◆VWグループ元役員、不正操作認める
アウディの元取締役会会長ルパート・シュタドラー氏は、ディーゼル車の排出ガス不正問題における過失による詐欺罪で、ドイツの裁判所から執行猶予付きの禁錮1年9か月の判決を言い渡された。
2007年から2018年までアウディを率いていたシュタドラー氏は、今回の判決で110万ユーロ(約1億7000万円)の罰金が科せられた。
検察当局によると、アウディはディーゼルエンジンをソフトウェアで操作し、テストベンチではEUが定めた排出ガス規制値に適合させていたが、実際の走行環境では適合できていなかったという。
シュタドラー氏は、2015年にディーゼル車の排出ガス不正操作が発覚した後、その手法を知りながら、ディーゼル車の販売を中止しなかったとして起訴された。
シュタドラー氏は今年5月、裁判官と検察との合意に基づいて司法取引を行っている。この司法取引では、罪を全面的に認める代わりに、罰金刑に加え、懲役刑ではなく執行猶予付きの判決が下された。
司法取引に応じることで、シュタドラー氏はフォルクスワーゲン・グループの元役員として初めて、違法ソフトウエアの使用によるディーゼル車不正操作を知っていたことと、該当車両の販売を阻止できなかったことを認めた。
共同被告であるアウディの元ドライブトレイン開発担当取締役ヴォルフガング・ハッツ氏と、アウディの元ドライブトレイン開発エンジニアのジョバンニ・パミオ氏も同様に、ディーゼル排出ガス不正問題に関する過失による詐欺罪で起訴された。
ハッツ氏には執行猶予付きの禁錮2年間と罰金40万ユーロ(約6300万円)、パミオ氏には執行猶予付きの禁錮1年9か月と罰金5万ユーロ(約790万円)が言い渡された。
シュタドラー氏と同様の司法取引で、ハッツ氏とパミオ氏はともに、アウディが開発・生産したディーゼルエンジンの排出ガス不正操作の罪を認めた。
ミュンヘンの検察当局は、シュタドラー氏の判決に肯定的な反応を示した。アンドレアス・グレープ報道官によると、裁判所は、5月にシュタドラー氏と検察との間で合意された司法取引の条件の範囲内で動いたという。
また、検察側はすでに、シュタドラー氏とパミオ氏に対する執行猶予と罰金に同意しているという。しかし、ハッツ氏の場合、検察側は3年2か月の実刑判決を求めていたため、量刑を見直す可能性があるとしている。
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