今の世のトウリの実・え | ラテックスは妄想中

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暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。

 

 

あーん

 

…って促され

口を開けて

手掴みの果物

受け入れられるほど

 

サカシタさんへの

信頼はない

現状で

 

拒否の反応すれば

当然

流れを止める

空気が変わる

 

そういうのも

計算した上での

サカシタさんなりの

距離の詰め方なのだろう

 

ちゃんと

拒否られた

ベリーの実は

自分で回収して

 

「…あんまぁ…」

 

厨房の方に向いて

 

いい材料が使われてるアピール

挟んで

 

「…ちゃんとお手伝い分の小遣い

 出るから

 

 アオイは今のイチゴが報酬だからな」

 

当然のように

運ぶのを手伝う面子に

入ってるアオイさんが

 

「…バイトの時給換算だと

 確かに妥当かも

 

 …だけど

 そっちのトレイも運ぶから

 さっきの(麻雀)の負け

 チャラって事にするのはどうだろう?」

 

そういうと

自分用に回された

トレイに

横から手を伸ばしてきた

けど

 

いやいやいや…

両手で一つのトレイを持った方が…

って

重量のデザートが乗ってるの

運ぼうって言いだしてるの

 

絶対やめた方が…

 

気遣う反面

 

運ばなくて済みそうな

立場に

キョトンとした顔して

 

サカシタさんの判断

アオイさんと一緒になって

待てば

 

 

「…それは独断では決めかねる

 けど まぁ…うん そうねぇ」

 

とか

言ってる間にも

 

アオイさんが

軽々と

トレイを両手に

それぞれ持ったから

 

「…じゃぁ あんたは

 俺らの先に立って

 ドアマン…やってもらおうかね?」

 

手ぶらになった自分に

 

自動ドアを依頼され

 

まぁ…それ位ならと

 

早速

人の往来が

そこそこ落ち着いてきた

地上への階段へ

 

先に向かえば

 

 

「ちょちょちょ…

 

 カトラリーくらい持ってってよ」

 

受け渡し口の女性が

 

手ぶらで立ち去ろうとした自分を

呼び止め

手招きするの

 

 

…それって

サカシタさんのトレイに乗せれば

いいのでは?

 

とか

思いつつ

 

個数分のフォーク

コップに挿した状態で

手渡されたのを

受け取りつつ

 

共犯に

どうしてもしたい…のか?

 

とか

被害者モードが

無言での受け取りになった

 

 

「…よろしくね」

 

運ぶ二人の護衛依頼かのように

笑顔でお願いされたから

 

一応

 

小さく会釈だけして

 

不本意ながら

教授の依頼の片棒を担ぎつつ

地下食堂を

出たところで

 

 

「…どこの研究室に運ぶんですか?」

 

ドアを開ける為

 

前を歩く便宜上

行き先を知らない事には

ひとまず

人の多い地下から離れて

サカシタさんに尋ねれば

 

「あぁ…屋上行くよ」

 

え?

 

屋上…って

 

 

「中央ですか?東館ですか?」

 

 

構内にある

屋上を有する建物

思い出しつつ

 

人の出入りが許可されているのは

確か…と

 

記憶をぐるぐるしていれば

 

 

「…この建物の…だよ」

 

地下から上がってきた階段は

 

地下専用の為

 

向かいの階段までの廊下

歩きつつ

 

旧館の設備に

階段以外の上層階へ行く手段はなく

 

…て事は5階分の階段移動か?…

 

とか

思いつつ

 

 

「…旧館の屋上って…初めてかも」

 

そもそも

外に出られるスペースが

あることすら

知らなかったなぁ…と

 

驚きつつ

ちょっとだけ

ワクワクしていれば

 

 

何かを言いかけた

アオイさんが

 

結局

何も言わないまま

 

角を鉄板で補強された

木製の階段を

ギシギシきしませながら

 

後ろを黙って

ついてきた

 

 

  つづく