過信と焦り | Peanuts & Crackerjack

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$ピーナッツとクラッカージャック-BS20100624

今日のゲームのポイントはもちろんのこと
ファームから上がってき、先発のマウンドに登った
西口さんの投球にありました。

全盛期の速球、スライダーが既に影をひそめ
勝負どころになればなるほどいとも簡単に
狙い打ちされ、大量失点を喫してしまう。

ただ、大きく何かを変えてくる時間もないままで
短期間でローテーションに戻ってくる西口さんは

果たしてファームで何を修正し
どんな答えを持ってマウンドに上がったのか。

答えは速球の球速そしてスピンのアップ、
それによるスライダーとの更なる緩急差という

まさに基本に帰ることにあったようです。

速球は最高146km/hを計測し
140km/hを越えてくることも多く見られました。

そしてもうひとつは
ここまで緩急をつけるべく使ってきた
カーヴ、チェンジアップ等はほとんど使うことなく

120km/h台のいつもの縦に落ちるスライダーと
130km/h台のカッター気味に横に滑るスライダー、

この2種類のスライダーにフォークボールで
緩急を含めた配球を組み立てていく、
そんな戦術だったように思います。

ファームでの調整によって
速球の球速をあげることに成功し

とにかく速球とスライダーで勝負する、
そんなこれまで西口さんが長年にわたり積み上げてきた
基本の投球に戻ろうという意識が感じられる、
そんな今日の西口さんの投球でした。

西口さんがキャリアの集大成を見据え
どうにかこうにか1勝1勝を積み重ねていくためには

今から大きな変革は時間もかかりすぎることですし
この基本に戻る取り組みに賭けてみることが

ギリギリの選択肢だったのだろうと推測します。

しかしそんな素晴らしい速球が戻ってきた今日の登板には
勝ち星を順調に重ねてこれていない投手の嵌まる
大きな落とし穴が待ち受けていました。

とはいってもそれは今までの登板でもまったく同じように
何度も痛い目をみてきたものであったことも確か。

それはランナーを得点圏に背負った勝負どころで
時間を、球数を、打者人数をかけずに

ひたすら同じようにストライクを、アウトを欲しがり
慎重に丁寧に制球し粘ることができずに

いとも“簡単に”あっさりと痛打されてしまうこと。

この3連戦では岸さんも、野上さんも
ランナーを数多く背負いながらも球数をかけて

勝負どころこそ慎重に制球し
大量失点を防いできていました。

ところが、今日の西口さんは
その投球に対しある程度球速もスピンも戻っている、
そんな自信のもと速球とスライダーにこだわり

勝負どころでも同じように投げ込んだのですが
残念ながらやはり制球甘く同じコンビネーションでは
痛打され大量失点を喫するという結果に。

そこにはこの球なら勝負どころでも同じように
慎重に制球せずとも打ち取れるだろうという過信と

そこからくる、だったら早く打ちとってアウトを重ね
この緊迫の場面から早く逃れたいという焦りとが

手に取るように見て取れました。

2回の高須選手に打たれた2ランHRは
0アウトでランナーを1塁において
スライダーの抜けた失投を打たれたものですが

3回の2アウトランナー2・3塁の場面で
再び高須選手を迎えたとき

失投さえなければ今の自分の持つ
速球とスライダーとで“ある程度簡単に”抑えられる、
そんな過信は、焦りはなかっただろうか。

次の打者が平石選手ということもアタマに入れ
もっともっと慎重に制球する“粘り”が
この場面ではぜひとも欲しかったところ。

そして3回までに5失点を喫した後
はっきりと西口さん(正確にはバッテリー)と
相手イーグルス攻撃陣の選手たちとの
今の力関係を象徴的にあらわしてくれたのが

4回裏、1アウトランナー2塁で
1ボール2ストライクから嶋選手に対し投じた
内角真ん中へのチェンジアップ。

勝負どころの場面で今日は大丈夫だと思っていた
速球とスライダーの配球もうまくいかず大量失点、

ここも勝負どころのストライクが欲しい場面で
当初のプラン通りではない、意表をついての
“かわす”配球をしたことは

その投球後の嶋選手の反応が動揺もなく
それはないだろう、という“苦笑い”だけだっただけに

自ら今日の投球プランを失敗だったと認め
今は圧倒的に打者優位だと認める、
そんな象徴的な1球ではなかったでしょうか。

そんな1球を大量失点後の勝負どころで投じても
これから西口さんが先発投手としてマウンドに登り
長いイニングを消化していくことへの助けにはならない。

もちろんもう失点はできない場面であることは
じゅうぶんにわかりますが

だからといって今度は一転自分を疑い出しての
かわす投球をするのではなく

こういう場面だからこそ速球とスライダーを
制球に最大限気を配りながら投じてほしかった。

そう、今の西口さんに最も必要なのは
勝負どころでの制球、粘りなのです。

四球を出してもいい、どれだけランナーをためてもいい、
とにかく球数をかけて時間をかけて打者を“かけ”て
とにかく大量失点を防いでいく“素人の部”の投球を。

そしてそのためにこそファームで修正してきた
速球とスライダーの球速アップ、スピンアップを
最大限うまく利用すべきなのですから。

勝ちを焦り、自分の持ち球を過信し痛打される
まだまだ経験の浅い若手のような投球ではなく

これまで何度となく修羅場をくぐってきた
そんなベテランにふさわしい“粘り”の投球を

今後はぜひ魅せてほしいですね。


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