なんだかこの人にとって
対人面で
お願い事は全部
言ったもん勝ち
って空気感
否めなくて
極力
関わり合いたくない
巻き込み系な
存在の言動に
今は
何を言ってもダメだろうと
諦めつつ
こそこそと
黙って
離れた集団
雑談で盛り上がっている
留学生たち
…その場を離れた
人間の事など
気にも留めていない
だろう
に
再度
係わろうとする格好で
引き出されるの
居た堪れない気分
顔に出さないように
呼吸
整えていれば
隣のサカシタさん
張った声で
「おぅ?今から飯か?」
アオイさんのいる方向に
投げた挨拶
なんだろう
この怖いもの知らずな
感じ
アオイさんの周囲の
多国籍な面々
サカシタさんの
視界には入っていないのか?
と
ぎょ…っと思いつつ
も
今の問いかけに
誰が返事返すのか
ざっくり
眺めながら
あぁ…そういえば
通訳助手の男性と
アオイさんって
親しそうだった…なぁ
と
サカシタさんも
そういう関係値が
あるかもしれない
と
留学生に
「ここ空いてます?」
の発音
レクチャーしてた
通訳の男性助手
が
こっちを向く様子
腕を掴まれたまま
眺めていれば
「…おぅアニキ」
それは
ビリビリと
空気が振動するような
低い声で
通訳助手の男性の居る
方向ではないところから
聞こえてきたの
アニキ…とは
サカシタさんのことか?
と
声の
迫力に
わっ
ってなりつつ
留学生の集団に
目をやれば
大きな赤毛の男
にこやかに
「アニキもこっち来いよ」
手招きしてるの
一見
学生には見えない
大男
集団の中で
ずっと
存在感あったの
わっ喋った…
とか思いつつ
彼
単体で見ていると
言語学科の講師に
見えなくもない
貫禄があって
敬語
使いたくなってくる
の
プライドで
ぐっと抑えつつ
親しみやすい
赤毛の笑顔が
ガタイの良さや
低い声を
相殺してる
ある種の
魅力だな…
って
考察しつつ
サカシタさんを
アニキ呼びしてるの
先輩って意味の
受け取り間違い
か?
周囲に
訂正する者もいないの
いいのか?
と
隣に立つ
サカシタさんに
視線向ければ
「…アニキって…
ちゃんと意味聞いてる?
アンタが使うと
意味が変わって聞こえるんだが」
不本意そうな表情
発言した
赤毛の大男
指でさして
注意喚起
してはいるも
ネタっぽくて
やはり
本気で訂正する気はないようだ
と
判断し
空気読みつつ
髪同様に
赤い髭のワイルドな
留学生の方が
アニキ感は強いよなぁ
とか
俯瞰して
「そろそろ離してよアニキ…」
と
サカシタさんの
隣で小さく
囁いてみた
つづく