もしもアッシュが日本に来たなら(第二十話:君に捧ぐ詩) | BANANAFISH DREAM

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 休憩後、二人は再び走り始めた。丘を下る途中、英二が急に立ち止まった。



「どうしたんだ?」



「ちょっとここに来てよ」



 英二が指さした場所は広い原っぱだった。そこだけ木々は生えておらず、出雲の街並みが一望できる穴場の絶景ポイントだった。



「わ、すげぇ! 町がよく見えるぞ」



「ちっちゃい田舎だけど、ここから見える街並みはいいだろう? 夕日も綺麗に見えるんだ」



「へぇ夕日か、いいなぁ」



「出雲の隣にある松江市には夕日が綺麗だよ。とても有名な湖があるんだ。今度一緒に見に行こうぜ……約束だぞ」



 英二との『約束』という言葉に、アッシュは微笑んだ。


「楽しみだな」



 穏やかに笑うアッシュを見て、英二は自分のことのように嬉しく感じていた。出雲に来てからアッシュは穏やかに過ごしている。彼の素直な気持ちを聞いて、英二は自分もアッシュに伝えたい事がたくさんあった。



(どう伝えればいいのかな……)



 さっきジョギングをしていた時、アッシュが歌っていた事を思い出した。


「ねぇ、歌ってもいいかな?」


「なんだよ? 突然……」


「さっき君が歌ってたから。僕も君に歌をプレゼントするよ」



「誰の歌をプレゼントしてくれるんだ?」



「キャロル・キングの『you've got a friend(君の友達)』だよ」



「君の友達……ぜひ聞かせてくれ」



「うん、でもあんまり期待するなよ」


 

music >> you've got a friend


When you're down and troubled and you need a helping hand and nothing, whoa nothing is going right. Close your eyes and think of me and soon I will be there to brighten up even your darkest nights.



君がしょげて悩んでいるとき そして手助けが必要なとき

そしてすべてがうまく行かないとき 目を閉じてボクのことを考えるんだ

そうしたらすぐに君のところへ行くよ 真っ暗な夜でも明るくするために



You just call out my name, and you know whereever I am I'll come running, oh yeah baby to see you again. Winter, spring, summer, or fall, all you have to do is call and I'll be there, yeah, yeah, yeah. You've got a friend.



ただボクの名前を呼べばいい そうすればどこにボクがいようと,

君はわかるはず ボクは走って君の元に行こう

また君に会うために 冬,春,夏,秋 ただ君はボクの名前を呼べばいい

そうすればきっときっと君のところにボクは行く そう君には友達がいるんだ



Hey, ain't it good to know that you've got a friend? People can be so cold. They'll hurt you and desert you. Well they'll take your soul if you let them. Oh yeah, but don't you let them.



友達がいるのがわかるっていいことじゃないか

人は冷たくあたるかもしれない 君を傷つけて見捨てるかもしれない

もし君が許せば人は君の魂を奪ってしまうかもしれない

そう,でも君はそんなことさせないだろう



You just call out my name and you know wherever I am I'll come running to see you again. Oh babe, don't you know that, Winter spring summer or fall, Hey now, all you've got to do is call. Lord, I'll be there, yes I will. You've got a friend. You've got a friend.



ただボクの名前を呼べばいい

そうすればどこにボクがいようと,君はわかるはず

ボクは走って君の元に行こう

また君に会うために 冬,春,夏,秋 ただ君はボクの名前を呼べばいい

そうすればきっときっと君のところにボクは行く そう君には友達がいるんだ



Ain't it good to know you've got a friend. Ain't it good to know you've got a friend. You've got a friend.



友達がいるのがわかるっていいことじゃないか

友達がいるのがわかるっていいことじゃないか

君には友達がいる



 そんなに上手に歌えたわけではないが、英二は自分の想いを歌詞にのせて歌った。アッシュは頷きながら聞いてくれた。


「……」


(僕の気持ち――伝わったかな?)



 上手に歌う事はできないけど、英二は自分の気持ちをこの曲で伝えたいと思ったのだ。何も言わないが、アッシュは幸せそうに微笑んでいた。



 すると突然英二の頭の上に重みを感じて見上げると、アッシュが自分の頭を撫でていた。



「何だい?」

 

 英二はアッシュを見上げた。



「よく、できました!Thanks!」



 今度はアッシュが英二の頭を軽くクシャッと撫でて言った。


 Thanksは小さな声で聞こえづらかったが、アッシュは照れながらもお礼を言ってくれた。照れ屋の親友は再び走りだした。



「どういたしまして!」



 微笑みながら、英二は親友の背中に向かって叫んだ。



<続>



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英二から歌のプレゼントを受けたアッシュ。きっと嬉しかったはず。「僕は君の味方だ」と伝えたかったのかもしれませんね。