ロシアン小籠包ゲーム ~愛のメール大作戦~  【前編】 | BANANAFISH DREAM

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 ある日の夜、アッシュとシンは ショーターの中華料理店 「張大」 に招待された。


 ショーターは「入れよ」と言ったものの、何も言わず 神妙な顔つきをしてテーブルをじっと見つめている。

 グラスに入った氷はすっかり溶けていた。



「ショーター、どうしたんだよ?」


 シンが眉をしかめて聞く。



「どうして俺達二人だけを呼んだ? 教えろよ」

 アッシュも不思議そうな表情をしている。



 ショーターは仲間たちを呼ばずに、アッシュとシンの2人だけをこっそり

呼び出だした。よほど重大な事が起きたに違いない……二人は不安になった。



「俺は……すげぇものを開発した」


 ショーターが俯いてつぶやく。

 アッシュとシンは興味深くその続きの言葉を待った。



「何だそれは? 」


「一体何なんだ? 」



「これだ……」


 ショーターは蒸したての小籠包が3個入ったセイロを二人の前に差し出した。

 フタをあけると、セイロの中から湯気が立ちのぼり、美味しそうな中華スープの香りが漂ってきた。
 

「はぁ……? 小籠包? 」


「これがどうかしたのか? 」



 二人は呆れ顔でショーターを見た。



「まぁ食っていけって! 晩メシまだ食ってないだろ? 張大の新作だ!」


 自信満々にショーターが笑った。



「これを食べさせるために俺達を呼んだのか? 呆れたぜ」


「英二に晩メシはいらねぇと言ってきたのに……今日は小籠包かよ」



「おいおい、これがただの小籠包なわけないだろ? 
 アッシュ、お前一人で来いと言ったのも理由があるんだぜ? 」


 ショーターはムキになった。



「理由って?」


 どうせたいした理由は無いだろうと言いたげな表情でアッシュが聞く。



「これはゲームだ。ロシアンルーレットは知ってるよな?」



「リボルバー式拳銃に一発だけ弾丸を装填して、適当にシリンダーを
 回転させてから自分の頭に向けて引き金を引くゲームだろ? 」


 アッシュがすぐさま答えた。



「そうだ、これはそのロシアンルーレットの小籠包版だ。
 お前たち、とりあえずどれか選べよ!」



 アッシュとシンはとてつもなく嫌な予感がした。



「俺、腹が痛くなってきた……アッシュ、トイレ行ってくるわ……」



「俺も、英二に買物を頼まれていたのを思い出した……」



 椅子に座っていた二人は ガタンと大きな音をたてて立ち上がった。

急いでこの場から立ち去ろうとしたが、ショーターが両手で二人の首をつかみ、無理やり椅子に座らせた。



「ちゃんと俺も参加するから! お前ら、食えよ!」


 ショーターは無理やり箸を押しつけた。



「待てショーター、どういうゲームなのか説明しろ!」


 アッシュがショーターを制止した。



「だから、この3つの小籠包のうち1つが激辛味になっているから、それを避けて食べるゲームだよ」



(なんだ、辛いだけか……)


(俺は激辛大好きだから大丈夫だな)



 予想していたものよりマシな罰ゲームなので2人は参加してもよいかという気分になった。



「ちょっとだけだぞ……」

 ため息をつきながらアッシュがつぶやいた。



「アッシュ、さっさと食って終わらそうぜ!」
 シンもすっかり呆れている。


 二人は、ショーターが考えたくだらないゲームにつきあってやることにした。



「ふふふ……お前たち、やると言ったな。 覚悟しろよ!

 このゲームはただ辛い小籠包を食うだけじゃないんだぜ」



 ショーターが不敵な笑みをうかべた。
 アッシュとシンは 不思議そうに顔を見合わせた。



「いいか、激辛の小籠包を食った奴は、更に罰ゲームをする!」


 ショーターが腕組みをした。 



「ゲッ、まだあるのかよ?」


 シンが舌うちをする。



「罰ゲームは携帯メールで誰かに「I love you」と送信するのさ。
 件名は自由に入力させてやる。

 ただし! 相手から返信がくるまでメールを送ってはいけない!」



「……」


「……」



 アッシュもシンもこれには絶句した。



「冗談じゃねぇ! 」


「やってられねぇ! 」



 二人は再び立ち上がってショーターに猛抗議をした。



「お前たち、やるって言っただろ?  怖いのか? 

 途中で逃げるのか? とんでもねぇへっぽこ野郎だな~」



 ショーターがいかにも憎たらしい表情で 二人に近づいて睨みつけた。

 二人が人一倍負けず嫌いな性格なのを知っていて、わざと挑発したのだ。



「何だと! 俺はへっぽこなんかじゃねぇ! 」


 すぐ頭に血がのぼったアッシュは乱暴に椅子に座った。



「そうだ! 勝てばいいんだよな? 」


 シンも顔を赤くして椅子に腰かけた。

 ショーターはニヤリと笑った。



(こいつら単純だな~簡単にハマりやがった。)



「よぉし、やるぞ!」


 ショーターは腕まくりをした。


 これが悲惨なゲームの始まりだった。


<続>    

 

こんにちは、らぶばなです。ニコニコ
今回はギャグストーリーを書いてみたいと思います。笑わせる自信はありませんが、楽しくゲームをしてはしゃぐ話があってもいいかなと思いました(笑)

私は バラエティとお笑い番組が好きなのでよく見ます。にひひ
今回の「ロシアン小龍包」は、おそらく昔に見た番組から思い浮かんだネタです。

お鮨のにぎりで「一つだけワサビたっぷり」のものが混じっているというベタなネタを、ショーターの中華料理店でするなら一口サイズの小龍包かなと思いました。

それから 深夜のお笑い番組で見た記憶があるのですが、「一方的にメールで告白をして相手からの返事を待つ」というゲームを組み合わせてみました。

さて、一体どうなるのでしょう?お楽しみいただけたら幸いですチョキ


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