枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
8月5日(木)は、第6回「関西教育ICT展」、インテックス大阪に行って参りました。
私が気になったものだけ、まとめておきます。
学校教育におけるICTの効果的な活用
文部科学省 初等中等教育局 課長 板倉 寛 氏
PISA2018の「結果」
- 数学的リテラシーおよび科学的リテラシーは、引き続き世界トップレベル。調査開始以降の長期トレンドとしても、安定的に世界トップレベルを維持している
- 読解力は、OECD平均より高得点のグループに位置するが、前回より平均得点・順位が統計的に有意に低下。長期トレンドとしては、統計的に有意な変化が見られない「平坦」タイプ。日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった
- 社会経済文化的背景の水準が低い生徒群ほど、習熟度レベルの低い生徒の割合が多い傾向は、他のOECD加盟国と同様に見られた
- 生徒のICTの活用状況については、日本は、学校の授業での利用時間が短い。また、学校外では多様な用途で利用しているものの、チャットやゲームに偏っている傾向がある
- 来年度からの新学習指導要領の着実な実施により、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善や、言語能力、情報活用能力育成のための指導の充実
- 学校における一人一台のコンピュータの実現等のICT環境の整備と効果的な活用
- 幼児期から高等教育段階までの教育の無償化・負担軽減等による格差縮小に向けた質の高い教育機会の提供
- 教育・学習は技術に優先すること
- 最新・汎用的な技術を活用すること
- 簡便かつ効果的な仕組みを目指すこと
- 安全・安心を確保すること
- スモールスタート・逐次改善していくこと
- GIGAスクール構想の実現のためのハード整備は「一人一台端末」配布と「高速ネットワーク」整備が必要。まだ整っていない地域もある
- 教育ICTに関して、「教員は失敗してはならない」ということはない。教員よりも端末に対しては、よく知っている子どもはたくさんいる
- これまでの「完成された授業」においては、日本の教員のレベルは世界的に見ても高い。「新たな授業スタンダード」では、教員も子どもも安心して小さな失敗ができる学校づくりが必要
- 教育データの標準化(統一プラットフォーム)は、(情報セキュリティも含めて)文部科学省のミッション
4都市教育長が語る GIGAスクールで変わるこれからの学び〜令和の学びのスタンダードとは〜
- パネリスト
- 大阪市教育委員会 教育長 山本晋次氏
- 京都市教育委員会 教育企画監 大黒喜裕氏
- 神戸市教育委員会 教育次長 山下准史氏
- 堺市教育委員会 教育長 日渡円氏
このパネルディスカッションには、100名を超える参加者で、主に教員だった模様。皆さん熱心にメモを取られていました。
まず、それぞれの市の教育長他から各市の取組状況の説明があり、その後コーディネーターから数問質問がありました。
教育は、20 年後の「子どもたちが大人になる時代」を見据えて行うもの。
しかし、教員や子どもたちの親世代の中には現時点での価値観を判断基準にしてしまったり、自身が受けた 20 年前の教育と比較してしまったりすると、見据えるべき教育と 40 年のギャップが生じてしまう。
画像はここからお借りしました。
基本的な考え方
学びを保障するという観点から、学習者用端末等を持ち帰り学習動画の視聴をはじめ、調べ学習や双方向オンライン学習の実施等、児童生徒の発達段階や強化に応じてプリント学習等を組み合わせて行う。(期間:2021/4/26〜5/21)
課題対応
- 教員への支援
- 教員のスキルやニーズに応じた研修
- ICT教育担当教員向けの研修
- ICT教育推進アドバイザー、ICT教育アシスタントの派遣
- 各校の工事例をICTニュースとして全教員に周知
- 児童生徒への支援
- 機器操作マニュアルの再周知
- 通信環境の改善
- 学校単位での分散型ネットワークに
- 端末の家庭への持ち帰り
- 2021年9月から小学校5年生以上を対象に端末の家庭持ち帰りを開始
- 不登校・特別支援
- 授業のライブ配信、動画コンテンツの提供など
- 「心の居場所づくりハンドブック別冊〜ICTを活用した支援について〜」を作成・発行
- 学校は、一人ひとりの自発的想像力を高めるとともに立場の異なる人々とのコミュニケーションや協働(コラボレート)する力を主体的に学びとる教育のイノベーションが必要
- パネラーの意見・感想
- 今後のタブレット端末、WIFI環境などのコスト負担についての保護者の理解が必要
- 学習コンテンツ動画は15分が見る側の限界
- 子ども自身が考え方の違いを認識し学び合う環境は、ICTによって作りやすくなったかもしれない
- オンライン授業が時数カウントされないのは疑問。教員側が推進する妨げになっている
- オンラインでの学習、コミュニケーションには余白ない
一人一台端末配布が、一人ひとりの児童・生徒の資質向上、能力向上に結びつく教育を!
一人一台端末は、目的ではなく、手段に過ぎません。ただ、デジタル化は教育分野においても中央集権的に進められて行くことになります。トップに近い人にデジタルリテラシーなどの新たな伸ばすべき能力がなければ、逆効果であることすらあるかも知れません。教育関係者はもちろんのこと、私たち市議会議員も20年後を見据えた教育を過去に受けた教育のバイアスに縛られることなく、ひたすら勉強していくべきだと感じました。
効率化により生み出した時間を、人としての成長に。
「コミュニケーション力」、「クリエイティビティ(創造性)」、「スペシャリティ」に繋げるよう追求し続けたい(子どもも大人も)
教育分野へのICT導入では、教員の多忙対策も一部解消するような施策が取られることを望みます。そして、その時間によって教員自身も人としての成長をすることが、子どもたちへの真の指導に結びつくと信じています。20年後、活躍するために伸ばすべきスキルは、教員も未だ教えたことのないことですから、「子どもと共に学ぶ」そして「次世代につなぐ」という考えでいいのではないでしょうか。そういったところを私としても求めていきたいと思います。
昨年に引き続き、教育におけるICTの展示会を視察しました。昨年と違い会場スペースは明らかに小さく、参加企業が減っています。一人一台端末の整備という国家の大投資が終わったためだと思いますが、これからはランニングベースで端末の入れ替え、教育データの管理、学校内システムの整備などが進んでいきます。真の社会実装が始まっていきますが、一気に進めたことによる反作用も出てくるでしょう。
私としては、手段と目的を間違えることなく、大人も子供も今と未来の一人ひとりの笑顔を、一人ひとりの資質・能力の向上を目指していきたい。
昨年、関西教育ICT展を視察した際の報告書