宮沢賢治『十力の金剛石』
より



りんどうの花はそれからギギンと

鳴って起き上がり、ほっとため息をして歌いました。


トッパァスのつゆは

ツァランツァリルリン、

こぼれてきらめく

サング、サンガリン

ひかりの丘に すみながら

なぁにがこんなにかなしかろ。




〜宮沢賢治〜




写真はリンドウの花。


宮沢賢治の作品には,

擬音(オノマトペの一種)が頻繁に

使われています。


童話『十力の金剛石』でも,

気象、動物や植物、鉱物などに

擬音が使われています。


「ツァリンツァリルリン」

トッパァス=トパーズ

がこぼれたら、

きっとこんな音がするだろうなと

思うけど、自分で考えるとしたら

こんなふうには表現できない。


このような表現は

自然を愛し、

人間も動物、植物もみんな平等なのだと

いう考えを持っていた宮沢賢治

ならではのものだ思います。 


考えなくても

音が聞こえていたんじゃないかなあ。




ブルートパーズ




画像:写真AC

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