パソコンに日夜向かっていると、なんかつい手が寄り道して。

 いいねが多くて、背中押されました。

ペースはゆっくりだけど、アップしていきます。

手書きのタイムマシン 7.真実認識から。

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松山からの手紙。

中江真美からまた返事が来た。

あっちも委員として学園祭が大変だったらしい。

ハロウィーンも楽しんだと、イラスト付きで語っている。

手紙なのに言葉が弾んで、真美そのものだ。楽しい。

彼氏のことは書いてない。

男への手紙にそういうことは礼儀として書かないものなのだろう。

まあ、仲良くやってるんだろうな…

また返事を書いてしまった。

少しは絵心もあるところを見せたいと妙な対抗意識を燃やし、クリスマスモチーフの消しゴムハンコを作って押しておいた。もちろん落款も自作だ。

 

小野凛からもまた手紙が届いた。

金沢はカニがおいしい季節が始まった。しかし、雪の季節が近づくので、少し憂鬱だと。

寒稽古も始まるからと…寒稽古!? なにの? はあ、合気道。

いったいどこまで文武両道極めようとしているのか。

彼女のしているお稽古事の、ほぼどれも俺は取り組んでもいない…

「雪の兼六園はお見せしたいほど美しいです。おいでになりませんか?」

カニか。実は生涯で2度しか食べたことがないのだ。どんな味だったか記憶が定かではない。

お招きに応じたい気持ちは山ほど…しかしもう親のすねをかじれない二度目の学生生活なので、バイトに本当に精を出さなくてはならない。

そういえば、想い人の方は進展があるのかな。聞いてもいいのかな。

 

これで2往復することになる。

筆無精だと思っていた。意外に書くじゃないか俺。

もちろん手紙には、先日悩んだようなことは書かない。楽しい記事ばかりだ。

だから楽しいのだ。

 

二人のリアルの顔を、表情を、笑顔を、涙を知っているから、反応が楽しみなのだ。

今や返事をもらえることを織り込んで書いているといっていい。

対話の前提とする距離感など考える必要もない。

実際には距離は果てしなく、しかも、彼女らの実生活になんの責任もない。

ただお互い喜んで書き送るだけだ。

そんな期待が良くも悪くも裏切られることなど、考えてもいなかった。

 

 

クラスのクリスマス企画。

スケート場プレゼント争奪戦は、まっすぐしか進めない俺にはきつい企画だった。

カラオケでは、年代差を考慮しようか迷ったが、構わず自分の得意なものを叫ぶ。

意外に受けた。もっとも人数が多いので、2曲しか歌わせてもらえなかった。

これで、今年は解散。明日は帰省。

でも男子生徒が数人、うちで続きをやりたいとついてくる。

10畳一間だから入れることは入れる。

きっとそのまま朝までいるだろう。毛布が足りるかな?

クラスの女の子たちが手を振ってくれる。

会社を辞めるときには、想像もしなかった、楽しいひと時だった。

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この物語はフィクションです。