らぶばなです
。５９丁目のアパートでの思い出をシリーズにして数話お届けしたいと思います。アパートではこんな思い出があったのではないかなという妄想シリーズです
。。。ニキータの想いは？？ お楽しみ頂ければ幸いです。！
５９丁目アパートメントの思い出シリーズ
「アッシュを巡るアパート内バトル」
第四話：少女の想い
英二とニキータが出会う３日前、アッシュはアパートのエレベーターホールで彼女に声をかけられた。アッシュにとってはほとんど初めて顔を合わせた少女は、腕を組みながら眉間にしわを寄せながらアッシュを見上げていた。
「あなた、クリスでしょ！？」
見覚えのない子供に名前を言われたアッシュは、チラリと彼女をみたものの 関心なさそうに無表情のまま答えた。
「。。。だったら、なに？」
（なんでこのガキ、俺の偽名を知ってるんだ？ 近所の主婦から伝わったのか。。。面倒だな）
てっきり、自分と話したくて声をかけてきたと思ったアッシュは、ニキータが次に発した意外な言葉に心底驚いた。
「ねぇ、あなたの家のハウスキーパーのエイジをちょうだい！ 私のうちでもらうから！」
「！！。。。ゴホッ！ゴホッ！」
全く予想外な申し出に戸惑ったアッシュは思わず咳き込んでしまった。それと同時に怒りも感じたが、相手は子供なので 深呼吸を何度か繰り返して何とか怒りを抑えることができた。
そして嫌味ったらしく言い放った。
「。。。君、何言ってるの！？ 英二はモノやペットじゃないんだぜ？」
頰を膨らませながらニキータはアッシュを睨みつけた。
「あいつは自分の意思でうちにいるんだ。どういうつもりか知らないが。。。君が勝手にどうこうすることは出来ないよ」
アッシュの正論にニキータは言葉を返すことができなかった。
「いやよ、私にはエイジが必要なの！」
真剣なニキータの表情にアッシュは彼女が英二に恋をしていると感づいた。
「あいつが好きなの？」
「な。。。！！！ なによ、あなたには関係ないでしょ！」
わかりやすく顔を赤らめたニキータに、アッシュはニヤリと笑った。
「ふぅん。。。俺からあいつを引き離したいんだ？」
「。。。！！そうよ！ 私はずーっとエイジを見てきたの。。。エイジは私に気づいてないと思うけど。。。でも、私、誰よりもエイジが好きなのよ！」
ハロウィンの日、変装したニキータは同じアパートの子供たちに連れられ、ほとんど嫌々近所の家を回っていた。だが英二に優しく微笑まれた途端、彼女は英二に魅せられたのだ。
「へぇ。。。気があうね。俺もあいつのことすっげー気に入ってるけど？」
対抗意識を燃やさせる為、アッシュはわざとらしく言う。
「。。。じゃぁ、エイジをこき使うのをやめなさいよ！」
「はぁ？」
（なんだよそれ！）
なぜ自分が英二をこき使うというのか。恋する少女の考えることはさっぱり理解できなかった。
「ママの友達から聞いたわ！エイジはすごく真面目で家事も完璧なのに、ほとんど家から出ないって。。。きっと、あなたがエイジをこき使っているのね！！」
「。。。。。。」
（なんでそうなるんだよ）
かなり思い込みの激しいタイプのようだ。これは取り扱い用要注意だなとアッシュは感じていた。ただでさえ命をかけたゴタゴタが起きているのになぜ子供の恋愛に巻き込まれないといけないのか。アッシュは深いため息をついた。
「私は英二をあなたから助け出すわ！」
「。。。」
力が抜けたアッシュは鼻息荒くやる気に燃えるニキータの横を素通りして、急いでエレベーターに乗り込んだ。
＊続＊
（あとがき）
お読みいただきありがとうございます
！ニキータはアッシュ狙いではなく、英二のことが好きだったようです。
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