順調な試練 | Peanuts & Crackerjack

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$ピーナッツとクラッカージャック-BS20100430

今日のゲームはほんとうに素晴らしいゲームでした。

ライオンズ先発、ワクさんの投球は
まるでポストシーズンの必勝を期す1戦のようでした。

9回を投げ切って打者実に42人に対し投球数151、
被安打8(うち被本塁打1)、与四球7(うち敬遠四球2)ながらも
奪三振6で自責点・失点ともに2。

1回裏、1アウト・ランナー2塁。
2回裏、1アウト・ランナー3塁。
3回裏、1アウト・ランナー満塁。
4回裏、2アウト・ランナー満塁。
6回裏、1アウト・ランナー2塁。
6回裏、2アウト・ランナー3塁。
8回裏、1アウト・ランナー2塁。
9回裏、2アウト・ランナー満塁。


ランナーを出さなかったイニングは5・7回の2度
(※ただし5回はソロHRを被弾)、

他の回はファイターズの徹底した犠牲バント戦術もあり
常にランナーを得点圏に背負いながらの投球で

そのうち3塁にランナーを背負うことも実に5度、
満塁のランナーを背負うことも3度。

今シーズンのワクさんは
昨年勝負球にしていた直球が安定していないようで

左打者の内角をつく直球が
真ん中近辺へシュート回転していくことが多く

それを防ごうとどうしても外角中心の攻めとなり
特に対戦チームの軸となる左の強打者、巧打者には
どうしてもギリギリを狙いにいって四球となったり
痛打されたりと苦戦していますね。

それでも右打者に対しては逆に威力を増す
内角へのシュートを武器に素晴らしい勝負を展開、

9回の2アウト・ランナー満塁の場面での
二岡選手に投じた初球、通算147球目の
外角への速球は今日1番の時速146kmを計測し
その軌道も散々悩んできたシュート回転の影すら見えない
ほんとうに“美しい”と表現するしかないもの。

わたしはこれまでワクさんに対して何度か
“野球を楽しむ姿を表現してほしい”と述べてきましたが

考えてみればワクさんもまだ24歳、
野球を本当に楽しむ境地に至ることよりも

今は自分の思うように、頑固に
とことんまで自分の“エゴ”を貫いていく時期ですかね。

そうやってとことんまで
目の前の勝利にこだわり続けて、更にこだわり続けて
その中で多くの成功と挫折を経験し繰り返していく中で

少しずつ自分自身でいろいろなことを体感し
そこからいろいろなことを学んでいき
“エゴ”の外形をうまく“成熟”へと進化させてほしい、

そうやって10数年後にでも
ワクさんがマウンドで野球を楽しむ姿を
活き活きと“魅せる”ようになってくれるといいかな。

いずれにせよ、あとはワクさんが自ら描き
かき分け突き進み切り開いていく道なき道。

今年も2008年と同じように
ワクさんにとっては試練の年となるかもしれませんが

その“エゴ”さえ畳まなければ
まず間違いなく乗り越えられるはず。

どうこの“順調な試練”を乗り越えてくるか。
楽しみにしながら気長に待っていますね。

さて、続いてはライオンズ攻撃陣について。

もちろん今日のゲームでも
今シーズンここまででも

軸となる中心選手たちは失敗も多くありながらも
全体的にきっちりとそのしごとをこなしてきています。

今日も素晴らしい投球を魅せる
ファイターズ木田投手に対し

6回にナカジさんが放った右翼席への
ソロHRはほんとうに素晴らしかった。

チームの骨格としては今のところ
これでじゅうぶんなのであって

だからこそ現在概ね思うように
勝利を積み重ね続けているのだと思いますが

そんな概ね“順調な”今だからこそ
今はまだ“脇役”の位置にある若手たちも

強烈にその“エゴ”を表現して
魅せ場をすべてもっていく独り舞台にしてほしい。

打線は水ものといいますが

それは攻撃陣を“線”と見立てた場合の
いわゆる“繋がり”や“勢い”としての、
しかも数年単位での長期的視点において、です。

2008年ライオンズ、2009年ファイターズ、
そしておそらく2010年マリーンズと

1シーズンを通して上位打線・下位打線の区別なく
爆発的な破壊力を持つ“打線”という現象は
そこここに見られますが

そういった“噛みあわせ”は例外なく
長期的に安定して得点を重ね続け、それを期待し
計算に入れて勝利をもぎ取っていくためには
あまりにも不安定であることも確か。

だからこそ打順があって、役割があって
いわゆる軸たる中心選手と脇役選手は
はっきり峻別されるべきもの。

それでも、ファイターズの首脳陣のように
下位打線は例外なく徹底的に1アウトからでも
ランナーが既に得点圏の2塁にいても

犠牲バントでランナーを進塁させるという
ある種とても現実に即していて“効率的”な戦術を

ライオンズ首脳陣が若手に対しとらないのも

彼らにここぞの厳しいけれども重要な局面での
“勝敗を決する最後のプレイ”を託せる、
そんな選手に大きく成長していってほしいからこそ。

シーズン終盤や、もしくはプレイオフの
必勝を期するここぞの大一番のゲームで

少ないチャンスを一振りで得点にする必要があるとき
そんなに都合よくクリーンアップにまわらずに

まだまだ脇役の自分の目の前に
そんな大きなチャンスの打席が巡ってくるかもしれない。

そんなときに余計な不安をアタマから一掃できるだけの
これまでの経験やトレーニングを含めた“準備”があり
じゅうぶんな“自信”を持って迷い気負うことなく

集中してその一振りに懸けることができるかどうか。

今はまだチームの勝敗を背負って立つほどの
責任も重圧も感じる権利もそして義務もない立場ですが

だからといって唯一そんな責任が降りかかる可能性のある
ディフェンス面でのエラーや犠牲バント失敗などにだけ
大きく集中力を割いてあとは可もなく不可もなくでは

いつの間にか“順調な試練”が“逆境での試練”となり
あれよあれよという間に活躍の場をなくしていくでしょう。

ここ最近、ワクさんの投げるゲームは
ある意味ライオンズ攻撃陣にとっては
素晴らしい“順調な試練”の場といえるでしょう。

ワクさんはいくらそのボールが本調子ではなくとも
修正して、粘って、球数を投げて、
ギリギリのところで踏ん張ってマウンドに登り続けます。

これだけ“いつも”エースが
苦しみながら投げ続けている姿が続くと

いわゆる“エースのために”という勢いではなく
逆に“失敗できない”という重苦しさが

ライオンズ攻撃陣ひとりひとりのアタマの中を
大きく大きく占領することとなります。

極端なことを言えば
下位打線にいるまだまだ“脇役”の選手にとっては

それだけ本調子でないのならば
早めに大量失点で降板してもらって

その後相手の投手もそれほど
極限の集中力で向かってこない中

気楽に打席を重ねながらまあまあの結果を残して

逆に相手の投手が本調子でない時に
“打線”という集団の力に頼って、“勢い”に乗って
どんどんと結果を残していくことが

“楽”なのかもしれません。

ただし、そんな“打線”の中で活躍しても
それは自分のキャリアの中で継続せずに

“一流”の選手たちの仲間入りをすることはできません。

もちろん、今はゲームの勝敗を語る上で
彼ら“脇役選手たち”の働きを
その要因にもってくることはありえないでしょう。

ただし、だからといって彼ら自身が
いつまでも自ら考え、判断し行動することなく

自分を囲む“流れ”にその身を委ねていたのでは
いつまでたってもこの一流選手への試練を
乗り越えられずに終わるでしょう。

長い長いシーズンのまだまだ序盤ではありますが
そんな今、この目の前の勝負の一瞬一瞬を

重要なプレイオフのゲームと同じように
ひとつひとつ最大限集中し、
今自分に何ができるかを厳しく自分に問い
工夫を凝らして悔いなく積み重ねていっているか。

これは周りがどうこう言ったとしても
首脳陣がどう指導しようとも

すべては本人次第なのです。

チームが“勢い”に頼らずとも
安定した軸たる中心選手のちからで
順調に勝ち星を積み重ねている今だからこそ

強烈にエゴを前面に出して失敗をものともせず
“順調な試練”をゴリゴリと突き破ってほしい。

近い将来、自分が
“勝敗を決する最後のプレイ”を託され
みごとにそれに応えることのできる、

そんな選手になっているだろうか。

そしてそんな選手になるためには
今自分のすべきことはいったい何なのだろうか。

今一度、自分自身に問いかけて
勝負の一瞬一瞬に挑んでほしいと思います。


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