全3巻、ようやく読了。
面白かった。
作家って相性が絶対あると思う。
作家そのものより文体かな。
相性のいい人の作品はすーと読めるし、
ニュアンスがビシバシ伝わってくる。
でもダメな人の作品は、なかなか集中できない。
正直言って、この作者の第1印象はどちらかと言うと後者。
最初はちょっとしんどいなあって思いながら読んでた。
でも、なんかよかったなあ。
その理由。
ひとつは、やっぱり曲がりなりにも僕が走っているからかと思う。
物語は高校の陸上部のお話で、スプリンターが中心。
だから、走るといっても随分世界は違うのだけど、
自分の身体をつかって何かを表現する快感だとか、
走る時に大地からエネルギーを受ける感覚だとか、
おそらく去年の僕だったらわからなかっただろうことが沢山あった。
走る快感。そしてそれを共有する仲間との連帯感。
そんなことがとても丁寧に書き綴られていた。
もうひとつは、物語のかなりの部分で、登場人物たちの前に現れる
さまざまな壁とそれを乗り越える(?)様が描かれているのだけど、
その描かれかたや対処しかたが素敵なのかな。
印象に残っている場面のひとつに、主人公たちのチームが出場する
南関東大会のことがある。
決してエリートじゃない主人公たち。でも確実に力をつけて
周りも自分達もかなりの期待をもって南関東大会に臨むのだけど
楽勝と思っていた400mリレー(4継=この間スポーツショップで
陸上部風の女の子たちがこの言葉を使っていた)の予選でつまずく。
かろうじて決勝進出を果たすけど、メンバーの気持ちはズタズタ。
とても自信を持って決勝を闘える状態にはなかった。
その時、コーチの先生は「みんな、言いたいことはいろいろあるだろうけど
(今は)反省は前向きに実際的にやろう」という。「感情的になるな」
「スミマセンとかゴメンナサイとかいうのはなしな」と言ってミーティングを始める。
すると話ながら、みんなじょじょに自信を回復していくって話。
こう書いちゃうと簡単な話だけど、その時々の状態に合わせた
適切なひと言って、日常の中でとても大切なことのように思う。
言ってる言葉や行動の正しさとかの前に、相手の人気持ちをよく考えてる
人にしか言えないひと言って、惹かれるな。
このお話。そういう思いやりの積みかねでなりたっているような感じもある。
人生やり直したいとはあまり思わないし、
やり直してもおそらくまた同じことをやってるような気がよくするど、
学生時代に戻って陸上部に入る。
これはちょっとやってみたいな。