このブログであるがささやかなアクセス解析機能がついている。それを見てみたら、昨日一日で普段の10倍以上のアクセスが集中していた。なんだろうと思ったら去年の8月の記事。「杉山新一原画展(松戸・センパクブックベース)」というタイトル。ちょっと長いけど全文引用する。
杉山新一原画展(松戸・センパクブックベース)
2019年08月09日(金)
早めに昼食を摂って外出。久々の遠出。体に障害を得てからすっかりデブ症、もとい出不精になってしまった。
行先は西国分寺で武蔵野線に乗り換えて63分の「新八柱」。
目的地は「せんぱくブックベース」。今、巷で話題の「杉山新一原画展」を開催中なのだ。
話はこの2月にさかのぼる。あるツイートがネット上を駆け巡った。
これを見て多くの元・少年たちが心躍らせたのは想像に難くない。僕ももちろん、そのひとりだ。
そして多くの画廊関係者が「うちで個展をやらせていただきたい」と名乗りを上げたことも想像できる。僕ももちろん、そのひとりだ。
結果、杉山氏のご家族が選んだのがこの「センパクブックベース」。どうやら本屋さんらしい。そしてこのユニークな店名は造船会社の社員寮を改装したシェアオフィス&アトリエ「センパク」工舎の一角にあるからのようだ。
新八柱駅からタクシーで910円。でも本当はもっと安いはず。途中、運転手さんは明らかに遠回りをしていた。悪意ではなく近道をしようとして失敗していた。あやうく仕込み杖から白刃を抜くところだったが、家族の顔を思い出して思いとどまった。
レシートをみたら「マッド交通」とある。たしかに「マッド」な運転だった。いやも一度よく見たら「マツド交通」だった。
お店はすぐにわかった。ガラス戸を開けると5坪ほどの板の間があり数本の棚には本がびっしり。中ほどにレジがあり若い女性とお子さんが店番をしていた。その奥が和室でそこが展示室になっている。入場料の350円を払って奥の展示室へ。
大小の作品6点が額装されて飾られていた。飛行機、宇宙船、船、汽車・・・。僕らが夢想した未来が、憧れた歴史がそこにあった。
作品が掲載された雑誌の現物やカラーコピーのファイルも。この展示会のために作られたZINE(図録)の見本も。一通り見せていただいたがどれもがていねい。愛とリスペクトに満ちている。なるほど人の心を動かすのはやはり愛とリスペクトだな。ご家族がこの会場を選んだのがわかる。
お店番の女性としばし雑談。なんとお店番ではなく代表者。つまり本展示の企画者。まいりました。
この方、絵ノ本桃子さんはなんと元・某取次勤務。僕がいた会社とは別の会社だったが同業の付き合いはあり共通の知人もいて思わず「取次あるある」。本好きが集まって、出版社や書店を語れる人は多い。しかしつねに「シャドウ」な存在である取次を語れる人は少ないので楽しかった。
お店は複数の人に棚を貸して「店賃(たなちん)」をいただく「本の団地」方式。ある方の棚の面陳に僕の企画の本があってびっくり。
「本からはじまる物語」(メディアパル刊・2007年)
書店を舞台にした小説のアンソロジー。当時の人気作家(ここがポイント)をずらりとそろえた。
曰く、1「飛び出す、絵本」恩田陸/「十一月の約束」本多孝好/「招き猫異譚」今江祥智/「白ヒゲの紳士」二階堂黎人/「本屋の魔法使い」阿刀田高/「サラマンダー」いしいしんじ/「世界の片隅で」柴崎友香/「読書家ロップ」朱川湊人/「バックヤード」篠田節子/「閻魔堂の虹」山本一力/「気が向いたらおいでね」大道珠貴/「さよならのかわりに」市川拓司/「メッセージ」山崎洋子/「迷宮書房」有栖川有栖/「本棚にならぶ」梨木香歩/「23時のブックストア」石田衣良/「生きてきた証に」内海隆一郎/「The Book Day」三崎亜記
初出は「S」誌(今はもう休刊になったらしい)。もともとは僕がいつか「S」誌の編集担当になったらやろうと温めていた企画だ。だがどうやらもうそろそろ編集者としてあがりになりそうで「S」誌を担当する日は来そうもない。そんな頃に「S」誌の編集担当者が連載企画に詰まって頭を抱えているのが見えたので企画書のフロッピー(!)をプレゼントしたのだ。そしてそれが連載終了後、メディアパルで単行本になった。
うーん、いい本だなあ。あんまり売れなかったけどいい本だよなぁ。
ちょっと込んできたので絵ノ本さんに挨拶をして辞去。
帰りは石材店が立ち並ぶ八柱霊園に向かう道からバス。
びっくりするほど早く駅に着いた。絶対あのマッドマックスは道、間違えたよ。
もったいないので電車の中では図録は開かず、帰宅してから堪能した。丁寧だなぁ。展示作品の紹介、長年にわたる画業の紹介とともに家庭人としての杉山氏にも目が配られている。そもそもが娘さんの亡き父への愛情から生まれたムーヴメントであるのだ。「私はお手伝いをしただけ。ご家族のお気持ち、ご意向のままに進めました」と謙遜するが、そこが難しいのだ。お若いのに天晴れな仕事。
遠いし暑いしでどうしようかと思った展覧会だったが、遠くても暑くても行くべき展覧会だった。行ってよかった。
ああ、うちでもこういうのやりたいなぁ、やっぱり。
(引用終わり)
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上記のように去年は民間の小さな会場で催された杉山氏の原画展だが、今年は愛知県の「文化フォーラム春日井」という大きな施設のギャラリーに作品なんと150余点を集めて展示している。
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その件が昨日、中日新聞で大きく紹介されたらしい。そうすると興味を持ったみなさんはググりますよね。ちゃんとフルタイトルの「杉山新一原画展−懐かしき未来−」で検索すれば開催中のイベント情報に行き当たるんだけど不精して「杉山新一原画展」でググると去年の情報も交じりこみ、そこそこ上位に僕のブログが表示されるんだな。
つまり春日井で開催中の「杉山新一原画展−懐かしき未来−」の詳細情報を得ようとして、去年の別会場での企画のレビューを読まされるばかりか、四半世紀も前のヒットしなかった出版企画の愚痴まで聞かされてしまって申し訳ない。
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いや、本当にいい本だったんですよ。←しつこい。
・・・・・・・・・・・・もうすぐ開催・・・・・・・・・・・・・・
2021年2月4日(木)~14日(日)
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