BANANAFISH二次小説 「黒猫と14歳のアッシュの出会い(11)」 | BANANAFISH DREAM

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らぶばなですほっこり。14歳のアッシュがもし可愛い黒猫(黒猫英二)と出会っていたら。。。というif設定ですラブラブ。時代設定や内容が原作とかなり異なりますが、ご了承ください。お楽しみ頂ければ幸いです。!


 

「黒猫と14歳のアッシュの出会い(11)」

 

 

第十一章:夢の中で

 

アッシュの家に戻って来るなり、黒猫英二はスキップに思い切り抱きしめられた。再会の喜びを隠しきれず、スキップがあまりに力を入れるものだから苦しくて黒猫英二は手足をばたつかせた。それを見たアッシュは苦笑しながら「スキッパー、そいつに何か食い物をやってくれ」と頼んだ。

 

「オッケー、ボス!」

 

スキップは冷蔵庫に向かって走り、大きなボールにドポドポッとミルクを注ぎ、黒猫英二の前に差し出した。

 

勢いよく出された大量のミルクに黒猫英二は驚きながらも空腹だったので、ペロペロと舐め始めた。

 

「ミヤー」

 

(アメリカンサイズだなー)

 

 

「ベイビー、会いたかったぜ。さぁ、たくさん飲めよ。ビスケットもあるんだぜ?」

 

ニコニコ笑いながら、黒猫英二の頭を撫でるスキップを見て、アッシュは小さなため息をついた。

 

 

10分後、スキップは頬を膨らませ、再び黒猫英二を胸に抱きしめていた。

 

 

「いいかげん機嫌直せよ、スキップ。前にも説明しただろう?」

 

 

困り顔のアッシュを前に、スキップは首を左右に振った。

 

 

「だって!せっかく猫が帰ってきたのに。。。よそに行っちゃうなんて信じられない!なぁ、ボス、頼むよ!俺、ちゃんと面倒みるからさぁ」

 

 

「せっかくショーターこの猫の受け入れ先を探してくれたんだぜ? お前だって、ここで飼うのは難しいってわかってるだろう? グリフだっているし。。。またこいつを逃すかもしれない」

 

 

「。。。。。」

 

 

「ショーターの友人宅なら、俺と一緒におまえも猫に会いに行けるさ。」

 

 

アッシュなりにスキップを気遣ったつもりだが、相棒のスキップには多忙な彼にそんな時間がないことは分かっていた。それにリンクスのボスにそんなことをさせるわけにはいかないことも十分理解していた。

 

 

「俺、ペットを飼うのが夢だったんだ。。。俺の家、父親も母親もろくでなしだからそんなの断られるって分かってて頼んだことはないけど。。。この猫、すっげー可愛いし時々人間の言葉を理解しているんじゃないかって思える時もあって。。。一緒にいられて幸せだった。でもこの猫にとっては物騒なところで暮らすよりも ちゃんとした家族のいるところに居た方がいいのかもな。。。」

 

 

スキップは黒猫英二の瞳をじっと見つめた。

 

 

「おまえ、幸せになれよ」

 

「にぃぃ。。。。」

 

(ねぇ、君、どうしたの?寂しそうな顔しているけど。。。)

 

黒猫英二は泣きそうなスキップの頬をペロッと舐めた。

 

「あははは!くすぐったいって!やめろよ!。。。おまえ、俺を慰めてるのか?もう会えなくなるけど。。。元気でいろよ。ボス、今夜ショーターのところに行くのかい?」

 

「。。。。」

 

しばらくの沈黙の後、アッシュはスキップからわざと視線を外して答えた。

 

 

「先に片付けたい要件がいくつかあるから、3日後にショーターのところへその猫を届ける。この間の件もあるから、グリフのところには長居させないようにしてくれ。少し触れ合うぐらいなら構わない」

 

 

「3日後!?じゃぁ、 それまでは一緒にいられるんだな!分かったよ!ボス、あんたはやっぱり最高だ!」

 

 

スキップは猫との別れまでに少しの猶予をもらえたことに気づき、親指を立てながら素直に喜んだ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

その夜、アッシュは不思議な夢を見た。夢自体は毎晩のように悪夢を見てうなされることが多いのだが、今回は初めて見るタイプのものだった。

 

 

よく晴れた青空の下、綺麗に整備されたグラウンドが遠目に見えた。新緑の芝生の上にアッシュは立っていた。自分がよく知る灰色の街とは全く違う。現実とあまりにも違いすぎて、これはきっと夢なんだなとどこか冷静な自分がいた。

 

 

「ここは。。。どこかの競技場か!?」

 

 

グラウンドの中央に大きなマットがあり、高い位置にバーが掛かっている。そして少し離れた所に一人の少年が立っていた。

 

 

「なんだあいつ?」

 

 

その少年は黒髪で、競技用のユニフォームを着ていたのでこの競技の参加者だろう。顔立ちはひどく幼く、自分より年下に見えた。筋肉はそれなりについているようだが、アメリカの陸上選手と違いずいぶん華奢だ。本当にこの少年が競技などできるのか疑問を感じてしまう。だが彼は競技用の長い棒のようなものを手にしていて、彼の視線は前方のバーに集中している。

 

彼からは緊張感が漂っていた。こちらの視線には全く気がつかない。

 

(。。。あれが棒高跳びか)

 

アッシュはこれが棒の反発力によりバーを飛び越える高さをきそう競技だとは知っていたが、実際の競技を見るのは初めてだった。

 

 

(あんな高さを細い棒で飛ぶつもりか。。。。あのガキには無理だろう? もし落ちたら怪我するんじゃねぇの?)

 

 

彼が持っているポールは5mほどもあり、折れてしまうのではないかと胸がざわついた。自分とは無関係の少年がどうなろうと関係ないはずなのに、なぜか気になって仕方がない。

 

少年はポールの端を持った。そして何度か持つ位置を調整して力強く構えた。アッシュには彼が深呼吸し、何か呟いたのが見えた。

 

 

(行くのか?)

 

少年はポールを上に向けた。アッシュにも緊張感が伝わり、なぜか拳にギュッと力を込めていた。

 

 

少年は大きく助走しはじめた。

 

 

「。。。お、おい!」

 

なぜか強烈な不安に襲われ、アッシュは思わず手を伸ばしたが、少年にはアッシュの姿が見えていないし声も聞こえていないようだ。

 

 

地面にポールが突き刺さる音が聞こえた。思ったよりも軽い音だった。ポールが軋み、折れてしまうのではないかと不安になるが、大きくポールは反り返り、まっすぐ彼の体が上空に舞い上がった。

 

 

「。。。。。!!!」

 

(跳んだ!!)

 

時間にしてほんの数秒だった。一瞬だったが、アッシュには少年がまるで鳥にでもなって空を羽ばたいているように見えた。

 

彼は一瞬嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

「すごい。。。」

 

 

その美しいジャンプにアッシュは圧倒されていた。

 

 

(何者だ、あいつ。。。)

 

一瞬、黒髪の少年がアッシュの方を振り向いた気がした。

 

 

「なぁ、あんた。。。」

 

アッシュは英二に話しかけようとした時、彼は現実世界に戻された。

 

 

「。。。。。。。。チッ」

 

 

枕に顔を埋めたまま、アッシュは舌打ちをする。サイドボードに置いていた携帯が鳴っている。ディノの手下からの呼び出しだ。そういえば新しい数学教師が来ると数日前に聞いていたことを思い出した。

 

 

今日の予定を考えると鬱陶しいが、それでもそこまで腹は立たなかった。その理由が何か大事な夢を見たからだと分かっているが、どんな内容だったかはなぜか覚えていなかった。

 

 

「何か。。。すげー変わった夢を見た気がする。。。なんだっけ? あれ。。。俺、誰かに会った。。。?」

 

 

ふと、自分の足元で何かがモゾモゾと動いたことに気がついた。黒猫が腹を丸出しにし、体を伸ばしたまま眠っていることに気がついた。

 

「おまえは無防備な奴だな。。。弱点の腹を出したまま寝やがって」

 

アッシュはフッと笑って猫の頭を撫でた。

 

 

窓から差し込む朝日が顔に当たる。アッシュは目をこすりながら窓を開けた。白い鳥たちが空を飛ぶ姿が目に入った。

 

 

「鳥はいいよな。。。自由に飛べて。。。俺もあんな風に。。。」

 

 

自由への憧れを抱きながら、アッシュは青空を舞う鳥を眺めていた。

 

 

 

*続*

 

 

 

(あとがき)

お読みいただきありがとうございます爆  笑 スキップの猫への愛が感じられますよね。まだ子供だからきっと離れたくないだろうなぁと思いましたラブラブ 今回ようやく夢の中でアッシュと英二がご対面(!?)しましたが、残念ながら覚えていませんウシシよければ小説へのご感想、リクエスト等お聞かせくださいね。

 

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もしバナナフィッシュがハッピーエンドで終わるなら~365日あなたを幸せにする小説■BANANAFISH DREAM

 

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