こんにちは。
東京でのMOT研修にて、マーケティングの先生より、富士フィルムの化粧品アスタリフト
に
関する話題が出ました。
「フジフィルムの化粧品、ありだとう思う」
というキャッチフレーズで、中島みゆきと松田聖子を起用したCMでプロモーションを行っているのは
ご存知かと思います。(私は富士フィルムである事に気づいていませんでした)
富士フィルム社が独自のフィルム技術で蓄積してきたナノ技術、
コラーゲン技術、抗酸化技術を化粧品の基礎分野で応用してきた。
本業のフィルム、デジタルカメラが厳しい中、満を持しての「既存技術」による「新事業分野」への
参入だった。
技術に関する説明もあったので、富士フィルム社のもつナノ技術が、それは素晴らしくて体(細胞)に
浸透しやすいものであること。フィルム自体が感度や酸化に悩まされる商材であり、その何万種類ものの
化合したデータサンプルから、あらゆる分野にも対応する可能性があるという。
サプリメントも、これまでのサプリメントや体に良いと言われてきた商品も、そのほとんどが、
小腸の微細毛から細胞にまで吸収されないまま、流している状態であったそうだが、富士
フィルムの技術を使うことで、「きちんと体に吸収される」という画期的な技術知見に基づいた
マーケット参入である。
先生からも、かつての花王のソフィーナの事例をたとえて、今後富士フィルムにとってはどのような
課題が発生するかという事を少し考えるきっかけをいただいた。
【課題】
・販売チャネルの課題
・プロモーション経費
・ライバルメーカー(化粧品・飲料)の動向
・これを機に同様の技術がブレークスルー、あるいは発見される可能性(脅威)
【可能性】
・医療分野・ライフサイエンス分野(デジタル技術分野)との連携の可能性
・富士フィルムのブランド向上(カメラフィルムメーカーからの脱却)
・他の企業への技術提供
【検討】
富士フィルムは、現在、コア事業であるフィルムを日本国内での生産のみに圧縮し、
デジタルカメラも現在、シェアが低くなっている。(デジカメの国産第1号メーカーだった)
当然ながら、新規事業の開発・新製品の投入が必要とされる中、デジタル技術を利用した
医療機器分野への投資が進んでいる。
一方、今回のフィルム技術を活用した新規事業の可能性は大きいし、一方で、危険性も
持ち合わせている。
「物質の劣化の原因となる活性酸素が人間の老化などにも関わっているといわれているが、フィルムの感度向上やプリントの長期保存などにも活性酸素の制御が重要という。同社は『写真感光材の開発研究で蓄積してきたコア技術は深く人間の生命現象と関わっており、ヘルスケア分野にも効果的な形で応用することが可能』」
との事。
(出典: http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0609/12/news098.html
)
強みは、何万種類、何十年に渡るデータサンプルの蓄積であり、これが今後の大きな
ブレークスルー技術の発展につながるという自信が、富士フィルムの技術陣から見える。
細胞膜レベルで浸透する技術が、フィルム分野から見つかり、当然ながら、この技術を
他社へライセンス提供したりする事も考えられたであろう。
事業としては、現在の富士フィルムのグループとしての経営状態も、売上・営業利益ともに
苦戦をしており、将来の柱の一つにしていきたいという事で新規事業として十分に成長させる
ことができると判断したのか。
化粧品のクチコミサイトなどでも概ね好評のようであり、どうしても「富士フィルム=きめ細かい
技術」というイメージが湧いていない印象が多いようであるが、利用した後の浸透感が高いなどと
言われているようだ。
(目的・効果はキッチリ果たしている様子)
↓ クチコミ事例
http://www.cosme.net/product/review/product_id/2919514
http://cosmecheap.seesaa.net/article/37346389.html
フィルムがどうしても天然などの技術というイメージにはならなくて、科学技術に見られている様子で、
この辺りを払拭したイメージ展開を行うことがポイントではないか。
ただ、今回の参入で、大手化粧品メーカー、あるいはサプリメントの会社も黙っていないでしょう。
という事で、研修の時も概ね一致した意見でした。
半年~1年で続々と同様の技術を取り入れた製品が投入されることは予想されるでしょうから、
その時、販売チャネルの弱い化粧品販売ルートでどのような対応を強いられるか、今後
当然ながら考えていかなければならないでしょう。
花王のように素材を化粧品メーカーに納入する戦略も十分考えられますが、花王自体も
ソフィーナを作った理由は材料メーカーでは利益が少ないという課題がありました。
富士フィルムが持つノウハウ(データサンプル)や特許・非特許のブラックボックス化された
技術というのは、リバース・エンジニアリングが可能なものなのか、それとも代替可能な
他の技術が確立されるかなどが大きなポイントになってくるでしょう。
今後の技術と事業戦略としては、非常にサンプルとなる面白い事例のように感じます。