◆新たなF1シーズンが開幕、来季F1撤退でもホンダPUが残る経緯とは…
コロナ禍の非常事態を乗り切って、新たなF1シーズンが開幕した。 開幕戦を終えて 「最後の1年」 に投入されたホンダ渾身の新エンジンの戦闘力は如何に…?
2014年から新パワーユニット時代がスタート、すでに8年目を迎え、2022年からは更なる新時代F1が始まる。 その新時代を迎えることなく、ホンダは今シーズン限りでのF1撤退を表明した。
2018年から始まったホンダとレッドブルグループとの共闘は、わずか3年の関わりながら大きな成果を挙げてきた。そして現在、2014年以降圧倒的な力でF1を席巻し続けてきた王者メルセデスの牙城に迫る威力を持ち始めた。
ホンダは最終年となる今シーズン、新生ホンダF1プロジェクトの集大成とも言える新型パワーユニットを開発。「RA621H」はヘッド、カム角、ボアピッチ、MGU-H(熱エネルギー回生システム)等々、各部を大きく変更して燃焼効率を向上させ、信頼性を確保し、低重心・コンパクト化にも成功。
PU性能だけではなく剛性や空力などで車体へも大きなメリットを提供するパワーユニットとして登場した。もちろん今後のレースを経なければ宿敵メルセデスとの比較は難しいが、充分以上に肩を並べることは想像に難くない。
さらに今シーズン、レッドブルは2020年型マシンの「RB16」を発展させた「RB16B」を投入、そして傘下のアルファタウリは2020年型の「AT01」に開発トークンを使って「AT02」に発展させた。これは事実上のRB16なのだ。
もちろん、これに空力開発が加わるのだから、レッドブル陣営には合計4台のRB16型(=レッドブルの最新形)車体が揃い、そして4人の強者ドライバーが集結するわけで、トップエンドのポイントにこの4人が関わればメルセデスには大いなる脅威となってくるはずだ。
おそらく今シーズンのレース対戦「メルセデス」対「レッドブル」は、昨年以上に拮抗したチャンピオン争を展開してくれることだろう。ついにホンダPUがチャンピオンを狙う力をつけてはきたのだ。しかし、昨年表明されたホンダのF1撤退に関する決定は覆るわけではない。
◆2022年以降もホンダPUをレッドブルが引き継ぎ搭載
2021年2月、レッドブルはF1用パワーユニット製造会社「レッドブル・パワートレインズ」を設立。 パワーユニットに関する開発・製作・管理、そして知的財産権などのホンダPUの権利をレッドブルに譲渡し、2022年以降もレッドブルに搭載されることが発表された。そして2025年までホンダPUを使用することも発表された。
これにより、ホンダPUはレッドブルにその権利を譲ることでF1に残留することが決定したのだ。レッドブルに対するホンダの英断といってよいだろう。
もちろんホンダバッジが残るかどうかは別の話しだが、少なくともホンダPUは、2022年以降次なる新世代PUの登場まではその姿をF1に留めてゆくというわけだ。これはF1にとっては極めて嬉しい決定といえる。まさにホンダのDNAがF1で活躍し続けることになるのだ。
もしレッドブルグループの2チーム4台が搭載するHONDAパワーユニットを失えば、チームの存続に関わり、もしも他メーカーのカスタマーPUを得たとしても、ワークスサービスを受けることはできないだろう。
となればレッドブルはパワーソースの部分でハンディを負うことになり、F1からハイエンドでの激しいコンペティションが消えることにもなりかねない。レッドブルもそれを知っていて、あえてホンダPUの譲り受けに固執したのだろう。
来季ホンダPUのF1残留とはいえ、どういう形になるのかは未だ不明な部分も多く、レッドブルとの譲渡契約に関する詳細煮詰めには多くの問題もあり協議が必要となることだろう。
レッドブルがホンダPUを叩き台にして、そのまま独自のPUメーカーとして発進するのか、あるいは数年後に控えた新時代PU開発に他のメーカーを物色するのか、契約には金銭よりもその部分のすり合わせに時間がかかるのかもしれない。
実際、レッドブルは将来的に自社製パワーユニットの生産と他チームへの供給も含めたビジネスを検討しているという。またフォルクスワーゲングループであるアウディーやポルシェの参戦も噂され、これが本当ならばレッドブルは恰好のパートナーになり得るわけだ。
◆ホンダがF1にパワーユニットを残す「意義」
同じくホンダからPU供給を受けているアルファタウリ。今季は角田裕毅が7年ぶりの日本人F1ドライバーとしてステアリングを握る。
現在まで4回にわたるホンダのF1参戦は、社会情勢などにより突然の撤退、再参戦でF1界を震撼させた歴史があるのだが、第4期にして始めて撤退すれどもF1にその足跡を明瞭に残す手段が講じられたことになる。
いくつかの自動車メーカーや企業はF1に参戦し、企業力といわれる巨大な経済力と技術力、F1レギュレーションの変更などによるレース業界独特な脅威と金銭的猛威にさらされながら、関わってきた多くのチームが成功を待たずに路頭に迷い、そして立ち去り、消滅もした。
しかし、今回のホンダは撤退をすれどもF1を傷つけず、F1の歴史に正しく足跡を残し、今後もF1への貢献を果たすことになる。この形での撤退はF1界に遺恨を残さず、惜しまれてのものとなり、将来的にもしも5度目のホンダF1参戦があるならば、F1界は必ず歓迎してくれるはずだ。
近未来的には「内燃機関」が市場から消える運命に立たされている現在、現行のハイブリッドF1パワーユニット開発は、企業へのメリットを失い始めてしまった。したがってホンダの撤退は致し方なく、ルノーやメルセデスが今後どれほどF1参戦を続けられるかにも大きな疑問符がついて回る。
こうなるとF1の継続には何らかのパワーユニットの確保が必要だ。カスタマー仕様のPUが得られる状況を作らなければ「F1」自体が危ない。
こう考えるとレッドブルがホンダPUを叩き台にして、独自のF1 PUを生産販売できれば、過去のコスワースのように、カスタマーPUでのF1コンペティションが可能になるのだ。
もっと言えばホンダの英断は近未来的にF1の存続を支え、F1を救うと考えてもよいかもしれない。そしてホンダのF1レース関与という「DNA」は後世に伝えられるはずだ。
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【 Honda Racing F1パワーユニット開発秘話(1)MGU-Hとは の動画はこちら 】
https://www.youtube.com/watch?v=lK-5TjVbHko
【 Honda Racing F1パワーユニット開発秘話(2)耐久性アップ の動画はこちら 】
https://www.youtube.com/watch?v=4_MRz9pDyGQ
【 Honda Racing F1パワーユニット開発秘話(3)性能アップ の動画はこちら 】
https://www.youtube.com/watch?v=yR6w_qY_LmQ
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