苦心の投球とスライダー | Peanuts & Crackerjack

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$ピーナッツとクラッカージャック-BS20100622

岸さんの投球といえば
それぞれが素晴らしい制球と一級品のスピンを持つ
速球、カーヴ、チェンジアップの3つ。

その緩急という奥行きを持った3つの球種を
制球よく配し、ここまで素晴らしい結果を築いてきましたが

どうやらそろそろその対処法を
相手チームが見つけてくることもちらほらと
みかけるようになってきましたね。

もちろん、そこには前提として
岸さんの体調、疲労などに起因する
投球のスピンの減少や制球のばらつきがあるのは確かです。

3つの球種だけであっても
その本来のスピンと制球があれば

それこそ今シーズン何度も魅せてくれているように
ほとんどノーヒットに近い投球が可能なのですが

問題はそれがどうも思い通りにならないゲーム。

もちろん、どんなゲームでも登板から降板まで
一貫して素晴らしい投球のイニング続きということはなく

立ち上がりや終盤の疲労が出てきたときなど、
思い通りにならない投球となることは必ずある。

そんなときに、相手打者はどうやって
岸さんを攻略していくか。

岸さんに対し4月13日に8回10安打3点、
5月4日に61/3回10安打4点、そして今日6回11安打3点と


岸さんが2勝0敗ながらいずれも2ケタ安打を浴びている
イーグルス打線の岸さん攻略法は嶋選手曰く

-緩急については状況に応じて的を絞って対応していく-

ということにあるそう。

つまりは3つしか球種がないのだから、いや
緩急、という面では1/3でもなく
速球を待っていれば限りなく1/2に近くなり

打席で1球もその球種を使わないという配球は
なかなか困難なことですから

各選手が徹底してその打席打席で状況に応じ
自分の絞り、待つ球種を打っていくことが
非常に効果的だ、ということ。

今日もイーグルスの各打者は
基本的に緩、それもカーヴに
的を絞ってくることが多かったようですね。

球種別の打撃結果を見てみると

速球16グラウンドアウト3、フライアウト4、三振2、
シングル5、二塁打1、HR1

カーヴ7フライアウト2、三振1、シングル4

チェンジアップ2フライアウト2

スライダー2三振2


速球とカーヴに偏る結果でしたが

速球は絞ってきっちりコンタクトしたものと
どうも緩急にうまくタイミングを外されたもの、
この2つに大きくわかれましたが

カーヴは三振でさえも外角へかなり外れたものを
振りに来て空振り三振となったもので
その他アウトになったものも含め
いずれも絞ってきっちりコンタクトしてきたもの。

こうして勝負球にカーヴを使いづらくなった中で

それでも右打者の内角にチェンジアップを投げてみたり
カーヴを見せ球に使ってみたり
速球をどんどんと内角に突っ込んでみたりと

ほんとうに様々な苦心の配球をしながら
6回を失点・自責点ともに3で切り抜けてきました。

そんな中で今日、もうひとつ工夫の跡が見えたのは
これまでほとんどといっていいほど使わなくなっていた
スライダーを使いだし、最終的には勝負球にもしたこと。

今日の岸さんの投球数は106で
うちスライダーは9球だけと10%にも満たないのですが

それでもこれまでのゲームでは使っても数球だけ、
それも勝負球に選ぶということはまずなかっただけに

それに比べれば今日はかなりスライダーが
投球に占めるウエイトが増えたということは言えそうです。

それも5回までは3回に嶋選手に1球、
4回に高須選手、草野選手、渡辺選手にそれぞれ1球ずつ、
5回に中村選手に1球と計5球、それも
カウントを稼ぐ球として使ってきたのが

6回に入ると高須選手に3球そして渡辺選手に1球、
それぞれ勝負球として使い空振り三振、見逃し三振をとりました。


特に今日2安打とキッチリ狙われていた高須選手から
第3打席にスライダーでまったく合わない空振り三振は
三振後の高須選手の反応がエッ、というものだっただけに
貴重なヒントになり得るかもしれませんね。

もちろん岸さんにとってスライダーは今や
速球、カーヴ、チェンジアップの3つに比べ
そこまで自信を持って打者に投げ込める球ではなく

どちらかといえば打者の目先を変えてみたり
カウントを稼ぐ球としての位置づけなのでしょうが

もし相手打者たちが上述の3つの球種のいずれかに絞り
岸さん攻略を目指してくるならば

スライダーをもう少し使っていくのも
1つの対処法かもしれませんね。

それはスライダーを勝負球に使い続けるということではなく
スライダーを相手打者に“意識”させるだけ投げることで
打者に狙いを絞りづらくさせていき
他の3つの球種を活かすという意味において、です。

もちろん勝負どころにおいては
3つの球種を制球よく駆使するだけで

相手攻撃陣に大量得点を与えない投球は
じゅうぶん可能であることは確かでしょう。

ただ、これだけヒットが増え
毎回のようにランナーを塁上に賑わせると

なかなか順調にイニングを重ねていくことが難しくなり
また1つの制球・配球ミスが命取りになることも増えてくる。

だからこそ、勝負どころになる前に
ところどころでもっとスライダーを交えていくことも
選択としてアリではないでしょうか。

どうも行き詰ったときの“逃げ”としてではなく
主役である3つの球種をさらに活かすための
脇役としてのスライダーの積極的活用。

オプション、引き出しとして
これからますます対策を練られるだろう岸さんの
ひとつの武器として活用するのも面白いかもしれませんね。


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