今日は野上さんが今シーズン初めて
ライオンズの先発マウンドを務めました。
今シーズンのライオンズ先発投手陣の
ローテーションはこれまでのところ
ワクさん、岸さん、帆足さん、一久さん、
そしてミンチェさんの5人まで
安定してそのしごとをこなし続けており
残りの1枠を誰が奪い取り頭角を現していき
将来のライオンズの軸となる中心選手となるか、
その競争がこれからのひとつの見どころです。
もちろん、この枠で頭角を現すのは
1人限定、それでじゅうぶんというわけではなく
近い将来特にベテラン陣を中心に故障があったり
安定して結果を残せず苦しみだしたりすれば
その枠を奪うことをも視野に入れつつ
失敗と成功の経験をじゅうぶんに積ませ
そのなかで生き残り安定して結果を残せるまで
複数の若手をどんどんと起用し競争させていきたいところ。
それは、攻撃陣も今は同じ。
ヤスさん、クリさん、ナカジさんの3人は
しっかり軸として固定ですが
今は軸となる4番の剛也さんが故障を抱え
また交流戦でDHが使えないゲームでは
ブラウンさんも守備面の不安もあり思い切って固定せず
相手チームの先発投手が右腕か左腕かによって
ずらっと左打者を、右打者を並べるラインアップを組み
相手先発投手が降板した終盤にはどんどんと
残りの代打陣を起用してくる戦術を採用していますね。
1つは打“線”としての繋がりを模索し
こういった多くの選手に“平等に”まんべんなく機会を与え
起用しながら失敗と成功を繰り返すその試行錯誤の中で
何か1つのきっかけをつかみ結果を残してくる選手を
複数発掘していき、最終的にはそんな選手たちを残し
ラインアップを組んでいきたいという狙い、
そしてもう1つはこのサバイバルの中で頭角を現し
将来ライオンズ攻撃陣の軸を担う選手を発掘し
ペナントレースの首位争いという重要なゲームの中で
起用し続け成功と失敗の経験をじゅうぶんに積ませながら
チームとして勝利を重ねていく中で育成していく狙い、
こんな現状の打破とそして近い将来への一歩という
2つの狙いがあるのだろうと思います。
何度も言いますように
今、ライオンズは軸たる中心選手たちが
若干そのパフォーマンスを落としているものの
これまでそういった選手たちのちからで
安定して順調に勝利を重ねることができていて
これからのペナントレース、とくに重要な終盤には必ず
彼らが期待に応えるしごとをこなしてくれる、という
その中で醸成された信頼感は根強く残っています。
そんな中だからこそこうやって積極的に動き
試行錯誤をどんどん繰り返すことは
その失敗はそれほどゲームの敗戦につながらない一方
逆にその成功がゲームの勝利につながることが多く
うまくあてはまっていくことも多くなるもの。
うまくいってないときにはまったく逆で
どんなに積極的に動き試行錯誤を繰り返しても
その成功はそれほどゲームの勝利につながらない一方
逆にその失敗がゲームの敗戦につながることが多く
どうしてもうまくあてはまっていかないことが多い。
今日のゲームでも確率から言えば
その試行錯誤はお世辞にもうまくいったとはいえないもの。
まずは攻撃陣から見ていきますと
ドラゴンズ先発、左腕の川井投手に対し
4番クリさんを除きあとはすべて右打者という
徹底したラインアップを組んできたライオンズ攻撃陣。
しかしその川井投手の投球が
ちょうど帆足さんの原点を想起させるかのような
徹底した右打者への内角低めへ食い込む
直球とスライダーのコンビネーションの配球で
7回まで23度の勝負のうちグラウンドボールは
グラウンドアウト10(うち三塁手が6つ捌く)、
そしてグラウンドシングル2と12個、
エアボールがフライアウト4、ライナーアウト1、
フライシングル1の6個だけですから
グラウンドボール比率はちょうど2/3と非常に高く
失点・自責点0もうなずける素晴らしいものでした。
しかし8回、川井投手が降板し
セットアップ・マンの右腕、浅尾選手が登板すると
そこから4人連続で左打者起用の代打攻勢。
これもまた3人は結果を出せずに失敗でしたが
上本さんがみごと失投をとらえソロHRを放ちました。
9回にはクローザー、左腕岩瀬投手に対し
残っていた右打者、剛也さんが起用され
みごとシングルを放って結果を残すと共に
8回に代打で起用されていた義人さんが
これも勝ち越し打点つきのシングルを放つ活躍。
最後は大島さんが併殺打となったことも
左腕相手の右打者起用が功を奏しなかったことも
すべての多くの失敗を補って余りある
そんな貴重な勝利となりました。
もちろん、そこには9回リードオフの場面で
積極的に初球を狙いシングルで出塁した
ヤスさんのすばらしい“しごと”と
今日クリーンアップに名を連ねた高山さんの
その後の1アウト満塁でこれも積極的に初球を狙い
2点を奪った同点シングルの“しごと”があったから、
これも忘れずに付け加えておくべきでしょう。
そして守備陣に目を転じますと
先発の指名をうけた野上さんが
3回までに3失点ととらえられ、
その起用がどうやらうまくいきそうにないと見ると
早めに動き、4回から今度は
4月29日のマリーンズ戦で先発の機会を得ながら
3回自責点4で降板しその後野上さんのリリーフを受けた
田中さんをマウンドに上げるという試みに出ます。
ここから後は首脳陣にとってもいわば賭け、
賽は投げられたのですからとにかく起用する選手たちを信じ
どんどんと今いる選手たちを積極的に起用していくのみ。
そんな中で田中さんが2イニングを無安打無四球に、
そして今シーズン初登板、キャリアで見ても
昨年最終戦に登板して以来2度目の登板となる武隈さんが
これも2イニングを1安打2三振で0点の素晴らしい投球と
起用に応える素晴らしい投球を魅せ
この2つの賭けは成功と出ました。
そして8回にも大沼さんが無安打無四球で
無失点とリリーフを成功させると
攻撃陣が逆転に成功した9回裏には
こちらはチームの軸たる中心選手たるクローザー、
シコースキーさんが1点のリードを守り切り
最後のアウトを奪ってドアをキッチリ閉め
20個目のセーヴを奪い取るとともに
その“しごと”をきっちりこなしてきました。
もちろん田中さんにしても武隈さんにしても
まだまだ信頼されるチームの軸たる中心選手として
活躍するようになるまでには遠く
これからも多くの失敗と、そして今日のような成功を重ね
他の同じような脇役選手たちのパフォーマンスとの
起用戦術によって編みあげられるコンビネーションと
そして中心選手たちの安定したパフォーマンスと、
そんな多くのちからを借りながら経験を積み
勝利を積み重ねていく中で成長していく必要があります。
ですが、ライオンズは今、投手、野手問わず
若く経験の浅い脇役選手たちが
近い将来の中心選手を目指して経験を重ね、成長する
これ以上ない素晴らしい機会が目の前にあるとき。
もちろんそれは熾烈なサバイバルでもあることは
言うまでもないことではありますが
その中で1つきっかけをつかみ、頭角を現し
結果を残しながらその得難い“勝負の場”を
更に継続して与えられ経験を積んで成長する
第一歩としたいもの。
去年までずっと起用され続けてきたGGさんも
今年これまで安定して起用され続けてきた高山さんも
今はそういった立場に置かれています。
こうやって大胆な試行錯誤が続く中で
少しずつではありますがそれが実を結びはじめ
ライオンズの勝利に貢献しつつあります。
まだまだ安定して、信頼して、計算して、とまでは
かなりの紆余曲折と我慢とが必要でしょうが
いまはそんな萌芽を発掘し、その活躍に応じて
機会をどんどんと積極的に与える時期。
そんなサバイバルの中から力強く抜け出し
一流選手への第一歩を踏み出すのはどの選手か。
中心選手たちの安定した働きと共に
そういった選手の台頭をも楽しみに
これからも観戦させていただきたいと思います。