ブレス if -XXX-Ⅹ vol.32…独り… | ラテックスは妄想中

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暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。




カレ目線

 ひとつ前の話 ⇒ vol.28

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朝の 人の居た気配


使われ 汚れた食器の諸々を


流しで軽く水洗いして 食洗器に並べる




コンロの上の鍋


目が止まれば



“『…鍋はそのままにしておいてね』”



ずっと 耳にしてた声が


記憶の中で オレに語り掛ける




“「顔 洗った?」”



自分の立っている位置から


見える風景に


 記憶にある「男」の姿 


投影され


数時間前のやり取りが 溢れ出る



 あぁ…そうか



記憶を失くした経緯に


 頭を打った…と 記憶している


外的外傷が引き金による 喪失



 だからか?



複雑に 混線を見せる 思考



出来事が オレにとって 


より鮮明だった衝撃程



刷り込まれた感情諸共


浮かび上がる場面は 


 妙に リアル…




オレの脳は


記憶したものが


 そのわずかなもでしかない


手持無沙汰からか




 無駄に何度も繰り返す



出来事の残像




一旦 浮上した回想に


気分まで 翻弄されない様



体を動かすことに 集中する




シンクのごみ 水で流す作業



シャワーにした蛇口


戻す際


流しの縁が腰にあたり



居ない“男”の記憶を相手に


背筋がゾクッと 反応を見せた




 この場所は 苦手だ



そう胸に込み上がる感情





『男』に シンクに押さえ付けられ


身動きできなかった記憶




体が憶えている痛みが



似た刺激を感じただけで



鮮明に引き出す 感情



 落ち着かず 気を急かす



恐怖心 刷り込まれた場所だもんな



『男』の態度が 変わった最初の場所



 以前の関係を 行使され


今に至る すべてが始まった



驚きしかなかった キス


オレの意思 関係なく強行された 


接触



 ああいうのは 嫌だな



 心意性のショック 軽くしようと



体がしつこく 引きだす記憶に


 軽い感想を付け加え



記憶の隅に片付ける



 『彼』は 強引だが 悪人じゃない




『 何かあったら電話して…』



オレを気遣う『男』の態度



 そこに 感じる 優しさ



それを今は 繰り返す





「 今 運転中だから…」




探してたスマホ


所在を確かめる為に掛けた電話


繋がらなかった『男』の代わりに



話した「男」の声が 


 耳の奥 繰り返す

 



 イマ … …ダカラ…



記憶の底


意識が沈めば



独りのはずの空間に


 「声」が 囁く




 ダメ ダ


  イクナ  …マダ ダ





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