密造酒界のブルゴーニュ」と呼ばれる程多くの密造者が高品質のウイスキーを造っていたそうな。
しかしその後グレンリベットなどが政府公認蒸溜所として勢力を伸ばし、アラン島のウイスキー業界は衰退。
1837年島内最後の蒸溜所「ラッグ蒸溜所」の閉鎖から150年以上、この島でウイスキーが造られる事はありませんでした。

時は流れ1994年、シーバスブラザーズやハウスオブキャンベルでマネージングディレクターを務めたハロルド・カリー氏が独立し自身の蒸溜所設立に踏み切った際、豊かな水源と熟成に適した年間平均気温の高さに魅せられ、アラン島北部・ロックランザに「アラン蒸溜所」を建設。
初代蒸溜所長はアイルランドのクーリー蒸溜所長・ゴードン・ミッチェルが就任。
ビジターセンターの除幕式にはエリザベス女王が招かれ、熟成を経たアラン最初のウイスキーの樽開けをユアンマクレガーが行うなど、アラン島のウイスキー再興は華々しい物でした。

2007年以降はボウモア蒸溜所長を30年務めたジェームズ・マクタガートを新たな蒸溜所長に迎え、更なる発展を遂げます。
ちなみにこのジェームズ氏、何と毎週アイラ島の自宅からアラン島へ通っているそうな( ゚д゚)
フェリーと車で52マイル、4時間の距離です。
アイラ島民って本当に地元好き。

アラン蒸溜所は2019年、島南部に第二蒸溜所である「ラッグ蒸溜所」を設立し、其方ではベビーピートタイプを生産。
現在はハイランド産ピートを使用してますが、今後アラン島のピートも取り入れるそうです。

以降アラン蒸溜所は「ロックランザ蒸溜所」と名を変え、『アランモルト』の商品名で販売されております。

そんなアランモルトの27年物!
しかもシェリー樽熟成‼︎
勿論樽出しの47.8%!

そもそもアランはシェリーやソーテルヌカスクを用いて甘めのウイスキー造りを行っていますが、その極みに近い一本ではないでしょうか⁇

公式コメント通りレーズンとバニラカスタードの深く甘いテイストと、アランらしい南国フルーツのフレーバーが折り重なり、それでいて端正。
アラヒー系の様な強烈なビター&スイートとは一線を画す、シェリー樽熟成のまた一つの頂点です。
一生に一度の味わい、かつ新しいシェリー樽ウイスキーの可能性を教えてくれる一生に一度の機会。
ワンショット¥4000以上の価値は充分過ぎる程感じるウイスキーだと思います。

目を閉じ、向き合い、全身で御堪能下さい。