そろそろ
注文した食事が
届く頃だ…とすれば
それまでには帰る
そう言ったCFO秘書
スマホへの着信も
彼女からかもしれない
なら
呼び鈴で
室内の人の有無
確認後に
施錠解除した
ドア外の人物が
空き巣ではなく
この教室の関係者…って
可能性
無くもなく
…そもそも
鍵を使ってる段階で
薄っすら
気付いてたところはあった
も
変な使命感で
知らん顔した結果の
反抗している現状…で
止め時を
自分では逃していた最中の
CFO秘書のセリフ
来訪者に対応するな
って事は
イコール
人を招き入れるな
って事ではない
との解説に
…確かに…
と
納得した途端
未だ
なり続けてる
自分のスマホも
気になるし…
で
施錠する際
内側で捻る
ロックキーから手を放し
…なんなら
掛けてたロックを
外したうえで
玄関扉から
室内の方へ
移動開始すれば
ドア向こうの来訪者
こちら側の対応の変化
気付いた
ものの
まさか
解除して扉前を離れた
…とは 思っていない様で
まだ
ドア外で
ガチャガチャ
やってるの
ま…そのうち開くでしょう
って
放置し
充電中の端末
手に
掛けてきてる相手
だれだ?と
確認する
も
非通知…
そもそも
この端末内に
登録されていない相手なら
ナンバーしか出ない訳で
新しい生活
これから始まる環境の変化
思えば
この手の電話に
警戒してては
何も始まらない…と
「…もしもし」
あれだけしつこく
鳴らしてた相手が
CFO秘書関連の
教室繋がりの誰かでない訳がない
と
内心
確信もあって
失礼のないトーンで
出れば
「…あ…よかった
今どこに居ます?無事ですか?」
端末の向こうから
聞こえてきた声は
長い道中を共にした
神子田ことカミのようで
「…どうも…
ミコタさんこそ
今どこに居るんです?」
CFO秘書に掴まって
はぐれたままになってた
カミからの通話
に
スマホバッテリーが
どうのこうの言ってただけに
安否確認にこの程度のラグは
理解できる…と
解釈したうえで
誰かの端末借りての通話であること
念頭に
互いに現状
聞き合いつつも
「…もう教室の方に居まして
CFO秘書の方に
送ってもらった格好で…
その辺の連絡
ミコタさんのスマホ使えないなら
知りませんよね?
…ひょっとしてまだ駅だったりしますか?」
通話口の
雑踏感満載な雑音に
まさか…と付け加えつつ
玄関扉が
ようやく開く音に
振り返って視線を向けた
つづく