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3個の小籠包のうち、1個だけ激辛小籠包が入っているその皿を
アッシュ・シン・ショーターは真剣に見つめた。
この中で激辛小籠包をあてた奴が、携帯で誰かに「I love you」
と送らねばならない。しかも相手の返信が来るまでメールを送る
ことは出来ないのだ。
真剣な表情で3人は一斉に小籠包を指さして選んだ。
「これだ!」
偶然3人ともそれぞれ別の小籠包を選んだ。
「よし! 食うぞ! 」
口の中に小籠包を放りこんだ。すると……
「ぐぇ――辛いっ」
シンが叫び、水を一気飲みした。
「よし、シン!決まりだな」
ショーターとアッシュがニヤリと笑った。
シンは仕方なくメールを送るハメになった。
問題は、誰に送るかだ。
悩んだあげくシンはメールを送った……
FROM : シン
TO : 李 月龍
件名 : 無題
I love you
10分後、シンの携帯に返信メールが届いた。
シンは少しハラハラしながら画面を見た。
FROM : 李 月龍
TO : シン
件名 : ブラボー
で、何を企んでいる?
「ユーシスの奴、冷静だな」
ショーターとアッシュがシンの携帯をのぞきこんだ。
「若様に、ものすごーく疑われたな」
シンがため息をついた。
「よし、次いくぞ!」
「まだやるのかよ」
「たくさん小籠包用意したからな」
「マジかよ……」
次の小籠包を指定し、3人は口の中に小籠包を放りこんだ。
すると……
「うぇ――辛いっ」
ショーターが叫んだ。
「よし、ショーター!決まりだな」
シンとアッシュがニヤリと笑った。
ショーターは次のようなメールを送った。
FROM : ショーター
TO : ラオ
件名 : 落ち着けよ
I love you
しばらくして、ショーターの携帯に返信メールが届いた。
ショーターはワクワクして画面を見た。
FROM : ラオ
TO : ショーター
件名 : お前こそ落ち着け
とうとう頭がイカれちまったのか?
「普通はこんな反応だよな?」
シンがショーターの携帯をのぞきこんだ。
「あぁどうせ酔っていると思っているんだろう」
アッシュもうなずいた。
「ちぇッ、つまんねぇの。もっと動揺している
メールが読みたかったのに」
ショーターが唇をとがらせた。
「気をとりなおして……よし、次いくぞ!」
次の小籠包を指定し、3人は口の中に小籠包を放りこんだ。
すると……
「――辛いっ」
アッシュが叫んだ。
「よし、アッシュ!決まりだな」
シンとショーターがニヤリと笑った。
誰に送るか悩んだあげく、アッシュはしぶしぶメールを送った。
FROM : アッシュ
TO : アレックス
件名 : 冷静になって読め
I love you
しばらくしてアッシュの携帯にメールが届いた。
アッシュは見たくなかったが、ショーターとシンが目で
早く見ろと催促してきた。
ため息交じりに携帯の画面を見た。
FROM : アレックス
TO : アッシュ
件名 : 勘弁してくれよ、ボス
飲んでいた酒をふき出したぜ
送る相手を間違えてねぇか?
「お、さすがナンバー2だな。よく分かっているぜ」
ショーターがアッシュの携帯をのぞきこんだ。
「アレックスは、誰と間違えられたと思ったんだ?」
シンが不思議そうな顔をした。
「……」
アッシュはアレックスがどう把握したのか不安になった。
「よし、次いくぞ!」
次の小籠包を指定し、3人は口の中に小籠包を放りこんだ。
すると……
「う――辛いっ」
シンが叫んだ。
「よし、シン!決まりだな」
ショーターとアッシュがニヤリと笑った。
「おい、次からは同じ相手に送ろうぜ!そうだ、英二がいいな! 」
ショーターがふざけて言った。
「なんで英二にだよ?」
アッシュの表情が曇った。
「なんでって……あいつの反応がみたいからだよ。
お前だけに来てもらったのも英二にメールを送るためだ」
「はぁ?お前……呆れた奴だな。別に英二以外でもいいだろ?
伊部でもマックスでも……ジェシカにだって送ってもいいぐらいだ」
「アッシュ、やけに焦っているじゃねぇか。
それとも何か困るのか? 妬いているとか? 」
ショーターがアッシュに近づいてからかう。
「そんなわけないだろう!」
アッシュはムキになった。
「お前も気になるだろう? 英二に I love youとメールを
送った時の反応が」
「……べつに」
そっぽを向いて小さく答えた。
「まぁいいか。じゃ、早速やろうぜ」
こうしてロシアン小籠包ゲームはますます白熱していく。
三人は、自分達の身近にいる仲間にメールを送りました。
冗談だと気づいてくれるだろうと期待して……(^_^;)
それぞれの「件名」に注目してくださいね。
ユーシスは冷静に返信しそうだなぁと思いました。
でもシンからのラブメッセージは嬉しいと感じているはずです(笑)
素直に受け止められないだけかもしれません。
ショーターとラオは、ふだんから冗談を言い合う仲良しのイメージ
があります。二人の年齢は近いと思うのですが。
「またくだらねぇこと言っていやがる」とラオは思ったのでしょうか。
一番ありそうな返信かなと思いました。
アッシュは誰に送るか迷った挙句、ナンバー2のアレックスにしました。
子分達の中で送るならアレックスが一番まともな反応をすると
(本気にもしないし、変に冗談めかしてからかうこともない)
思ったからでしょうか。英二に送るのは怖くてできないからだと
思います(笑)
ですがまたショーターの挑発にのってしまうアッシュ……
さて、次回最終編どうなるでしょうか?
お楽しみに……(^-^)ノ~~
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