BANANAFISH DREAM

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もっと人生を充実させたい! 自分が本来持っている才能を活かし、心身共に豊かで満たされた生活を送りたい!と以前から興味のあったことに挑戦中★ 趣味の漫画二次小説から海外交流・ビジネスなど日々更新中♩

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らぶばなですほっこり。ワンオペ育児で心身共に死亡寸前ですがえーん、二次創作をしている時はかなり癒されますウインク(笑) みなさん今週も頑張りましょうね!当ブログのお話が少しでもみなさんの元気につながりますように。。爆笑ラブラブ それでは 第12話をどうぞウインク


 

シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(12)

 

 

第12話:  癒えない傷

 

宍道湖を見下ろす見晴らしのよい丘に築かれた四重五階の松江城に二人はやってきた。

 

城を囲む堀川を小さな遊覧船に乗り込み、さわやかな風を全身で感じながら、古い石垣や生い茂る緑を眺めていた。

 

英二はカメラを構えながら、時折水鳥が羽を休める姿や、水面から顔を出し亀を撮影し、二人は自然を感じながらゆったりと景色を楽しんでいる。

 

だが、アッシュの眉間のシワは深くなる一方だ。

 

「英二、一体なんの罰ゲームなんだよ、これは。。。」

 

戸惑いと怒りがアッシュの声ににじんでいるが、英二は構わずマイペースに堀川からの景観撮影を続けている。

 

自分の方を振り向かないことに苛立ちを隠せないアッシュは咳払いをした。

 

「ん?」

 

ようやく気づいた英二は振り返り、爽やかな笑顔を見せた。

 

「何をぶつぶつ文句言っているんだい? アッシュ、すっごく似合っているよ!ほら見てごらん、道路を歩いている皆が振り返って君を見ているよ?」

 

観光客や地元住民がアッシュの姿を見て指差しながら笑っていた。

 

「そうだろうな、船にこんな怪しい忍者が乗っていればな。きっと日本びいきの痛い外人だと思われていることだろうよ!」

 

アッシュはやけくそになって自分自身を指差した。黒い忍者衣装と黒足袋を身につけ、頭にはイカの頭のような頭巾を、口元には黒いマスクを被っていて目だけが見える状態だ。

 

全身を黒い衣装で隠していても、そのスタイルの良さと頭巾の隙間から見える煌めく金髪と美しいグリーンアイズから彼が外国人であることは一目瞭然だ。

 

「レンタルの衣装で悪いけど、君が着るとクオリティが高くなる」

 

頭から足元までじっと眺めた英二は満足げに答えるが、アッシュはため息をついた。

 

「おまえ。。。前回の”特別レッスン”で俺が甘いセリフを吐きまくったことを根に持っているだろう?」

 

「えっ!?まさか! 次の”特別レッスン”の参考になると思ってレンタルしたのにひどいなぁ。。。ププッ」

 

真面目に答えようとしたものの、やはり可笑しくて英二は「あははは!」と腹を抱えて笑い出してしまった。

 

「笑い出しやがって!嘘つくの下手くそすぎるんだよ、おまえは!何が特別レッスンのためだよ!?ふざけやがって!」

 

「なんだよー、次回は ”おもてなし英会話”で、『日本びいきの外国人を受け入れる老舗宿の店主との会話』なんだろう? ”忍者になりたい”とか”芸者に会いたい”とか言われるかもしれないじゃないか!」

 

「なんで体験する必要あるんだよ?しかも撮影までしやがって。。。」

 

「その方がリアリティあっていいじゃないか。君だって本当はノリノリなんだろう?天守閣の見学もその格好でいったじゃないか」

 

「あんなにギャーギャー言われるとは思われなかったけどな」

 

「確かに大変な騒ぎになったよね。皆君と写真撮影したがるんだもん」

 

「オンセンでゆっくりしたかったのに」

 

「まぁいいじゃないか。温泉は夜の楽しみにとっておいて、昼間は観光しようぜ」

 

***

 

 

松江市街地から車で15分ほどのところにある温泉街にやってきた。街の中心部を流れる川に沿って温泉宿や足湯スポットがあり、散策や美肌で有名な温泉の湯を楽しむことができる。奈良時代初期に開湯されたと言われている落ち着いた雰囲気の名湯だ。

 

温泉街の中にある旅館をアッシュは前もって予約していた。外見は純和風でこじんまりとしているが、設備は整っているらしい。

 

「やっと温泉にこれた。俺の念願が叶った。。。」

 

チェックインを前に、アッシュは旅館前でニヤニヤと嬉しそうに笑っている。

 

「嬉しそうだね、アッシュ。。。どうしてそれほど温泉に来たかったの?」

 

「そりゃぁ。。温泉といえばアレ。。。アレだよ。。。」

 

「温泉。。。まんじゅう? 温泉。。。卵?」

 

「ちがうっての!」

 

「じゃぁ、マッサージ?」

 

「そういうのが好きな奴もいるが、俺は他人に触れるのは苦手だ」

 

「えー、分かんないよ?」

 

「ほら、さっさとチェックインして部屋へ行くぞ!」

 

アッシュは英二の手を掴み、力強くひっぱっていく。半ばひきづられるように英二はアッシュについていった。

 

チェックインを済ませ、部屋に入った英二は初めて見る光景に言葉がすぐ出てこなかった。

 

「。。。これが君のしたかったことなの?」

 

「そうだ!特別ルームを予約しておいた。。。パーフェクトだろ!?」

 

アッシュは部屋が気に入ったようだ。設備を確認しながら満足そうに頷いている。

 

ツインのベッドが付いた広々とした部屋は、寝室スペースが洋風、ローテーブルの置かれた休息スペースが畳敷きの和室風になっていて、ここではゆっくりできそうだが、 更にもう一つの部屋が隣に付いていた。そこではなんとカラオケと卓球ができるようになっていた。

 

好きな時間にカラオケや卓球が楽しめるうえに、外には露天風呂が自分達専用で付いているので温泉もいつでも自由に入れるようになっていた。

 

ギラギラ輝くミラーボールが天井に付き、ソファとローテーブルが付いたスペースはまるで小さなスナックで、しかもステージまで用意されていた。そしてなぜか部屋の半分を占める大きな卓球台。

 

布団にコタツの純和風部屋を想像していた英二は、イメージと違うスナック風の部屋を無言でまじまじと眺めていた。

 

「おまえ、元陸上部なんだろう? 温泉といえばカラオケと卓球じゃいか!それと風呂上がりの冷えたビール!体力のあるやつじゃないと俺に付いてこれやしないのさ。ずっと やってみたかったんだよコレを!」

 

 

明らかにテンションのあがっているアッシュを見て、英二は苦笑するしかなかった。

 

「君って変わってるね。。。」

 

「日本のカラオケは最高だ!それに俺の演歌レパートリーが多いことはお前も知っているだろう?」

 

アッシュは興奮気味に話していたので、すっかりアメリカでの話をしていたことを失念していた。当然英二は何を言っているのかわからないという表情でアッシュを見つめていた。

 

「。。。え?そんな話したことあったっけ?」

 

困惑する英二の顔を見てしまい、アッシュは後悔しはじめたが、下手に言い訳をするとややこしくなってしまうことはわかっていた。

 

「。。。あー。。。その。。。俺の勘違いだ。すまない」

 

「別に謝らなくてもいいよ。それにしてもこの部屋、すごいなぁ。カオスだよ。。」

 

「と、とにかく!俺は今すぐ歌いたい!」

 

少しでも英二の気持ちをそらそうと、アッシュはマイクを握りしめてカラオケをしたいとアピールする。英二は特に気にとめることもなく、にっこりと笑った。

 

「ふふっ、君とカラオケだなんて面白そうだ。それに卓球も楽しそうだね。やろう!」

 

 

ほんのお遊びのつもりで始めた卓球は、予想以上に白熱した真剣勝負となってしまった。本来負けず嫌いのアッシュと、運動には自信のある英二はお互いに手加減することもなく目の前の小さなボールを睨みつけながら相手の動きを読み、次の行動を予想しながら攻撃をしていく。

 

日々の不安やストレスを忘れて二人は卓球に集中した。最後のスマッシュが決まったアッシュはガッツポーズを決め、英二は悔しそうに空を仰ぐ。疲労のあまり握りしめていたラケットが床に落ちた。

 

「運動には自信あるほうだったけど、君のスマッシュがあまりに強烈すぎて見えなかったよ。悔しいなぁ。。。汗びしょだよ」

 

英二のTシャツは汗でべったりと肌にひっついている。

 

「先に風呂入ってこいよ。俺は冷えたビールを買ってくるから風呂上がりに飲もうぜ」

 

「いいね!また後で卓球の勝負しようぜ!今度は僕が勝つから!」

 

元運動選手というプライドがズタズタになってしまったものの、英二はアッシュの運動神経がかなり良いことに驚いた。スポーツをしていた訳でもなく、卓球も初めてだと言う。

 

ますますアッシュという人物が気になって仕方なかった。けれども、それよりも彼とこうして無邪気に楽しいひとときを過ごすことがとても貴重な気がしてならなかった。

 

 

「俺と勝負? いいぜ。。。でもまた風呂に入るはめになるぞ?」

 

「かまうものか。すぐそこに風呂があるんだし。僕、先に入って汗流してくるよ」

 

英二は露天風呂を指差した。

 

「そうだな、じゃぁ売店行ってくる」

 

「うん、よろしくね」

 

英二はバスタオルとフェイスタオルを手に取り、部屋に付いている露天風呂へと向かった。

 

 

***

 

 

交代で風呂に入った後は、二人はビールを飲みながらカラオケを歌うことにした。英二がアニメソングとJポップを検索している間に、アッシュはさっさと日本の演歌を歌い出した。

 

『 あなた 追って ギズモザキ〜 哀しみの〜 日本海〜 』

 

 

「えっ、アッシュ。。。演歌を歌うのかい!?」

 

( ”ギズモ”って聞こえたけど、新潟の出雲崎のことだよねぇ。。。)

 

 

初めは有名外国人歌手が歌っているから選曲したのかと思ったが、彼が選ぶジャンルはどれも演歌で、大御所演歌歌手からJ-popとのコラボ曲までなんでも歌うことができた。

 

「SAYURIはお気に入りの歌手の一人だ。次は ”暗夜の心中立て”にしよう」

 

花魁をイメージした妖艶な曲はアッシュ自身が持つ性別を越えた美しさに合っていて、なぜか英二は彼を直視することができなかった。

 

 

「君が演歌を歌うだなんて意外だなぁ。。。でもすっごく上手だけどね。たぶん僕よりも上手だと思う。もしかして君、演歌で日本語を学んだのかい?」

 

「NYでエンカを知って。。。面白いなって思ったのがきっかけだよ。」

 

「きっと君の知り合いの人が、演歌を教えたんだね」

 

「まぁ。。。そんなところかな。。。おまえも何か歌えよ」

 

 

長風呂をしたという英二は まだ汗が引かないのか、浴衣をだらしなくはだけ状態だ。手でパタパタと浴衣の襟を持ってあおぎはじめた。

 

「あー まだ汗が出るよ」

 

「だらしねぇな、おまえの格好」

 

あははと笑っていたアッシュが何かに気づき、彼の表情が突然固まった。

 

「。。。アッシュ?」

 

態度が変わった理由が分からず、英二は戸惑った。

 

アッシュは、はだけた英二の浴衣から見えた銃創を見ていた。楽しそうに笑っていた彼の顔から笑顔が消え、絶望的な哀しみに包まれていた。

 

 

 

*続*

 

(あとがき)

お読みいただきありがとうございます! 演歌あまり詳しくなくてどうしようかなと思ったのですが、石川さゆりさんと椎名林檎さんがコラボしたこの曲はアッシュらしいかなぁなんて思いました。ジェロさんの海雪という曲は 彼が演歌歌手外国人だったというのと、”出雲”というワードに惹かれました。島根ではなくて新潟みたいですが、歌詞もよかったです。

英二の銃創ってまだ残っているのでしょうか?手術跡残ってるのかな?ちょっとよくわかりませんが、なんらかの傷が残っていると思って頂けたら幸いです。

 

 

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らぶばなですほっこり。それでは第11話をどうぞウインク


 

シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(11)

 

 

第11話: 唯一の味方

 

夕方、語学学校リンクスの教師陣は、夜のレッスンに向けて活力を得ようと、ビルディングの1階にあるカフェへと向かう。カウンターから見える業務用の大鍋から甘辛い匂いが漂ってきて、食欲をそそる。

 

「英二、腹減ったー」

 

「今日の賄いはなんだー?」

 

教師陣たちがカウンターを覗き込むと、小皿とお玉をもった英二が味見をしているところだった。

 

 

「お疲れ様。今日の賄いメニューは肉じゃがと豆腐の味噌汁だよ。さぁ、ご飯は自分でよそってね」

 

柔らかい笑顔で微笑みながら、英二はお茶碗をそれぞれ渡す。

 

「黒の丼茶碗はコングで、白の茶碗がボーンズ、そして緑のがアッシュだね」

 

英二がそれぞれのイメージにあったものを買ってきた。コングはお代わりの手間を省くために丼を使用していて、海外の有名キャラクターである毛むくじゃらの青いモンスターが描かれている。ボーンズのものは赤い車の有名なキャラクターだ。アッシュの茶碗は淡いグリーン色に手書き風の猫が描かれた和風茶碗で、丸まった猫が眠っているデザインのものだった。

 

英二曰く、「アッシュらしいイメージのものを選んだ」らしいが、英二自身の茶碗は不思議な鳥キャラクターのものを選んでいるので彼のセンスを信じてよいかは分からないとアッシュは密かに思っている。

 

 

「Thanks! 英二の飯はうまいから楽しみなんだよなぁ」

 

「あぁ、唯一まともな飯を食えるからな」

 

「おまえはインスタントラーメンにハマりすぎなんだ、コング」

 

「ボーンズ、おまえだってコンビニフードに頼りすぎだ」

 

わいわいと賑やかなメンバーを見てクスッと笑いながらも英二はその他のスタッフにも茶碗を渡し、おかずを盛り付けていく。

 

寮の晩御飯を用意するのも英二の仕事だった。試作品作りで余った材料がもったいないと、皆に振る舞ったカレーが大好評だったのがきっかけだ。スタッフの皆は自炊するのが面倒くさいとファーストフードやコンビニ、インスタントラーメンざんまいの生活をしていることを知った英二が、賄い料理を作ることになったのだ。アッシュも英二やスタッフと共に英二の食事を食べている。この時間はカフェも”準備中”にして、語学学校のメンバーが落ち着いて食事を取れるようにしているのだ。

 

 

「はい、アッシュ。ネギたっぷりのお味噌汁だよ」

 

「あぁ、ありがとう」

 

アッシュは肉じゃがを口に入れると、優しくてほんのり甘い味が広がった。かつて共に食事を取っていたころを思い出し、顔がほころんだ。

 

(懐かしい味だ)

 

あの頃よりずっと平和で安全なところに二人ともいるのに、戻れないことが哀しく感じられた。

 

(あぁ、俺は戻りたいのか。。。あの頃のような生活を送りたいと。。。)

 

だが、こうして近くで英二を見守ることができることが出来るだけでも感謝しなければいけないと自らを自制するようにしている。

 

 

食事を終え、夜のレッスンに戻るためにスタッフはいそいそと教室へ戻っていく。アッシュは今日遅い時間帯のレッスンを受け持っていたので、英二にコーヒーを入れてもらい、ゆっくりと一息ついていた。

 

皿洗いをしている英二の後ろ姿をなんとなく眺めていたが、彼がため息をついているのに気が付いた。

 

(そういえば、さっきもため息をついていたし、食事中もなんとなくボーッとしてたな。。。)

 

「おい、英二?」

 

声をかけるが、英二は気づいておらず、再びため息をついた。

 

彼がため息をつくのは珍しいが、その回数が通常よりかなり多いことにアッシュは気づいて、なんだか落ち着かない気持ちになった。

 

空になったコーヒーカップをもって、流し台にいる英二の隣に立つとようやく彼が自分に気がついた。

 

「あぁ、アッシュ。。。」

 

「今日は随分ぼんやりしているな? どうした?悩みでもあるのか?」

 

図星だったようで、英二はハッと目をそらしたものの、ボソボソと話し始めた。

 

「じつは親と口げんかして。ほら、大学の退学手続きを済ませたばかりだろう?進学についてまだ話せてなくてさ、そしたら就職しろだってさ。僕がフラフラしてるように見えるみたいだな。」

 

「。。。おまえはカメラの道を歩むと決めたんだろう?自信もって親にも話してみろよ。」

 

「そうだね。専門学校に通うための経済的な支援は期待してないんだけど、親はやっぱり気にするかなと思って話せずにいたんだ。学費を貯める必要があるからバイトしていることを話してみるよ。」

 

「なぁ、時には誰かに頼っても良いんじゃないか?何なら学費の前借りもするぜ?」

 

「ありがとう、アッシュ。もう今まで散々周りに迷惑かけてきたからなぁ、学費くらい自分で貯めたくて。それに君たちと過ごすのが楽しくてもう少しこのまま一緒に居たいのが本音さ。」

 

英二の言葉にアッシュは面食らった。自分限定ではないものの、一緒にいたいと思われていることを知り、正直嬉しかった。

 

「恥ずかしいやつ。。。」

 

「あははは。ちょっと遠回りになるかもしれないけど、僕には必要な時間だと思う」

 

言った本人は全く照れていないのが少し悔しい。だが、彼を応援してあげたいという思いは誰よりも強かった。

 

「最悪、うちで雇ってやるよ。カメラマン兼カフェマスターだ。俺のレッスンも受け続けるなら相当な語学力になるから、職種も広がるぜ。」

 

 

 

「うん、力強い応援を本当にありがとう。。 いつもいつも僕のことを応援してくれて。。。感謝してる。」

 

「俺はおまえの力になりたいだけだ。」

 

数え切れないほどの応援と手助けを受けている英二は自分が何も返せないことが歯がゆく感じられ、拳をギュッと握りしめた。

 

 

「。。。」

 

英二は涙ぐんでいた。それに気づいたアッシュが何事かと焦り出す。慌てて英二の顔をじーと眺める。ホロホロと透明な涙が大きな澄んだ瞳から流れ落ちていく。

 

 

「お、おい。どうして泣くんだよ?俺、何か酷いこと言ったか?」

 

「違う、違う。グスッ。。中途半端に大学を辞めて記憶まで無くして何もかも宙ぶらりんな僕はずっと自分に自信がなくて将来が不安だったんだ。。。親にも痛いところ突かれるし。。。大学の友達も呆れてると思う。でもこんな僕に君は優しくしてくれて。。。」

 

いつも明るくみんなの前では笑っていた英二だが、実は不安でたまらなかった事実を知り、アッシュは英二を背中からそっと抱きしめた。

 

「えっ、アッシュ?」

 

「しばらく黙ってろ。お前に何が起きても、他の誰かがお前を悪く言っても、俺はおまえを絶対に否定しない。」

 

「。。。」

 

「時には自分の周りが敵だらけに思える時もあるだろう。そんな時、たった一人でも味方がいれば心強いと思わないか?」

 

「うん、絶対に嬉しいと思う。」

 

アッシュは英二の頭を優しく撫でた。

 

「俺も。。。いや、俺はおまえのそんな存在でいたいと思う。構わないか?」

 

目の前に美しく微笑むアッシュの顔を見て、英二は顔が赤くなった。

 

「も、もちろん。。」

 

(あれ、こんな事が前にもあったような。。デジャブみたいな。。。でも、ちょっとだけ甘えさせておくれよ。年下の君に恥ずかしいけど。。。)

 

英二はアッシュの肩に自分の頭をのせた。こうするのは初めてのはずなのに、なぜか懐かしい感覚と香りに心が落ち着いていく。

 

(不思議だな。。。アッシュって何者なんだろう? 初めからごく自然に接してくれてたけど。。。どこかで会ったのかなぁ?それともアメリカで似たような人に会ってたのかな。。。)

 

 

「。。。ふぅ」

 

強張っていた英二の体が弛緩するのを感じ、アッシュは微笑んだ。自分が英二にしてもらったことのささやかなお返しをしたかった。

 

 

「英二、おまえ頑張りすぎだ。それじゃつぶれちまうぜ?たまには気晴らししようぜ 」

 

「気晴らし?」

 

「そうだな。。。また休みの日にでも出掛けようぜ。カメラの撮影もしたいだろう?」

 

「う、うん!僕、行きたいところがあるんだ!」

 

英二は瞳を輝かせた。この笑顔を見れるのなら、アッシュは何だってしてやりたいと思えてくるのだ。

 

「いいよ、どこでも連れて行ってやる」

 

「うん!じゃぁ、温泉に行こう!」

 

「オンセン?」

 

 

*続*

 

お読みいただきありがとうございます! 賄い料理まで作るなんて英二多忙すぎるかな?でも皆の不摂生を見かねて「じゃぁもう僕がやる!」と言いかねないなと。。。

 

 

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シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(10)

 

 

第10話: 学長による特別レッスン

 

語学学校Lynx(リンクス)が開校して1ヶ月が経った。その評判は上々で、あっという間に地元ナンバー1の人気と生徒数を有するようになった。

 

英二もすっかりリンクスに慣れて毎日多くの時間を過ごしていた。

 

アッシュは自分の時間をキープするために受け持つレッスン数を制限していたが、アスラン学長のレッスンを求める声はやはり多く、それが彼の唯一の悩みだった。

 

「アスラン学長。。。冗談ではなく、このまま要望に応えないと生徒が暴徒化するかもしれません」

 

疲れ切った顔の受付カウンセラーは、様々な要望を生徒から聞かされたのだろう。心労で痩せたスタッフに同情したアッシュは仕方なく臨時の単発レッスンを受けることにした。だが、そのことをすぐに後悔した。

 

 

「はぁぁ。。。」

 

近々行われるイベントのフライヤーを見たアッシュが深いため息をついた。

 

「こんなもんやってられるかよ!」

 

ひょっこりと肩越しにそれを覗きこんだ英二がニヤニヤと笑う。

 

「もうすぐ君の”特別レッスン”だね。何か問題でも?」

 

「頭が痛くなるぜ。。。誰だよ、こんなひどい内容にしたやつは。。。 企画を任せた俺も俺だが。。。」

 

時間を割かれるのが嫌で、スタッフに任せっぱなしにした自分の浅はかさを後悔した。

 

英二はフライヤーの宣伝文句を読み上げた。

 

『アスラン学長特別講座 〜恋愛名作映画から学ぶ英語〜 学長が決め台詞を感情込めて読み上げます。(+ 当日はカフェの人気メニュー"縁結びバナナぜんざい"も振る舞います。)』だって? あはは!! 君がねぇ。。。。そういえば、開校祝いパーティーの時、ふざけてこんな話をみんなとした気がする!」

 

思いがけない英二の言葉にアッシュが反応した。

 

「なんだと?」

 

「でもおかげで大繁盛じゃないか!」

 

「そうだな、限定チケット50枚だが応募は250人だそうだ。」

 

「学長はみんなに愛されているなぁ。。。がんばって!」

 

ケラケラと全く大変そうだと思っていない英二に、アッシュはニヤリと笑いながらいう。

 

「他人事みたいに言ってるけど、お前が作る当日のぜんざいを俺も楽しみにしてるぜ!」

 

「あぁー! そうだった、僕がそれを作る役目だよ。。。」

 

すっかり忘れていた英二は、段取りと準備を考えると頭痛がしてきた。そしてガクンと彼の頭が垂れたのを見て、今度はアッシュがニヤニヤと笑いだした。

 

 

***

 

 

某日曜日の特別レッスンの日、急遽立ち見席が追加され、おおよそ70人が参加することになった。

 

まずはアスラン学長が恋愛映画についての簡単な説明をするが、すでにこの時点でアッシュに酔いしれる生徒があとを絶たず、目頭を押さえる者までも現れた。そしていよいよ彼が有名恋愛映画の名ゼリフを読み上げる時が来た。参加者はそれがほぼ目当てと言っても過言ではないだろう。

 

期待されるほど、アッシュの心情は冷めていく。だが楽しみにきた人たちの思いを蔑ろにするわけにはいかない。

 

(感情を込めて読み上げろって言われてもなぁ。。)

 

一人虚しく読み上げるよりも、相手がいた方が感情がこもるかもしれないと思った彼は、「だれか僕の相手役になりたい方はいませんか?」と軽い気持ちで生徒に相手役を求めたが、これがとんでもないことになった。

 

「キャー!!」

「わたし、わたし、わたしやりますっ!」

「アスラン学長、私を選んでくださいっ!」

 

あちこちから手を挙げ身を乗り出す女性たちに圧倒された。

 

下手に誰かを選ぶと後で問題になるかもしれないとアッシュは考えた。嫉妬した女性ほど怖くて面倒なものはないのだ。

 

金切り声が響き渡る中、呑気な声がアッシュの耳に届いた。

 

「みなさーん、縁結びバナナぜんざい食べましたか?まだの方はどうぞお召し上がり下さい〜」

 

ぜんざいを運ぶエプロン姿の英二が視界に入ると、アッシュは彼に目配せをした。

 

 

(英二、こっちへこい)

 

(んー? アッシュ。。。どうしたんだい?)

 

何か用事があるのかと思った英二は素直に頷き、彼の元へと近づいていく。アッシュは英二を椅子に座らせた。

 

 

「今回は彼に手伝ってもらいます」

 

「ん?? 資料でも配るの?」

 

ぜんざい配りに集中していた英二は理解できず、不思議そうな表情を浮かべてじっとその大きな瞳でアッシュを見つけた。

 

するとアッシュは突然切なげに英二を見つめて、彼の肩に手を添えた。そしてはじめのセリフを熱っぽく言う。

「I think of you as more than a friend.」(私はあなたを友達以上に想っています。)

 

その瞬間、女性陣の叫び声が教室に響き渡った。

「キャー!」

「羨ましい!」

「あの男の子、真っ赤になっちゃったー!可愛いわ!」

「あんな若くて可愛い男の子なら仕方ないわね」

 

突然の行動に英二は固まっていたが、アッシュは気にせず 次に英二の手を握り、先ほどより距離を詰めてきた。囁くように一言。

 

「Please keep holding my hands.」(どうかこの手を離さないで)

 

またも女性陣が叫びだした。

 

「素敵!」

「あぁ、クラクラする」

「ありがとう、ありがとう。。。」

 

 

英二はカチコチに体が強張っていたものの、視線はアッシュから外さずにただただじーっと見つめることしかできなかった。

 

 

アッシュは更にひざまづいて、王子様がお姫様に告白するかのようなキラキラした瞳で上目遣いに一言優しく囁いた。

「I’m yours forever.」(私は永遠にあなたのものです。)

 

「アスラン学長ー!!」

「たまらない。。。」

「あれ、涙が出てくる。。。」

 

 

目がウルウルする人、ポーっと赤くなる人、反応は様々だった。先ほどまで嫌でたまらなかったアッシュもはっきりいってこの状況を楽しんでいた。悪ノリしていると自分でもわかっていたが、こうでもしないとこんな恥ずかしいセリフを人前で吐くことなど出来ないというのが彼の言い訳だった。

 

「I love you. You complete me.」(君を愛してる。君は僕を満たすんだ)

 

渾身の決め台詞を英二の腰を支えながら囁くと、叫び声とともに倒れる女性まで現れたので、スタッフにこれ以上の決め台詞続行は中断させられてしまった。

 

アッシュからの熱い名ゼリフ告白を受けた英二は、口は半開きで、目は大きく見開いたまま一言も発せずにいた。

 

耳から頰、首まで真っ赤に染まっている。

 

アッシュが咳払いして、終わったことを暗に伝える。

 

「感想は? 」

 

英二は我にかえって、不自然なほどハキハキ、スラスラと感想を述べだした。

 

「さすがアスラン学長!発音も完璧だし感情もこもっていて、とても演技とは思えませんでした!まるで本当に告白されたかのように感じて照れました!」

 

あははと聴衆の笑いをとったあと、彼らの方を見て真摯な態度で言う。

 

「皆さんもリンクスでレッスンを開始または継続すると必ず上達しますから、ぜひ頑張りましょう。今日みなさんに召し上がっていただいたぜんざいは一階のカフェメニューですので、そちらもよろしくお願いします。」

 

丁寧に深々とお辞儀した後、赤くなった顔を隠すかのように足早に去っていった。その真面目で素直な反応が女性陣の好評を得ることになった。

 

 

「あの子も可愛かったね、お行儀もよいし。」

「うん、カフェも行こうー」

 

こうして益々語学学校リンクスはますます人気が出るのであった。

 

 

*続*

 

はい、すみません。アッシュと英二で遊んでみました(笑)ノリノリで甘いセリフを言っているアッシュを想像してくださいね。 小説に関して、みなさんのリクエストあればお聞かせくださいね(必ずしもお話にできる保証はありませんが、参考にさせていただきます!)

 

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らぶばなですほっこり。とうとうアッシュの学校がオープンしたようですお願い。それでは第9話をどうぞウインク


 

シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(9)

 

 

第9話: 語学学校LYNX出雲校へようこそ!

 

 

某日、語学学校Lynx(リンクス)出雲校がとうとうオープンした。

 

事前説明会を行った時からアスラン学長の美しさと知能の高さが評判を呼び、口コミが広がって申込者数が殺到していた。客の大半は女性で年齢も様々だ。中には親子三代で語学学校に通う生徒もいる。

 

「キャー! アスラン学長よ!」

 

「学長と挨拶しちゃった! 」

 

「アスラン学長のプライベートレッスン受けたい〜」

 

若い学生たちの話題はもっぱらアスラン学長の容姿とカリスマ性だ。彼女達の分かりやすい好意とアピールをさりげなくかわしながらも、嫌味にならない程度に爽やかな笑顔を向けて教室へと向かう。

 

ベビー、タッドラークラスは、もともとの需要があった事に加え、ボーンズとコングが玩具と彼らの体を使って子供を楽しませようと努力の甲斐あってこちらも人気のあるクラスだ。何と言っても最後の5分間だけアスラン学長による”絵本読み聞かせタイム”が 親子のハートをノックアウトした。

 

「ママ〜、あたしアスランがくちょーと結婚するぅ!」

 

「どうすれば、アスラン学長みたいにカッコいい男になるの? 彼は俺のヒーローだ!」

 

ほとんどのクラスで8ー9割以上の申し込みがあったが、アスラン学長のグループレッスンは ''プレミアム"扱いだ。アッシュは日中、調べ物や投資をしているので基本的に夜のみ授業に出る。90分レッスンを1日2回受け持っている。

 

他のクラスより値段が格段に上がるのにも関わらず、"何としてもアスラン学長のレッスンが受けたい”と言う声が止まず、何とキャンセル待ち100人という驚異的な人数を叩き出したのだ。

 

『立ったままでも良いから受けさせて下さい!」

 

「音声だけでも良いから販売してもらえませんか?」

 

「だれか欠席した時だけでも、参加させてください!」

 

アッシュはもともと追加レッスンに消却的だったが、生徒や客の要望があまりにも熱いので、しぶしぶ不定期で単発の授業を受け持つことにした。

 

 

一方、カフェも同時にオープンした。生徒は1割引で利用できるので、客の大半は生徒だったが、カフェの雰囲気の良さが好評だ。

 

"アスラン学長が集めた本が読める"とこちらも口コミが広がっていた。語学学校の生徒でもないのにお客がその事を知っていたことに英二は驚かされた。

 

「アッシュの人気すごいね。。。田舎なのにこれだけ人が集まるだなんて。」

 

「東京校ではもっとだ。まるでハリウッド俳優みたいな人気ぶりだったぜ。」

 

「そうそう、ほとんどの生徒や客はまともだけど、たまーに妙なヤツがいてさ。ボスを付け狙うみたいな行動するやつもいたぜ。」

 

「勘違いした女がナイフを持って仕事あがりのボスを狙ったことがあったな。」

 

「えっ?ナイフ?」

 

英二の胸がざわついた。なぜか腹の傷が痛んだ気がする。

 

「あー、心配するな。ボスはめちゃくちゃ強いから素人の女の攻撃なんて受けるはずがねぇ。」

 

「素人って?」

 

「えーっと、俺たち元々はヤンチャしてて。。その。。ストリートキッズあがりなんだよ。だから慣れてるってか。。」

 

「ストリートキッズ。。。」

 

その時、語学学校リンクスの広告が目についた。

 

ナイフ、リンクス、ストリートキッズ、ボス。。。思わず英二はメモを取り出して書き出した。それをじーっと眺めると、これらは何か大事なワードのような気がしてならない。胸がざわつくのを感じながらただ文字を見ていた。

 

「すみませーん、カフェ・オ・レと豆腐ディップのベーグル下さい。」

 

背後からお客に声をかけられ、英二は我に返った。

 

(あ、仕事中だった!)

 

「は、はい!いらっしゃいませ!」

 

慌てて柔かな笑顔で接客に対応した。

 

 

 

***

 

 

 

学校もカフェも終わり、ささやかなパーティーが寮の共用リビングで開かれた。英二も学校スタッフと混じり参加する。すっかりメンバーとも顔馴染みになっていた。

 

不思議なもので、リンクスに通うようになってから、英二は表情が明るくなり、自分の世界が広がった気がしていた。

 

コンビニとスーパーで買ってきた缶ビールとおつまみを手に取り、各々乾杯した。

 

「お疲れさまー!」

 

「すごかったな、初日なのに9割以上埋まってるだなんて。。。」

 

開校と同時に席がこれほど埋まるだなんて正直想像していなかった英二は、ただただ驚いたがボーンズとコングはさも当然といった表情で英二の背中を小突いてきた。

 

「そりゃーボスと俺たちの才能と努力さ!事前に調べまくってたしな!ボスが!」

 

「コング、お前は何した?でかいその図体を見たガキが泣いてたぞ。俺がしっかりフォローしたけどな!」

 

「ああん?その後ちゃんと俺が"お馬さん"してあげたら喜んでたじゃないか!」

 

二人は喧嘩しながらもワイワイと楽しく飲んでいる。

 

おしゃべりをつづける三人の元にスーツを脱いでシャツとジーンズ姿に着替えたアッシュが現れた。 その胸元には英二とお揃いの勾玉ネックレスを身に付けている。こうしてみるととても語学学校の学長とは思えず、むしろ大学生に見える。

 

アッシュは英二を労ってくれた。

 

「英二、今日は疲れただろう?おまえが撮影した灯台と出雲大社の写真、グループレッスン室に飾ったら地元の連中に好評だったぜ? 俺のことを出雲の歴史と文化に惚れたアメリカ人だと勘違いして、ますます好感度があがったようだ。」

 

「あはは。。。それは良かった。」

 

「東京から開校祝いのシャンパンが 届いた。俺の部屋で飲むか?」

 

「いいの?」

 

アッシュの部屋に入るのは初めてだったので、英二は素直に喜んだ。

 

「あぁ、来いよ。」

 

アッシュは英二を3階にある自分の部屋に連れて行った。角部屋の一番大きな部屋のドアを開けた。

 

まず目に入ってきたのはコンピューターとタブレット数台が置いてある長机で、その後ろには大きな本棚があった。ここで昼間は投資や個人的な調べ物をしているらしい。

 

落ち着いたグリーンの大きなソファーを指差したので英二はそこに腰掛けた。そして彼が明るめのライトグリーンのカーテンを開けると、窓からは駅前のネオンが見えた。

 

 

「夜景といっても、都会に比べると大したことないね。」

 

「平和な町だな、ここは。。。アメリカや東京より落ち着くよ。」

 

遠い目をしていたが、故郷が恋しいというわけでもなさそうだった。

 

「アッシュ、聞いても良いかい?」

 

「俺が答えられることなら何でも。」

 

「君が持ってるお守りの持ち主ってどんな人だったの?」

 

英二の問いかけに一瞬ハッとしたが、落ち着いた口調で語り始めた。

 

 

「。。。どうしようもないダニだったおれを見捨てずに支えてくれた。どんな時も優しく包み込んでくれた。あいつのおかげで、まともな人生を歩もうと決意したんだ。なんかキラキラ輝いていて。。。天使みたいだった。あんな人間に会ったことなかったから驚いた。 」

 

 

幸せそうに微笑むアッシュの顔を見ていると、どれだけ大事にその人を想っているのかが伝わってきた。

 

「。。。すごく素敵な人だね。その人がきみを変えるきっかけを作ってくれたんだ?」

 

「そうだな。いつの間にか俺が生きる為に必要な存在になってたんだ。」

 

 

「今は。。?もう会えないの?」

 

「今すぐは無理だろう。でも俺は待つつもりだ。会えなくても、俺の胸の中にそいつはちゃんといるんだ。」

 

アッシュがその人にどういう感情を抱いているのか興味があったが、彼の表情や語り口調を聞いていると友情だけでもない気がするが、恋愛と断定するのも少し違う気がした。家族のような深いつながりのあるその人物が誰なのか、英二は正直気になって仕方がなかった。

 

だがそれ以上アッシュとその人物の関係性について深く追求するのは良くない気がした。

 

「なんていえば良いのかなぁ。。。君とその人との深い愛情を感じるよ。。。その人が羨ましいな。きみと深い繋がりがあるんだね。」

 

「なぁ。。。英二。俺は。。。同じくらい。。。」

 

真剣な表情のアッシュに英二は何かを感じてかれの言葉を待つ。

 

だがそんな時に限ってなぜか邪魔が入る。ドアをドンドンと少々荒っぽくノックする音と共に、酔っ払ったボーンズの声が聞こえた。

 

「ボス〜!英二ー!」

 

無事に初回のレッスンを終えたことで安堵したのか、かなり上機嫌だった。

 

「デリバリー届きましたぁ!」

 

「 チッ、あいつ。。。明日のレッスンを酒臭い息を吐きながら受け持つつもりか。。。!もう一本歯を折ってやろうか!!」

 

握り拳を反対の手で包み、ポキポキ音を鳴らしはじめたアッシュを見て、英二はボーンズの身の危険を察した。

 

「ちょ、ちょっとアッシュ。。。!」

 

ドアに向かって英二は"わかった、すぐ行く"と大声で応えた後、アッシュに封筒を渡した。

 

「これ、僕からの開校祝いだよ。」

 

アッシュは封筒を受け取りじっと見ていた。その表現は固かった。

 

かつて受け取った英二からの手紙を思い出してしまい、身動きできないアッシュを不信がり、英二は声をかけた。

 

「どうしたの?中は写真だよ?」

 

それを聞いてアッシュの表情が和らいだ。

 

開封すると、写真が二枚入っていた。1枚目は灯台をバックに自然な表情で微笑むアッシュ、二枚目はお揃いの勾玉ネックレスを身に付けたアッシュと英二の自撮り写真だった。

 

「これ、いいな。ありがとう、大事にとっておく。」

 

「そう?気に入ってくれて良かった。じゃあ、みんなの所へ行こうぜ!」

 

「。。。」

 

英二はアッシュの手を取って走り出した。その手を振りほどくことも握ることもできず、アッシュは困惑した表情のまま英二に付いくだけだった。

 

 

*続*

 

本当は小説タイトルを今回9話の「語学学校リンクス出雲校へようこそ」にしようと思ってたのですが、内容と合わなくなってきたので変更しました(笑) 小説に関して、みなさんのリクエストあればお聞かせくださいね(必ずしもお話にできる保証はありませんが、参考にさせていただきます!)

 

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こんにちは。らぶばなですニコニコ
 
バナナフィッシュのコラボカフェ大阪(オープン二日目)へ行ってきました!そのレビューです。良いところも悪いところも個人的な意見をガッツリ書いてますので ^_^ご注意ください。
 
さて、念願のバナナフィッシュ コラボカフェ入店のレビューです!
 
オープン二日目の午前11時の部で予約、コラボカフェでランチしてきました。2歳のおチビは前日に実家へ預けているので安心です(実際、お客さんで子連れは一人もいなかったのでホッとしました。)。
 
実は今回、とーっても素敵な出会いが私にありました爆笑。ブログを通じてお知り合いになったNY10707さんです。彼女はニューヨークに住んでいたのですが、今は大阪在住のバナナフィッシュファンの方です。エレガントな癒やし系の女性ですねラブラブ
 
すごい偶然なんですけど、NY10707さんとコラボカフェの予約した日時が同じで、テーブルをご一緒させて頂きました!こんな事あるんですねキラキラ!バナナフィッシュの神様(!?)のお陰かしら?ありがとう!

 
 
さて、私が店に到着し、NY10707さんと合流できた時にはもう行列が出来てました。お客さんは女性95パーセントで、若者が大半です。中にはカップル、母と娘、やや年配の方もいました。ちなみにソロは相席になる場合があるようです。
 
バナナフィッシュは色々な世代に愛されているなぁ。。。そしてアニメ化で若者層のファンが増えたんだなと実感しました。
 

 
行列に並ぶ間に、店のお兄さん達が席予約確認とオーダーを取ってます。注文は一回限りなのでご注意を。
 
 
英二みたいな優しそうな店員さんの許可を得て、彼が着ていた制服を撮らせてもらいました。この服いいなぁ。欲しいと思いました。。。アッシュのアクリルキーホルダー(?)みたいなのを前にぶら下げてました。
 
ソロ同士の私達は店員さんにお願いして席を近くにしてもらいました。
 
店内の様子です。天井にぶら下がるキャラのポップカードが可愛い。微妙に似てないアメリカンテイスト(笑) あれは誰のイラストなの?
 
 
 
 
壁にはポスターやメニューが貼ってます。
 
入店時にプレゼント貰えます。カメラフィルム調の小さなイラストと、A3くらいの透明なフィルムの。。これはポスターかな!? 予約時の特典のようです。そういえば700円ぐらい支払いました!予約でお金取るのー!?と思ったけど、あれはチャージ料みたいなもので、これは"付き出し"か(笑) 絵柄はランダムのようです。お兄さんが上から順に配ってたので、運次第ですね。

 
私はある意味"当たり"かな?アッシュも英二もいましたよ!ありがとう!

 
小さい方はあのセクシーなキャンディバーアッシュがいました!嬉しいような、恥ずかしいような、なぜか複雑な気分です。
 
NY10707さんは、英二と、オーサー戦のイラストでした。これもある意味レアですね。ほかにもどんなのがあるのか気になります!
 

 
こちらは小さい物販コーナーです。私達のテーブル席のすぐそばにありましたが、買い物するのは番号札順でした。
 
何人かまとめて呼ばれた番号の人から順に買うシステムです。買わなくても札は返すらしいです。徹底した時間短縮と無駄を省くシステムに驚きました。
 
料理が来て食べようと思った瞬間、番号を呼ばれたので、仕方なく物販コーナーへ行くことに。メニューのラーメンが汁ラーメンではなく、つけ麺なのは、買い物中に麺が伸びないようにする為かなとしょーもないことを考えてしまいました(笑)
 
入店前からここのシステムは何かと似てるなーと感じたいたのですが思い出しました。まるでバスツアーやパックツアーみたいだなぁって思ったんですよね。
 
観光地や土産店やレストランで時間やコース決められてセカセカと集団行動するあれです。カフェが入れ替え制だから手際よく席もオーダーも買い物も済まさないと仕方ないんだろうけど、もう少し自由にさせて欲しいなぁなんて。。
 
スタッフさん達はすごく頑張ってましたけどね。
 
それはさておき、物販コーナーへ。脇に置いてあったこの札は自由に使ってよいということかな?札持って記念撮影してる人もいました。このテイストは何だろう?
 
特にグッズは買うつもり無かったんですけど、ある意味お祭り騒ぎというか、こういう機会は滅多にないと思うと購買欲が出るのが自分でも不思議です。
 
私はイタリア人のバナ友へのお土産として、アッシュと英二のアクリルボードをそれぞれ買いました。やっぱり飾るならセットの方がいいよね。

 
買い物終了後、NY10707さんとお互いのメニューを味見しあいました。
 
私は豆腐ディップ付きサーモンベーグルとエビアボガドサラダのセットをオーダーしました。1500円くらい。NY10707さんはラーメンライスです。
 

 
まぁ、綺麗!美味しそう!
 
実は豆腐ディップがずっと食べたかったんですよねー。英二の豆腐ディップどんな味なの?おお、うんまいです(笑)
これは水切りしただけの木綿豆腐ではなさそう。他にも何か混ぜてるのかなあ?
豆腐臭くなく、チーズほどもコッテリしていないアッサリ優しい味で、他の具と合わせても邪魔をしないと思います。これはかなり好きだなぁ。レシピ知りたーい!
 
ベーグルパンは思ったより少し固めです。ガチガチまでいかないけど、噛むとやや顎が疲れそう。この上にサーモンが数枚乗ってて、豆腐ディップと合いますね。個人的にはもう少しサーモンに塩味が欲しいかな。
 
ちなみにこういうベーグルはどう食べればよいのかな?サンドするの?噛みきれないよ!?下のサーモン乗ってる部分はナイフで切るの?硬くて切れない…結局、上と下を別々にちぎって食べました。
 
エビアボガドは文句なしに旨いです。食いしん坊にはもう少しアボガド欲しいのが本音ですが。
そしてこの袋が何か分からなかったけど、ここにベーグル挟んで食べるんだね。NY10707さんに教えてもらってやっと分かりました。恥ずかしい。。。使わずに持ち帰りましたが、何に使おう?
 
NY10707さんがオーダーしたコーヒーの瓶ラベル、コースターにもアッシュが。。。インテリアに使えるかな?
 
ラーメンライスの旗も表はアッシュ、裏は英二のイラストが。。。アッシュさん、撃たないでね。。。細かいところまでファンを楽しませてくれますね!
 
 

 
ちなみに店内では不定期に声優さんのアナウンスが聞こえてくるので要注意です。お喋りに夢中だと聞こえないかも。アッシュと英二のお喋り?が3回ほど別バージョンの音声で流れてました。急いで録画したのであまり撮れてないかもしれませんが、聞こえますかねー?






 
 
ラーメンライス、ただのつけ麺かと思ってたのですが、これ、よくみればライス乗ってるんですね!気づかなかった!。
チャーシューがごつくて美味しそう!卵もいい感じ。。。ボリュームある感じでした。
 
味見させてもらったスープの味は濃い目でした。ライスにかけると合うだろうなぁ。ラーメンライスにしたくなるのは分かる。麺は蒸した感じ?不思議な食感でした。そういえばキッチンコーナーにラーメンのベース味であろう缶を発見。味覇みたいなやつ?そういえば味もそれに近い気がしました。
 
全体的にボリュームあるしこれは男性向けかな。ラーメンにしては値段が高すぎる印象ですが。
 
カボチャサラダのメニューも気になったんですけどねー。
 
あっという間に時間が過ぎ、別の店でお茶しました。
 
NY10707さんからニューヨークを旅行する際にとても参考になるお話をたくさん聞かせていただきました。現地のこと知らない私にとっては全てが初耳なので ありがたかったです。
 
NY10707さんはブログもされていて、ニューヨークやバナナフィッシュの記事も書かれています。実際にニューヨークに住んでいらっしゃったら方ならではの、リアルな視点そしてアニメの世界観に浸る事ができる興味深い内容ですので、ぜひご覧くださいね!現地の写真がたくさん出てきますので、旅行を考えていらっしゃる方にもおすすめです。
 
ブログはこちらです。
 
 
バナナフィッシュ コラボカフェ大阪でのひととき、楽しかったです。
 
ぜひ行かれた方は感想聞かせて下さいね。
 
 
 
 

 

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らぶばなですほっこり。アッシュと英二が楽しく遊んでいるとコッチも嬉しいですねお願い。それでは第8話をどうぞウインク


 

シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(8)

 

 

第8話: 癒しのひととき

 

海岸沿いは隆起したユニークな形の岩が独特の雰囲気を醸し出し、青く澄んだ海と空に白い灯台が美しく映えている。

 

松林を眺めながら遊歩道をゆっくり散歩する。波しぶきの音を聞きながら二人は灯台へと向かう。

 

時折英二は歩みを止めてカメラをかまえている。彼の後ろ姿をアッシュは柔らかい表情を浮かべたままじっと見守っていた。決して彼の邪魔をしないようにと。

 

 

断崖にそびえる灯台に近づくと、その外壁は白く美しい石造りで内壁はレンガ造りで施されていた。展望台へと続く螺旋階段をのぼると日本海と島根半島の全景がみえるのだ。

 

 

「すげー綺麗だな!」

 

「そうだね。ほら、今日は良く晴れてるから中国山地もあそこにみえるよ。」

 

「どこだ?教えてくれ」

 

「あっちあっち。南方だよ。」

 

英二が指さしながら方角を説明する。近く二人の距離がなんだかくすぐったく感じられた。

 

「僕も久しぶりに灯台を見たよ。懐かしい。でも、もーっと沢山の灯台がある場合に行った気がする。こんな風に誰かと海を見たんだけど。。。なんだかその表情が寂しそうでたまらなかった気がするなぁ」

 

思い出せないのがもどかしいのか、英二は目を閉じながら頭を上に向けて「うーん」と唸った。

 

「。。。。」

 

「あ、ごめん。妙なこと言って。前にも話したけどアメリカでの記憶がなくて。。。僕は誰かと灯台のある地で何か話したみたいだ。何となくうっすら覚えてるよ。誰だっけ?君みたいな。。。金髪の女の子かな?そんなはずないけどね、ははは。」

 

「デートでもしてたのか?」

 

「それなら良いけど、あいにく彼女は出来なかったみたいだ。一緒に海を見た子については覚えてないけど、”守りたい”というには気持ちは覚えてる。」

 

「。。。。」

 

アッシュは英二の頭をくしゃくしゃと撫でた。本当は抱きしめたかったのだが、英二を驚かしてしまうと思ってやめた。

 

「なに?」

 

突然の行動に英二は理解できず、きょとんと大きな瞳でアッシュを見つめた。

 

「おまえって、いいヤツだなと思って。」

 

 

「ありがとう。でもいいヤツで終わり、ってパターンばかりさ。」

 

アッシュが慰めてくれているのだと思い、英二は「あはは」と軽く笑った。

 

「俺が女なら放っておかないのにな。」

 

まんざら嘘でもないとアッシュは思ったのだが、英二には伝わらなかったようだ。

 

「慰めでも嬉しいよ。ありがとう。君みたいな心が優しくて綺麗な人が恋人ならみんなに大自慢するよ!」

 

きらきらと輝くような笑顔を向けられ、アッシュは照れる思いを隠すかのように車のキーをギュッと握った。

 

「妙なこと言ってないで、飯食いに行こうぜ。腹が減った。」

 

 

 

***

 

 

 

昼食には英二お薦めの海鮮料理屋に行った。地元の新鮮な食材を使った料理が食べられると評判で、夜は値段がはるもののランチタイムはお手頃な値段で食べられるのが魅力的だ。英二はふだんから世話になっているアッシュをぜひ連れて来たいと思っていた。ここは自分が奢るからとアッシュを説き伏せて店の暖簾をくぐった。

 

 

運ばれてきた海鮮丼と味噌汁を見るなり、アッシュは自分の携帯を取り出して写真を撮りだした。丼からはちきれそうなほど乗った海の幸のボリュームと色合いの美しさにアッシュは「美しい」と言い、「俺の好きな海老に貝もある」と嬉しそうなアッシュの姿に英二はふふっと微笑んだ。

 

食後のお茶を飲み、ホッと一息つきながらアッシュは改めて昼食のお礼を言った。

 

「本当にうまかった。島根の食べ物は美味しいな。東京でも和食を食べたが。。。魚と米の味が全然違う。」

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ。アッシュ、君、お肉は食べないの? 霜降り牛を食べたがる観光客が増えているんだけどね」

 

「俺は太りたくない」

 

「えー、そんなにスタイルいいのに。。。? 僕は肉も魚も何でもいけちゃうけどなぁ」

 

「油断してると腹がでてきちまうぜ?オニイチャン」

 

うまいもので腹が満たされ、リラックスしていたこともあり、つい昔使っていた呼び名で英二を呼んでしまった。内心しまったと思いながらも、訂正するのは不自然なのでそのまま英二の反応を待つ。

 

「お兄ちゃん? なんかアッシュに”お兄ちゃん”て言われるとなんか懐かしい感じがするなぁ。変なの」

 

首を傾げながら、英二は『なんでかな?」と繰り返すばかりだ。アッシュは英二が思い出さなかったことに安堵しながらもやはり寂しさを感じてしまうのだ。そしてそんな自分に自己嫌悪する。この繰り返しが続いていた。

 

 

***

 

 

 

午後からは古代アクセサリーの勾玉造り体験をした。紙やすりを使って石を勾玉の形に整えていく。 アッシュは翡翠色、英二は瑠璃色を選んだ。

 

「僕も始めて作るんだけど、上手くできるかなあ? 」

 

「ぶきっちょには難しいか?」

 

「まさか!よし、どちらが綺麗に仕上げらるか勝負だ!負けた方がコーヒー奢るんだぜ?」

 

「わかった。」

 

 

二人は集中しながら石を磨いていく。たとえ沈黙になっても困るような雰囲気はなく、むしろ安心感すらあった。一時間後、勾玉は完成した。ネックレスにする為、石に穴を開けてもらう。

 

「なんだか横向きの小人みたいだなぁ。」

 

そう言いながら、英二が二人分の勾玉の上下をぴったりとくっつけて言った。

 

「見て見てー。こうするとまるで君のと僕のがチューしてるみたいだな。」

 

「。。。なっ!」

 

「何照れてるのさ?君って見た目よりシャイなんだね。」

 

「はぁ〜!?全然違うッ!」

 

アッシュは英二の柔らかそうな頰に唇を寄せた。

 

「えっ!」

 

「ザマーミロ!!」

 

色違いのお揃いのアクセサリーを身に付けた時、二人はこそばゆいもののさ絆が深まった気がして嬉しかった。

 

 

*続*

 

イラストブックAngel Eyesみたいに、アッシュと英二にお揃いのアクセサリーを身につけてもらいたくて、出雲らしい勾玉を選んでもらいました。ニコニコ  参考までにイラストを上に用意しましたが、勾玉はまるで小人が横向きに口をパクッと開けているように見えませんか? 小説に関して、みなさんのリクエストあればお聞かせくださいね(必ずしもお話にできる保証はありませんが、参考にさせていただきます!)

 

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らぶばなです爆笑。コメントや拍手ありがとうございます。私は正月そうそう親子共に風邪を引いてしまいました。。。みなさん大丈夫ですか?気をつけてくださいね!それでは第7話をどうぞウインク


 

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第7話: 透明な糸で結ばれた友情

 

 

語学学校リンクスのカフェでは、英二が考えて新作メニューの試食会が行われていた。

 

「すげぇ、英二。。。」

 

「めちゃくちゃ美味そう。。。」

 

コングとボーンズは英二の腕前に驚いていた。

 

「君たち、試食してくれるかい?地元の食材をできるだけ取り入れた地産地消を実行したいというアッシュの要望を考慮して考えたんだ。。。これは出雲ぜんざいを小麦生地に混ぜて焼いた「縁結び焼きドーナツ」だ。あれは出雲蕎麦で作った「出雲蕎麦ミルクレープ」、それは豆腐で作った「フレンチトーフトースト」だ。それから納豆チーズドッグ。。。」

 

「まて、なぜ納豆がフードメニューに?」

 

アッシュは眉間に皺を寄せながら抗議した。

 

「ヘルシーフードの代表じゃないか。日本人はチーズ好きが多いし、最高の組み合わせだと思うんだけど?」

 

 

「他のものは完璧なのに、納豆の匂いのせいで食欲が。。。」

 

鼻をつまむアッシュに英二は呆れた。

 

「なーに言ってるんだ。この匂いがたまらないんじゃないか。日本文化を理解したいって言ってるくせに、わかってないなぁ。。。」

 

「英二、最高にうまいぜ」

 

コング はホットドッグをほうばりながら親指を立てた。

 

「そうかい?じゃぁ、君たちも作れるように一生懸命がんばろうな!次はドリンクメニューだなぁ。。。」

 

 

楽しそうにワイワイ騒ぐ英二と仲間を、アッシュが微笑ましく見守っていた。かつて59丁目のアパートで共に過ごした仲間だということを忘れている現実が哀しかった。

 

「あはは、本当に君たちといると楽しいし安心するよ。。。」

 

穏やかに笑う英二を見て、ボーンズとコングは再び涙を浮かべた。

 

「おれ、玉ねぎが目に染みちまった。。。」

 

「おれも。。。奇遇だな、コング。。。」

 

 

 

 

***

 

 

語学学校リンクスの開校日が迫ってきた。その前にアッシュが依頼した校内とカフェメニューの写真を撮るため英二は毎日のようにアッシュ達のもとにやって来た。

 

 

はじめはやや緊張しながら撮影していたが、必ずアッシュは手伝ってくれたし、コングやボーンズも英二に気さくに話しかけてくれるので英二は次第にこの学校で過ごすのが楽しくなってきた。

 

厳選した写真をカフェの机に並べて、その出来栄えをアッシュに確認してもらう。

 

「いいんじゃないか?この納豆チーズドック以外は完璧だと思う。」

 

「もう、またそんな事を言って。君の納豆嫌いは筋金入りだなぁ。なーんかそんな事を言ってた奴が他にもいた気がするけど。。。」

 

気のせいかなと独りごちる英二をアッシュは懐かしい思いで見ていたが、意識をそらせるために話題を変える。

 

「もうHPとカフェメニューの撮影は終了したのか?」

 

「これで全部だよ。開校日までに間に合って良かった。ボーンズとコングの料理の腕も上がってきたし、僕も全力で頑張るからね!」

 

カウンターでコーヒーを作っている二人に英二は微笑みかけた。彼らも手をあげて応える。

 

「助かったよ。英二のおかげだ。」

   

「カフェがオープンしたら、毎日バイトしに来てくれ、英二。。。」

 

「その方がボスの機嫌も良いし。。。イエ、何でもありません!」

 

アッシュの睨みに気づいたコングが小柄なボーンズの後ろに身を隠した。

 

でも、まだアッシュに頼まれた教室に飾る風景写真はまだ撮影できてなかったなぁ。

 

「じゃあ、車をだすからこれから行くか?」

 

「今から? 」

 

突然の誘いに英二は驚く。

 

「まだ午前中だし、多少遠出しても大丈夫だろう。何か予定でも?」

 

一応都合を確認してくれるが、予定なんてないだろうと思っているのは間違いない。

 

「いや、特に。。。」

 

(学校オープン前に終わらせた方が良いな。)

 

ほんの少し戸惑ったが、すぐに気持ちを切り替えた。何だかんだ言って、英二はアッシュと過ごす時間が楽しかったのだ。

 

「よし、じゃあ行こう!」

 

 

***

 

 

特に目的地もなく何処を走るか迷ったが、海岸線をドライブをしながら気になった風景があれば撮影することにした。

 

 

サングラスをかけてハンドルを握るアッシュはそれだけで雑誌の表紙にでもなりそうなほど眩い美しさがあった。

 

 

(アッシュは不思議なヤツだなー。彼は僕の。。何だろう?雇い主?でもそんな感じで向こうは接してこないし、友達と思ってよいのかな?)

  

 

英二には二人の関係性をどう言葉にしてよいのか分からなかった。

 

初めから英二を信頼しているかのような彼の態度や、時に感じる何か熱のこもった視線が気になっていた。

 

(自惚れかもしれないけど、結構気に入られてる。。よね。。?)

 

英二にとってそれは喜ばしいことだが、アッシュの優しさに触れるに連れ、何か自分には欠けているような気がして申し訳ない気持ちになるのだ。

 

 

「英二ってふだんはおしゃべりなのに、車に乗ると喋らなくなるよな。」

 

 

「そ、そう?何でかなぁ?つい君とこうしてると気分が落ち着いてきてボーッと考え事しちゃうんだよなぁ。やだなぁ、僕。気が利かなくて。。。」

 

「そんな事ないさ。おまえのそういうところ、見てるとホッとする 」

 

「君は優しいね。みんなから慕われてるし。。。」

 

「誰にだって優しいわけじやないさ。それならお前の方がよっぽど。。。」

 

「あはは、前から気になってたんだけど、君って前から僕の事を知っていたかのような口調で話すよね。あ、嫌じゃないよ?どうしてかなと思っただけ。アメリカ人は一般的にフレンドリーだなと思って。」

 

アッシュは何ともいえない苦い表情になった。

 

「。。。ちがう、ちがうんだ、英二。そうじゃないんだ。俺はフレンドリーな外国人なんかじゃない。」

 

「何をいっているんだい?君はずっと僕に優しいじゃないか?それに僕だけじゃないのも知っている。君は部下の面倒もよく見てるし、日本人や日本文化へのリスペクトも忘れてない。。。もっと自信を持って言ってもよいんだからね!?もし誰かが君を悪く言ったら許さないよ!」

 

英二にこれほど力強く自信満々に言われてしまうと、たとえ自己否定の強いアッシュでもこれ以上否定することはできなかった。

 

「ありがとう。。。そんな風に思ってくれていたんだな」

 

アッシュは心が温まるのを感じた。こうやって何度も彼に勇気付けられてきたことを思い出す。

 

「相変わらずだな。。おまえの。。。」

 

アッシュは自分が言いかけたことばの矛盾に気がついた。その時、遠方に白い灯台が見えたので慌ててそちらを指差した。

 

「英二、あれは何だ?」

 

あれは出雲日御碕灯台(いずもひのみさきとうだい)だよ。子供の頃に行ったことあるなぁ、懐かしい」

 

「綺麗だな」

 

「そういえば、婆ちゃんがあれは日本一の高さだって言ってたなぁ。せっかくだからあそこで撮影しようよ。」

 

「了解」

 

 

二人は灯台を目指した。

 

 

*続*

 

アッシュと英二にドライブデート(笑)してもらうことにしましたニコニコ 読んでいただきありがとうございます!

 

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らぶばなです爆笑。では第6話をどうぞウインク


 

シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(6)

 

 

第6話: 事実

 

英二を送り出した後、アッシュは自室として使用している三階へと向かう。本当は実家まで車で送りたかったが、近いし問題ないと英二に言われてしまったので、無理強いすることも出来なかった。

 

長い一日だったが、英二に再会出来たという事実がアッシュの心を浮き立たせていたようだ。

 

口笛を吹きながら「少し部屋で休む」とボーンズに伝えると、ボーンズは少し涙ぐみながら言った。

 

 

「ボスが嬉しそうで良かったです。英二とボスが会えて俺は感無量です!」

 

 

からかっているわけではなく、心からの言葉なので殴るのはやめた。

 

三階は寮としてスタッフが使用している。一番奥の大きな部屋がアッシュのものだ。

 

コーヒーを飲むために電気ケトルに水をいれてセットし、窓辺に移動した。

 

居酒屋や学習塾の鮮やかな看板はあるものの、昔ながらの喫茶店や和菓子屋、コンビニくらいでここから見える景色は東京校やニューヨークと比べるとあまりに静かで光もわずかだ。

 

だがこの町には英二がいる。それだけで十分価値があった。

 

その時アッシュの携帯が鳴った。相手の名前を見た時、そろそろ連絡がくる頃だと予想していたので驚きはなかった。

 

「出雲での生活はどう?慣れたか?」

 

 

「あぁ、"ボチボチ" だな。」

 

「。。。日本語が上達したな。」

 

電話の相手がクスッと笑った。

 

「もう妙な言葉は教えないでくれよ、伊部さん。」

 

ふふふと、笑い声がした後 しばらく沈黙が続いた。

 

様子を伺う口調で伊部が尋ねる。

 

「それで。。君は会ったのかい?」

 

「。。。英二か?。。。あぁ、会ったよ。」

 

少し間があってからアッシュは答えた。

 

「そうか、それじゃ俺からの"連絡便"はもういらないな。」

 

 

「言っとくが、会ったのは偶然だったんだ。。俺は自分から会うつもりはなかった。」

 

言い訳がましく聞こえたが、言わずにはいられなかった。

 

「君が東京に来た時も驚いたけど、わざわざ出雲にまで語学学校を作って、それでも遠くから見守るだけだったと言うのかい?」

 

「たとえあいつと話せなくても、知りたかった。。。あいつの生まれた町をこの目で見て感じたかった。。」

 

「どこかでいつか英ちゃんが君に気づくのに期待したんじゃないのか?」

 

「それは、、 、今まで考えたこともなかった。」

 

ばつが悪そうにアッシュは答えた。

 

 

少々責めすぎたかと伊部は思い、それ以上アッシュの真意を探るのをやめた。

 

「それで、英ちゃんは君を思い出したのか?」

 

「いいや、全く。。子分にも会ったが。。」

 

「残念だな。でもまた友達としてやり直せば良いじゃないか。そのうち思い出すよ」

 

慰めの言葉を伊部は優しくかけるが、アッシュはきっぱりと言い切った。

 

「思い出さない方が良い。自分勝手な理由だが、過去の辛い記憶をあいつに思いだしてもらいたくない。また色々と無茶をされても困るしな。」

 

「いいのか?英ちゃんと君の大切な思い出だろう?そんなの寂しくないか?」

 

「俺が永遠に覚えているから構わないさ。どう俺があがいてもあいつと同レベルの一般人にはなれないことは分かっている。」

 

「そんなこと。。。君は努力しているじゃないか。それは全て英二のためだろう?」

 

 

「そう言ってもらえるなんて光栄だ。ありがとう、シュンイチ。」

 

 

「。。。」

 

 

伊部からの電話を終え、アッシュはコーヒーを飲みながらこれまでの事を振り返った。

 

 

バナナフィッシュを巡るディノとの戦いが終わり、帰国する英二の手紙を読んだアッシュは空港に向かう途中でシンの義兄に刺された。

 

結局空港には戻らず、図書館にて英二の手紙と共に息絶えかけていた彼はブランカによって発見され、生死を彷徨ったものの奇跡的に助かった。

 

ブランカによると彼は帰国するはずだったが、”胸騒ぎがする”とアッシュを探すためにシンに連絡を取ったようだ。

 

元雇い主の李月龍に協力を求め、彼の協力と保護のもと、アッシュは極秘手術を受けた。

 

李月龍はアッシュを''再び"社会的に死んだことにした方が都合が良いと、歳近い若者の死体を利用して死んだものとした。事実をまだ知らされてなかったシンに死体を見られてしまったため、色々と誤解が生じてしまった。

 

そしてその情報はマックスを通じて日本にいる伊部と英二の元にも届いた。

 

あまりにも強い精神的ショックを受けた英二は高熱をだして倒れてしまい、何日も寝込んだあと、アメリカでの記憶を失ってしまった。

 

 

目を覚ました時、伊部のことはもちろん覚えていたが、マックスやジェシカ、シンの名前と顔も分からない状態だった。

 

しばらく様子を見ようと全員でアッシュの名前やバナナフィッシュに関する情報をシャットダウンしていたが、状況は変わらなかった。

 

そんな時、アッシュは自らマックスに連絡を取った。

 

「やぁ、父さん。久しぶり。」

 

「その声は。。アッシュか?おまえ、生きていたのか?」

 

 

マックスの声は驚きで震えていた。だがすぐに喜んだ。これで英二の記憶が戻るに違いないと思ったからだ。

 

英二が記憶障害になったと説明をうけたアッシュはショックを隠しきれない様子だった。彼はしばらく葛藤していた。深いため息をついた後、枯葉答えをだした。

 

「たのむ、俺やバナナフィッシュに関する情報をあいつに話さないでくれ」

 

 

伊部とも個別に会い、英二の未来の為にも自分に関する情報を告げないこと、写真を見せないことを約束した。

 

 

それからしばらくして、英二は伊部と共に帰国した。

 

これでいい、これでよかったのだとアッシュは自分に言い聞かせた。

 

アッシュがやせ我慢していることを不憫に思った伊部は、頼みもしないのに英二に関する情報を定期的にメールで連絡してくる。 

 

「英二が無事に退院した」

 

「英二が出雲に戻った」

 

「英二にカメラを渡した」

 

 

英二に関するささやかな連絡便は、町のダニとして生きていたアッシュの心を温かくした。

 

(このまま永遠に会わないつもりだったのに。。。)

 

「英二は大学を辞めようとしている」

「英二は将来について悩んでるようだ」

 

伊部からこの連絡を受けた時、アッシュは居ても立っても居られなかった。

 

アッシュは自分には何も出来ないと分かっていたが、英二のそばに居たい、あいつを見守りたいという強い意志があった。そしてそれはかつて英二が自分に向けた言葉や思いに似ているのではないかと思った。

 

(俺は英二を諦めることはできなかった。たとえあいつが俺を覚えていなくても、あいつをそばで見守っていたいと。俺の存在にすら気づかなくても、あいつが他の誰かと幸せに暮らしたとしても。。。)

 

気がつけば彼は行動していた。徹底的に日本や英二の故郷、出雲についてリサーチし、同時に日本語を学び始めた。

 

伊部、ブランカや李月龍まであらゆるツテを利用してどうすればアッシュが日本で暮らせるのか調べあげて法的な手続きをした。

 

まずは都会で日本での暮らしに慣れようと東京に住むことにした。

 

外国人である彼が日本人や日本文化を理解し、地元の人と交流できるようになるにはどうするのが良いかを考え、語学学校を開校した。教師陣には、俺の信用できるかつての子分を中心にアメリカから呼び寄せた。まともな仕事につけば少しはマシな人生を歩めるかもしれないからな。それに外の世界を知ることも大事だ。

 

はじめは小さな教室で良いと思っていたのだが、李月龍が"お祝い"だと立派な駅前ビルを買い取った。

 

たちまち学校は口コミで大繁盛してしまった。いくら平和な日本とはいえSNS等で自分の写真が表にでることは避けたかった。あらゆる危険性を考え、逃げるように大きなりすぎた東京校を部下に任せ、念願の出雲にやってきた。いつかはこの地にくるつもりだったが、思ったよりその時期が早く来てしまったことにアッシュは苦笑した。

 

英二が住む町に自分もいると思うだけでアッシュは心が浮き立つようだった。日本に行くと決め、東京での生活を経て出雲にくるまでわずか半年だった。

 

 

(俺はあいつのようになりたかった。過去はどうすることもできないが、未来は自分次第だ。あいつの隣に並んでも恥じないよう、一般人としてこの地に馴染み、少しでもあいつのように生きたい)

 

 

英二を知る子分には、万が一英二に出会っても何も言うなと伝えてあった。コングとボーンズは仲良かっただけに現状を受け入れがたいらしい。余計なことをしないよう注意する必要があるだろうとアッシュは思った。

 

アッシュから英二に連絡するつもりは毛頭なかった。近くにあいつがいると思うだけで十分嬉しかったし、もし願わくば 年に数度か遠くからあいつの様子をそっと見れたら。。。とアッシュが淡い期待を抱いていたのも事実だ。

 

かつて英二が持っていたお守りは、銃撃事件の際のゴタゴタで落としたらしい。アッシュはそれを英二の分身かのように大事に持ち歩いていた。

 

彼の地元には有名な出雲大社があるので、そこで英二の妹が手に入れたに違いない。出雲に着いたらそこは必ず訪れ用と決めていた。

 

 

「ねぇ、君。。。そのお守り。。。見せてもらっていいかな?」

 

 

だが、偶然訪れた出雲大社で二人は出会ってしまった。まだアッシュが出雲に来て間もないのにも関わらず。

 

日本の神様が二人を会わせてくれたのだとアッシュはこの時に思った。そして穏やかな表情の英二がアッシュに話しかけた時、アッシュは彼が全てを思い出したのかと思った。

 

だが英二は本当にアッシュのことを覚えていなかった。留学生の一人だと思われた事実が悲しくてショックだったのは言うまでもない。あの壮絶な生死の境を潜り抜けるかのような二年間をなぜ忘れられるのだと英二を責めてしまいそうになっあた。だがそれは想いを共有できない悲しさや寂しさからくるものだ。

 

奥村英二と共にいたこと、彼の支えと愛情を受けた事実がアッシュの生きる支えとなっていた。

 

相変わらず優しくて真面目で包み込むような柔らかい笑顔を英二は見せてくれた。それだけで勘違いしてしまいそうだった。彼にとって自分は特別な存在だと。

 

(俺は欲を出した。見守るだけと言ってたはずなのに、名前を名乗り、理由をつけてあいつを自分のそばに置くために仕事をあたえ、連絡先を交換した。。。)

 

このことを伊部に知られると怒るかもしれない。

 

(いや、呆れるか。。。本当に俺は欲張りで弱い。あいつを見た瞬間、戻れない、離せないと思った。。。。)

 

「日本の神様、あいつともう一度友だちになっても良いですか?どうかそれを許して下さい。。。。」

 

アッシュは見えない神に願った。

 

*続*

 

 

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シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(5)

 

 

第五話:

 

レッスン中に時々肩が触れ合い、その度にくすぐったい気持ちになる。今朝会ったばかりのアッシュになぜこれほど親近感がわくのかわからなかったが、とても懐かしくそして心が浮き立つような気持ちになる。

 

「さすがネイティブの発音は違うなぁ。。。僕の日本語なまりの英語と違うよ。もっと綺麗に話せるようになりたいなぁ。。。」

 

レッスンを終えた英二は感心しっぱなしだった。

 

「発音だけ?」

 

「う。。。。」

 

英二は日常会話には困らないものの、語彙力がまだまだだ不足していると実感していた。

 

ふと、アッシュの視線を感じた。彼は至近距離で英二の顔を見つめている。なぜか視線をそらすことができなかった。

 

「。。。。。」

 

沈黙が続いた。それはおそらく数秒のはずだが英二にはかなり長く感じた。アッシュが静かにつぶやいた。

 

「おまえの瞳は真っ黒だな。。。まるで暗闇のようだ。。。」

 

「。。。君の瞳はすごく綺麗なグリーンだね。同じ人間なのに不思議だなぁ。。。見ていて飽きないよ」

 

「。。。。。」

 

かつて隠れ家にて同じような会話をしたことをアッシュは思い出していた。

 

「まつげまで金色なんだね。すごく綺麗だ」

 

「下もだぜ? 見るか?」

 

「え、本当なのそれ? じゃぁ見せて!」

 

「。。。冗談きついぜ。。。ハハハ。。。英二っていつまで経っても。。。」

 

「いつまで経っても?」

 

「いや、なんでもない。なぁ英二。。。。」

 

「んー?」

 

アッシュは英二が本当に自分のことを思い出せないのかが気になっていた。だが、今のところ彼はアッシュを今日初めて会った人と思っているのは明らかだった。

 

もどかしいような気持ちになるが、何も言うことができなかった。再び沈黙が続いた。

 

「。。。。」

 

「。。。。」

 

(なんか照れるなぁ。まるで見つめ合っているみたいだ。。。アッシュ、なんだか。。。ちょっと哀しい顔してるけど。。。?)

 

英二はアッシュが何か言いたげな表情をしていることに気がついた。だが彼はその続きを言わないので、英二もただ待つことしかできない。

 

その時、コンコンとノック音と共にドアが開いた。

 

「ボス、ここにいたんですね? 東京校のアレックス学長からお電話です!。。。ボス!?」

 

事務所にいたボーンズが電話を取り次いだが、彼の顔は強張った。アッシュが恐ろしい表情で睨みつけていたからだ。

 

 

「悪い、ちょっと席を外す」

 

アッシュはレッスンルームを離れた。

 

「ねぇ、ボーンズ。カフェと教師を両立するのって大変じゃない?」

 

「まぁな、まだ開校前だからバタバタしているし人員不足だけど、楽しくやってるぜ? ボスがいるから絶対になんとかなるはずさ!」

 

ボーンズの目はアッシュを信頼しきっているようだった。

 

「そうなんだ」

 

ちょっと言いづらそうにボーンズは英二をチラリと見た。

 

「あのさ、英二。。。俺たちのこと本当に。。。」

 

「んー? どうしたの?」

 

「いや。。。何か困ったことがあれば俺たちにいつでも相談しろよ。ここにはボスも、俺もコングもいるから。。。」

 

「ありがとう。君たちって本当にいい人たちだよね。なんか初めて会ったとは思えないんだよなぁ。。。きっと君たちがフレンドリーで優しいから甘えてしまっているんだろうな」

 

「。。。。。グスッ」

 

 

英二の言葉に、ボーンズは涙目になった。シャツの袖でゴシゴシと涙を拭いている。

 

「え、なんで泣くの?」

 

「いや。。。俺、アレルギー持ちなんだ。花粉にやられたのかも。。。グスッ。すまねぇ、鼻をかんでくる。。。」

 

涙と鼻水の止まらないボーンズは急ぎ足で英二のもとを去っていった。それと同時にアッシュが戻ってきたが、走り去るボーンズを不審そうな目で見ていた。

 

「待たせたな英二。。。ん? ボーンズのやつどうかしたか?」

 

「花粉症なんだって。大変だなぁ。。。」

 

心配そうな表情を浮かべる英二にアッシュはフッと優しく微笑んだ。

 

「たいしたことはない、放っておけ。ところで英二、おまえは学生なんだろう? 将来どうするつもりだ?」

 

「実はね。。。大学を中退しようと思っているんだ。僕は棒高跳びの選手でスポーツ特待生なんだけど、怪我でもう跳べないんだ。。。新しい道を進もうと考えているのさ」

 

「さっき話した僕がお世話になったカメラマンの伊部さんは僕を弟子にしてやると言ってくれてるけど、専門学校で基礎知識は学んでおくべきかと思って」

 

「学費が必要になるな」

 

「本当だね。。。これ以上親に迷惑かけられないし、学費を貯めないとね。バイトか。。。働きながら夜間学校に通うか悩み中だよ」

 

 

「そうか。。。それなら提案がある。英二、1階のカフェでバイトしてみればどうだ? 俺の子分達に任せてるが、あいつら不器用なうえに料理のセンスがねぇ。。。このままじゃ不安だ。本当はもっと地元の食材を取り入れて、フードメニューを充実させたいんだが、開校準備でバタバタしていてな。。。あいつらの日本語レベルは幼児以下だ。。だから子供向けレッスンしか担当させていないんだが。。。日本人のお前がいると安心だし、お前からのアドバイスも貰えると助かる」

 

 

「アッシュ。。。」

 

英二は目を丸くした。正直ありがたい話だった。今朝あったばかりのこの青年とは不思議とウマが合うし、昔からの友人のような安心感があった。少々テンポが早い気もするが、これから良い友人になるのではと期待したのも事実だった。

 

 

「バイト代は奮発するぜ? それとは別に生徒のいない時間帯なら、スクールでもプライベートレッスンをつけてやる」

 

 

「ほんとうに。。。?」

 

この青年は英二に対して優しい。優しすぎるという印象だった。外国人とはいえ、ふつう初対面の人間にここまで親切にすることは無いのではないかと英二は思った。彼の中に、英二を繋ぎ止めておこうとする勢いを感じたが、さすがにそれは自意識過剰かもしれないと心の中でその考えを否定した。

 

「どうしてそこまで親切にしてくれるんだい?」

 

英二は聞かずにはいられなかった。

 

「それはおまえが。。。」

 

いいかけるが、続きの言葉はでてこなかった。

 

「うん?」

 

「いや。。。。英二の情けない犬みたいな顔を見てたら、何とかしてやらなくちゃって気持ちになってきただけさ。」

 

上手に嘘つけたかどうかはわからないが、アッシュはできるだけ落ち着いたトーンで答えた。

 

「え、僕そんなに情けない顔してた? 。。。ふふっ、君は優しい人だね。ありがとう。。。何かアッシュにお礼をしなきゃ。。。今日出会ったばかりの人に、ここまで助けてもらうだなんて思ってもみなかったよ。本当に本当にありがとう。。。」

 

英二は照れながらも心からの感謝の気持ちをアッシュに伝えた。

 

「ずいぶん律儀なんだな」

 

何もかも懐かしい英二の反応だったことに、アッシュは静かに微笑んだ。

 

「何か君に返せるものがあればいいなぁ。。。何かいい案があれば教えてくれるかい?僕も考えておくから。ところで思ったんだけど、君の写真を撮ってHPに載せればもっとお客さんがくるんじゃない?」

 

「それは遠慮しておく。。。俺の写真をHP上に掲載したくないんだ。東京校では、生徒が勝手にSNSに俺の写真を投稿しようとするし困ったぜ。なんとか食い止めたが。。。。それでも来訪客の8割が口コミで、なぜか俺の顔を知っているんだぜ? 恐ろしい世の中だな」

 

「そうなの!? うわぁ。。。」

 

(モテる人は大変だなぁ。。。でもアッシュならありえそうな話だな)

 

 

 

「でも、お前の写真は好きだ。見ていてなんかホッとする。。。そうだな。。。礼をしたいと言うのなら、俺のために撮影してくれるか?ほら、あそこを見て」

 

そう言いながらアッシュはドアを開け、グループレッスン用の大きな部屋の黒壁を指差した。

 

 

「シンプルで気に入ってるんだが、ちょっと無機質すぎる印象がある。あそこに写真を額縁に入れて部屋に飾りたい」

 

「僕に任せてくれるだなんて嬉しいよ。どんなのがいいの?何かテーマとかある?」

 

「なんでもいい。英二に任せる」

 

「なんでもいいって言われてもなぁ。。。」

 

漠然とした内容に英二は思わず苦笑した。

 

「お前が良いと思った写真が良いんだ。。。」

 

どうでも良いわけではなく、英二の感性を信用して任せてくれているのが伝わった。

 

「うーん。どうしよう。。。風景画がいいかなぁ。。。出雲周辺の写真を撮ろうかな。。。」

 

「じゃぁ、車をだすから今度一緒に探しにいこうぜ」

 

「え、いいの?」

 

「それぐらい、お安い御用さ」

 

「わーい、ありがとう、まるでデートの約束みたいで照れるね。。。」

 

「デート!? いや、そんなつもりじゃ。。。」

 

アッシュは過敏に反応した。英二と次に”会える約束”がほしいあまり、彼を誘ったことを自覚しているからだ。もちろん英二の写真を気に入っているのも事実だった。

 

「あはは、照れてるの?顔がちょっと赤いよ」

 

動揺したアッシュのほおを英二が指差しながらからかう。

 

「英二が変なことを言うからだろう? 車があったほうが便利だし、この地域についてもっと知ることができるし。。。それに一緒に出かけれれば楽しいと思って。。。」

 

言い訳がましいことは百も承知だが、何か理由をつけずにはいられなかった。だんだんと声が小さくなっていく。

 

 

「冗談だよ!ごめん、ごめん妙なことを言って。でも君みたいな外見も中見もカッコいい人と一緒に外出できるだなんて他の生徒さんに知られたら、きっと嫉妬されちゃうよ。」

 

 

 

「。。。。頼むから、それ以上喋らないでくれ」

 

アッシュは英二が視線を逸らしたが、その顔は先ほどよりもずっと赤くなっていた。

 

 

*続*

 

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シリーズ:もしもアッシュが記憶を無くした英二を追いかけて日本に来たら

『再会』 〜記憶を無くした僕を追いかけてきた君〜(4)

 

 

第四話:懐かしさと虚しさ

 

 

カフェは黒レンガの壁を背景に木目調の落ち着いたインテリアで統一されていた。天井が高いので小さくても広く感じるよう設計されている。二人は北欧風の茶色いカフェソファーに腰掛けた。

 

「いい雰囲気のカフェだね。ねぇ、あそこの本は自由に読んでもいいのかい?」

 

英二はカフェの中央にある大きな本棚を指差した。アッシュが集めたという本がずらりと並んでいた。お客は自由に本棚の本を読んでよいらしく、英二は興味深そうに何冊も本を手に取って戻ってきた。

 

「おいおい、そんなに読むつもりかよ?」

 

アッシュが英二をわざと大げさに揶揄った。

 

「なんか気になっちゃってさ。経済学からアート、漫画本まであるなんて、、、まるで小さな図書館だな。。。いいなぁここ。。。」

 

ふとなぜか英二は懐かしい気持ちになっていることに気が付いた。

 

(こんなこと、前もあった気がするんだけど。。。でもこれらの本を見るのは初めてだし、こんなおしゃれなカフェに行ったこともないし。。。)

 

山積みになった本を抱えながら、英二は湧き上がる感情が何なのか理解できずに立ちすくんでいた。

 

 

「英二?」

 

「ううん、なんでもないよ。そうだ、注文しなくちゃね。いい加減が腹へった。。。」

 

英二はその感情について今は考えないようにしようと、とりあえず笑ってメニュー表を手に取った。

 

 

アッシュによると、出雲市駅前にあるこのビルは1階がカフェ、2階が英会話教室で3〜5階が事務所兼居住スペースで教師用の寮もあるらしい。

 

 

「カフェではうちの教師が空き時間にバイトする予定だ。おい、お前ら来いよ。。。英二、こいつらはボーンズとコングだ。」

 

アッシュはカフェのカウンターにいたスタッフに声をかけて呼び寄せた。先ほどから自分たちをチラチラ見ている視線に英二は気づいていた。

 

「「 Hi, there!」」

 

「 先生!? は、はじめまして! Eiji Okumuraと言います。」

 

教師と聞いてやや緊張の面持ちで英二は丁寧にお辞儀しながら挨拶をした。

 

ボーンズと言う教師はかなり痩せていて、英二より少し背が高く、そばかすだらけの肌に赤毛のややくせのある髪をひとつに束ねている。

 

また、コングと言う教師はプロレスラー並みに体格がよく背も高い。褐色の肌に黒の短髪で、たくましい腕には金のブレスレットが光っている。

 

「「え。。。」」

 

二人は何故かショックを受けたような表情で英二をじっと見つめ、一瞬泣きそうになったが、すぐに微笑みながら自己紹介してくれた。

 

(あ、この感じ。。。前にも感じた。。。。アッシュの時と同じ。。。)

 

「よろしく、英二。俺はボーンズ。こっちのデカイやつはコング。俺たちはベビークラスとタッドラークラスを担当するんだぜ?」

 

「英二、おれはコング。おまえと会えて嬉しいぜ。。。」

 

特にコングという教師は図体が大きいにもかかわらず、英二に背を向けながらなぜか目をゴシゴシと腕でこすっていた。

 

ゴホン、とアッシュの咳払いで ハッと我にかえり、なんだか無理やり作り笑顔をして英二に何を食べたいか聞いてきた。英二は嬉しそうにメニューに目を通した。

 

フードメニューはホットドッグやベーグルサンド が中心で、ドリンクはコーヒー、紅茶、ミルクとシンプルだった。

 

「ホットドッグもいいけど。。。コーヒーとベーグルサンドウィッチにしようかな。。。中味も選べるんだね。。。ハムとクリームチーズにがいいかなぁ。。。あれ、トーフディップなんてあるの? なんかヘルシーそうだなぁ。アメリカでも人気なの?」

 

トッピングメニューに豆腐があることに気づき、英二はメニューを指差しながら確認した。

 

「ま、まぁな。。。日本食ブームだから。。。」

 

コングは困ったような表情で答えた。

 

「そうなんだね、じゃぁトーフディップも追加で!アッシュは?」

 

「英二と同じものをくれ。中味はエビとアボガドで」

 

”エビとアボガド”の組み合わせを選んだアッシュを英二はじっと見つめる。

 

「エビとアボガド。。。エビとアボガド。。。あ。。。」

 

(なんだっけなー? なにか引っかかるんだよ、その組み合わせ。。。)

 

考え込んでいる英二を不思議に思ったアッシュが彼の顔をのぞきこんだ。

 

「英二?」

 

「いや、なんでもないよ。エビとアボガドも美味しそうだなぁと思っただけ。アッシュもヘルシーなものが好きなんだね」

 

「。。。まぁ太りたくないからな」

 

「じゃぁ、日本食はどう?君の口に合う?」

 

「そうだな、納豆以外はたいてい食べれる。ビールはどの銘柄も美味いんだが。。。」

 

「納豆苦手なんだ。。。僕はビールも納豆も好きなんだけど、やっぱり苦手な人多いよねぇ」

 

「あれだけは無理だな。人間の食い物とは思えない」

 

「ははは、よほど酷い目にあったな」

 

不思議とアッシュと話していると、初めて会った気がしなかった。アッシュどころか先ほどのボーンズ、コングという教師も前から友達であったかのような印象だ。

 

 

「はいよ、英二。おまたせ」

 

ボーンズが朝食を運んできてくれた。まだ慣れていないせいか、ベーグルサンドはやや崩れかけている。アッシュは小さなため息をついた。

 

「あつら何度練習してもダメだな。。。」

 

状況を理解した英二はふふっと小さく微笑んだ。

 

「みんなフレンドリーだね。ボーンズとコングもアメリカ人?」

 

「そうだ。もともと俺の。。。仲間。。。ダチだ。仕事先が無くて困ってたからあいつらを連れてきたのさ。でもあいつら不器用だからなぁ。。。カフェを任せていいものか。。。」

 

アッシュは苦笑した。彼らとアッシュは長年の付き合いがあるらしい。友達というよりも、番長と子分のような関係だなと英二は思った。

 

「へぇー!面倒見がいいんだね。アッシュ、君は友達思いだね。。。いいなぁ、君みたいな優しい人が友達だったら、僕は大自慢するよ」

 

「。。。。。」

 

英二の言葉にアッシュは何も答えなかった。時々、英二の言葉に困ったような悲しげな表情を浮かべるのが今だに理解できない。ちょっといびつな形をしたベーグルサンド を食べながら、英二は当たり障りのない質問をアッシュにする。

 

アッシュはアメリカ各地を転々としながら独学で日本語と日本文化を学んだらしい。なぜ日本に興味を持ったのか聞こうと思ったが、彼が持っているお守りの件が頭をよぎり、また彼の悲しい顔を見たくなかったので聞かなかった。

 

 

「ありがとう、形はともかくあのベーグルサンドは美味しかったよ、ご馳走さまでした。君の教室がうまくいくよう応援するよ。友達や家族にも宣伝しておくから!そろそろ。。。」

 

 

立ち上がろうとした英二の腕をアッシュが掴んだ。グリーンアイズが英二に何かを訴えている。

 

「。。。。?」

 

英二はアッシュの言葉を待った。

 

「おまえに頼みがある」

 

「僕に?」

 

「これを見てくれ」

 

タブレットを取り出し、語学学校のホームページを英二に見せた。

 

「これ、東京校のHPかい?立派な教室だね、それに生徒さんたちすごく楽しそう!」

 

東京校も駅前ビルの中にあり、白を基調としたシンプルなオフィスだ。英語だけでなく中国語のレッスンも受け持っており、英語教師は全員アメリカ出身のネイティブらしい。

 

学校案内のページには、笑顔の生徒に囲まれている教師、ハロウィンパーティーやクリスマスのコスチュームを着て談笑するスタッフと生徒、写真、アッシュの顔は映っていないが真剣な表情でディスカッションするビジネス英会話のレッスン風景などが掲載されていた。

 

「出雲校のサイトも作成中だ。ほとんど同じだから、HTMLをコピーして文章と写真を変えるだけだ。だがまだ学校とカフェの写真を撮影していない。。。。英二、語学学校HPの写真を撮影してくれるか?」

 

「僕が?こういうのってプロにお願いするんじゃ。。。東京校のはどうしたの?」

 

「これは知り合いのカメラマンに撮影してもらった。出雲にカメラマンの知人はいない。それに。。。俺はお前に撮影しておらいたい。英二の写真が気に入ったからな。謝礼もだすぜ?」

 

アッシュはタブレットの計算器アプリを立ち上げ、具体的な数字を英二に見せた。

 

(え? なにこの金額。。。一桁間違ってるんじゃ。。。)

 

正直、英二はアッシュが計算を間違えたのだと思い、再確認したが間違っていないようだ。

 

「そんなにもらえないよ。。。そりぁ、今バイトしてないから、すごくありがたいんだけど。。。プロでもないのに気が引けるよ。相場の金額ってどれくらいなのか伊部さんに聞いてみる。もちろん同じ金額は受け取れないから、そこも相談させて。」

 

「おまえって、謙虚だな。もらっておけばいいのに。幸いうちは儲かっているからな」

 

アッシュは欲のない英二にクスクスと笑いだした。

 

「。。。アッシュ、撮影の前に学校を見学してもいいかい?」

 

「あぁ、まだ朝のレッスンまで時間があるから案内しよう」

 

 

***

 

 

改修工事はすでに終了しており、あとは学校の開校日を待つだけだった。すでに噂と口コミが広がり、問い合わせと申し込みが殺到しているらしい。

 

 

こちらもカフェと同様に黒を貴重とした木目調のインテリアでまとめてあり、まるで海外ドラマに出てくるようなオシャレな教室に英二は驚いた。

 

「わぁ、ここもおしゃれだし、綺麗だな。。。出雲にこんな学校ができるだなんて地元の人は喜ぶだろうな」

 

アッシュは黒い壁を指差した。とてもシンプルな黒壁だが、飾り気が全くなく少々無機質な印象があった。

 

「この壁に色々な大きさの額縁に写真を入れて飾りたいと思っているんだ。。。」

 

「それ、いいね!風景画とか似合いそう。。。あ、ここが教室?」

 

英二の指差した方向には、開放的な大きな長机のある広い空間と、いくつかの小部屋に仕切られた空間があった。

 

「ここはグループレッスン用。あっちの小部屋はプライベートレッスン用だ」

 

「グループとプライベートか。。。そういえば、アッシュは教えるのかい?」

 

「そうだな、ビジネス英会話が主になるが俺も担当を受け持っている。ちなみに俺はグループレッスンのみしかやらないが」

 

「プライベートレッスンはしないの?」

 

「東京校では、それで色々と問題が生じた。。。生徒が俺に必ずといっていいほどモーションかけてくる。中には手を握ってデートに誘ってくるやつや、キスを迫ってくるやつもいた。。。学生からおばさん、おじさんまで」

 

「え、おじさん?」

 

英二は耳を疑った。

 

「なぜか俺。。。男にもモテルのさ」

 

アッシュはニヤッと含み笑いをする。

 

「へ、へぇぇ。。大変そう。でもそれだけ君の人気がすごいってことだね」

 

「個人的に仲良くなりたいって下心のある生徒が集まってきて、大変なんだよ。でも月に一度だけ、初心者向けの特別グループレッスンを開催するがおかげさまで毎回満員だったよ」

 

「でも、君がいなくなって東京校では大変なんじゃないかい?」

 

「俺の部下でアレックスという優秀なやつがいるんだが。。。そいつもなかなかのイケメンでな。アレックスに全て任せてきた。あいつなら大丈夫だろう」

 

「ははは。。。大変そうだね。。。僕も発音がまだまだダメだから、スクールに通ってみたいなぁ。。。でも残念ながらお金がなくて」

 

「お前ならいつでも無料で俺とのプライベートレッスン受けさせてやるよ」

 

にこやかにアッシュが笑う。

 

「え、いいの?超人気のイケメン教師を独占できるだなんて! 授業料いくらなんだろう?」

 

わざと大げさに言う英二の腕をアッシュは小突いて、プライベートレッスン部屋のドアを開けた。小さなカウンターに椅子が二脚並んでいる。そのうちの一つにアッシュは腰掛けた。

 

「ほら、バカ言ってないで、そっち座ってみろよ」

 

「いま?」

 

「まだ時間あるだろう?俺もその方が都合いい」

 

「あぁ、君は忙しいものね。オーナーだし。。。。」

 

英二も椅子に座った。アッシュは眼鏡をかけた。

 

「眼鏡が本当に似合うよね。。。君ってものすごく頭良さそうだ」

 

「まともに小学校も卒業していないよ。何しろチンピラだったもんでね」

 

「えー?君がチンピラ? そんなの想像できないや。。。もう、冗談いって!」

 

アッシュが冗談を言っていると思った英二は彼が本当のことを言っているのに気づかない。アッシュは英二の状況を理解しているとはいえ、寂しさを感じていた。

 

共に何度も危機を乗り越え、命がけで過ごしてきた2年間をアッシュは忘れることなどできない。英二に記憶を戻してほしい気持ちと、このまま思い出さずに新たな友情を築いていきたい気持ちの狭間で アッシュはどうしてよいのか分からなかった。

 

「。。。。。」

 

「どうしたの?」

 

無言になってしまったアッシュに気づいた英二が不思議そうに顔をのぞきこんできた。

 

「なんでもない、ほら。。。そこのテキスト開いてみろよ」

 

「これ? あ、これは上級者向けだな。。。政治経済の話はちょっと苦手だなぁ。。。」

 

「じゃぁ、セサミストリートにでもするか?」

 

「。。。な! なんだよそれー! ニュース記事にしようぜ!」

 

ムキになった英二はテキストの中からニュース記事を見つけて、それを読み始めた。からかうとすぐに怒る英二の反応が変わらないことにアッシュは苦笑した。

 

*続*

 

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