ムッチーの禁煙日記3 -2ページ目

ガルシア・マルケス著『わが悲しき娼婦たちの思い出』を読む

わが悲しき娼婦たちの思い出 禁煙日記

ガルシア・マルケス晩年の作品。木村榮一訳。

『満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた。』という衝撃的な書き出しで物語は始まります。

舞台はおそらく南米コロンビア、マグダレーナ川畔の港町。

書き出しにあるように、主人公の“私”は馴染みの娼家に頼み、淫靡で破廉恥な誕生祝いを画策します。

娼家が用意したのは14歳のうら若き処女、デルガディーナ。しかし主人公はその乙女に指一本触れることが出来ませんでした。彼はデルガディーナに恋をしてしまったのです。しかもそれが、90歳にして初めての恋。

『ああ、これが恋なら、なんと辛いものだろう』

そんなある日、娼家でトラブルが起こり、デルガディーナが失踪します。彼は苦悩し、絶望し、自棄になり、彷徨います。

さて、二人の恋の行方はいかに。


尚、この物語の背景には様々な音楽が流れています。

暑さに耐えられそうにない時は『ドン・パブロ・カザルスが編曲した決定版とも言えるヨハン・セバスティアン・バッハのチェロの独奏のための六つの組曲を聴いて、気持ちを落ち着かせようとした。』(J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲)

90歳の誕生祝いのプレゼントの中には『シュテファン・アシュケナーゼの演奏でショパンの二十四のプレリュードが収められたレコード』があった。(ショパン/24の前奏曲)

他にも、『モーツァルトの四重奏曲』、『ワグナーのクラリネットと弦楽のためのアダージョ』、『ドビュッシーのサキソフォンのための狂詩曲』など。

また、音楽に対する描写や表現も豊かで、 『大洪水を思わせる彼の作品にあってエデンの園のような安らぎをもたらしてくれるブルックナーの弦楽五重奏』、『サティの禁欲的で叙情味をたたえた曲を聴いて、気持ちを静めようとした』など、著者の音楽への造詣の深さが伺えます。

それ以外で流れているのがボレロ。流行のボレロだったり、静かボレロだったり、熱っぽい声でうたうボレロだったりいろいろです。

この物語に登場する音楽はガルシア・マルケスのお気に入りの音楽と思われます。よって、ガルシアを読む時には、上に挙げた音楽をBGMにすることをおすすめします。ショパンでもワグナーでも、又は『スペイン風の舞曲(ボレロ)』でも、どうぞお好きなものを。

主よ、永遠の安息をお与えください

今朝はモーツァルトのレクイエムを聴きながら新聞を読む。外では悲しみの雨が降り続いている。

神戸市で11日から行方不明になっていた生田美玲ちゃんの遺体が発見された。無事でいてくれという祈りは届かなかった。美玲ちゃんは五女の風花と同じ、たったの6歳だった。

たくさんの目撃情報が美玲ちゃんの足取りを示していたが、誰も美玲ちゃんを救う事ができなかった。もはや誰も美玲ちゃんの気持ちを知ることもできない。

公園の蝉は鳴いていたのだろうか
空は何色で、鳥は飛んでいたのだろうか

お父さんやお母さん、仲のいいお友だち、
みんなと過ごした楽しい時間を思い出す猶予はあったのだろうか。

何より、なぜ、美玲ちゃんが殺されなければならなかったのか?

今となっては、一日も早い事件の解決を望むことしかできない。

 隠されているものはすべてあらわになり
 報復されずに残るものは何もないでしょう。


どうか、犯人には厳罰を。

そして、絶えることない光が美玲ちゃんを照らしますように。

先輩を置き去りにする

県民体育祭の一日目が無事に終わり、われわれ水泳チーム一同は『菊池グランドホテル』に旅装を解きました。

部屋ではすぐに酒盛りが始まりました。まだ16時です。
「待つとが苦手だんね、飲も飲も」
「飲も飲も」
それはみんなの統一見解でした。

僕とヨシさんもビールを飲みながら将棋を指しました。水泳大会会場でも2局指したので、これで3局目です。いったいぼくらは何をしにココへ来ているのか、時々分からなくなります。

18時半から大広間で夕食だったのですが、他のチームも一緒で大変盛り上がりました。

先輩でトライアスリートのカネさんとも大いに飲み交わしました。
カネさんは去年の大会も一緒で、二日目の朝、宿泊所からプールまで一緒に走った仲です。
「ムッチーくん、明日も一緒に走るかね?」
「はい是非ご一緒させてください。」
ぼくとカネさんは約束しました。

翌朝、6時に起床しました。予定では、朝食が6時半からで、出発は7時半でした。

朝食を食べるため部屋を出ると、カネさんが泊まっている隣室の223号室から賑やかな声が聞こえてきました。部屋を覗くと、カネさんをはじめとする先輩方が、朝っぱらからビールを飲んで盛り上がっていました。

たしか、今日は大会二日目で自由形決勝やフリーリレーがある筈なのですが・・・。

いったい僕らは何をしにココへ来ているのか、時々分からなくなります。

どう見てもカネさんは走れそうにないので、一人で走る事にしました。ホテルから会場まで約13kmあるので、車組のみんなよりちょっと早めの7時にホテルを出発しました。

会場までは一本道。天気は曇りでしたが気持ちのいい朝でした。最初の3kmはゆっくり、それからどんどんビルドアップしていきます。
快調です。

8km地点で車組のみんながクラクション鳴らして追い越していきました。

しばらくして、リーダーの乗った車が追い越しざまに減速し、リーダーが顔を出して大声で言いました。

「ムッチーくん、カネさんがホテルで待っとらしたよ。一緒に走るとじゃなかったとね?」

えーーーーー!?

結局、それからホテルに全速力で引き返し、ビールでほろ酔いのカネさんと合流し、再び水泳大会会場を目指しました。

プールに着いた時にはもう、フリーリレーの招集が始まっていました。

フリーリレーは散々な結果でした。先輩方は酔っ払っているし、僕は僕で30kmも走ったので足が全然動きませんでした。

こうして、今年の県民体育祭は終わりました。

さて、我々はいったい何者で、なんのために山鹿市まで行ったのでしょうか?

今、地元の中華料理店の宴会場で、みんなで酒を飲みながら反省しているところであります。

八千代座 山鹿市 禁煙日記
【↑『八千代座』(山鹿市)を見物するチームメイトたち】

長岡弘樹著『教場』を読む

 「むしろ、警察官に文句があるから警察官になった―――そんな学生の方が、ここには向いている。わたしの経験から言わせてもらえばな」(『教場』本文より)

教場 長岡弘樹 ムッチーの禁煙日記


警察学校の生徒41名と教官たちの物語です。

様々な過去や思いを抱えて、警察学校初任課第九十八期短期課程の『教場』に集まった生徒たち。彼らの前に立ちはだかるのは、警察学校の厳粛な規則と、鬼教官らによる地獄の教練でした。

 警察官としての資質に欠ける学生を、早い段階ではじき出すための篩(ふるい)。それが警察学校だ(本文より)

そんな中、担任教官が病気で入院します。その代理で赴任してきた教官が『風間公親(きみちか)』です。『キミチカ』から『気短か』を連想した生徒たちは震え上がります。

さて、生徒たちの運命はいかに。

警察学校の実情や因習、そこで繰り広げられる生徒たちと教官の葛藤をリアルに描いた好著。おすすめです。



うねる夏~バタフライ・ダイエット~(禁煙437日目)

バタフライを覚えました。とてもうれしいです。

45歳にもなって、何か新しい事が出来るようになるって、本当に素晴らしい事です。幼い頃、初めて自転車に乗れた時と同じ気持ちです。感動です。

バタフライを泳ぐこと自体は、それほど難しい事ではありませんでした。
ただ、バタフライに対して偏見があったのは確かです。バタフライは力で泳ぐものだと思っていました。実際は違いました。四つの泳法の中で、もっとも優雅で繊細な泳ぎでした。

バタフライを覚えようと思ったきっかけは、バタフライを得意種目とする女性スイマーと知り合ったからです。彼女のレッスンのおかげで、たったの15分間、3ステップのレッスンで、基本的な手足の動きは習得しました。でも、まだ完璧ではありませんでした。

「あとは『うねり』だけね」

彼女はそう言いました。
彼女の話によると、バタフライや平泳ぎは左右対象の動きで泳ぐので、体のうねりが大事だ、ということでした。イルカとかウミヘビとかエイとかヒラメとかの泳ぎをイメージするといいと思います。

それでコーチから体の『うねり』の練習方法を教えてもらったのです。

まず、立ちます。それから、①背中を丸める(猫背)→②胸を前に突き出す(前傾)→③腰を前に胸は後ろ(後傾)→①→②→③→…
 これを滑らかに連動させるのが『うねり』の練習です。最初は大きな動きでおこない、慣れてきたら小さな動きで出来るようにします。



これがなかなか難しいのです。特に体の硬い僕は、最初はまったく出来ませんでした。うねろうと頑張っても、のたうちまわっているロボットみたいに、ガクんガクんなります。おまけに、背骨がボキボキ鳴ったり、時には激痛もはしりました。

それでもうねりの練習を続けました。仕事の合間とか、テレビを見ながらとか、ちょっとの間を惜しんでうねり続けました。

そのうち、うねりがスムーズになってきました。そうすると、なんとなく楽しくなってきました。そうです。うねるって、すごく気持ちが良いのです。

やがて、うねるのが大好きになりました。うねってないと落ち着かなくまりました。
車の運転中もうねり続けました。
トイレやお風呂でもうねり続けました。
と言うか、トイレに行く時もうねりながら歩きます。
部屋の中を2メートル移動する時も、うねる事を忘れませんでした。
一旦うねりだすと、なかなか止まりません。キリがないのです。

つまり、この夏はずーっと、うねり続けていました。
おかげさまで、バタフライも優雅にきれいに泳げるようになりました。

それで、最近気づいたのですが、夏前に少し気になっていたお腹まわりの脂肪が、すっきりなくなっていたのです。体重も、全然走ってない割には、1~1.5kgほど減っていました。『痩せた』と言うより、『太らない』という感じです。
『うねり』の効果なのでしょうか。

実際、うねっていると、すぐに体がぽかぽかしてきます。ちょっとうねっただけで、脂肪が燃焼しているのが実感できるのです。

ジョギングなんかより気軽にできて、楽ちんで、効果も抜群だと思います。ダイエットをしたい方、特にお腹まわりや背中の脂肪が気なっている方には是非おすすめです。




ちなみに、僕にバタフライを教えてくれた女性はぽっちゃりしてます。