運か守備力か戦術か | Peanuts & Crackerjack

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今朝、とても興味をそそられる記事に出会いました。

もちろんわたしはファイターズについては
ライオンズと対戦する時しか観ませんし

ファイターズに関して何かデータを収集し
自分の仮説を客観的にテストするため
その蓄積を基に分析してみようと思ったことも
残念ながらまったくありません。

ただしライオンズと同じように
方向性や考え方は大きく異なることもあるものの

一貫した確固たる長期戦略があり、その戦略のもと
一貫した戦術をゲームの場で徹底して披露してくる、

非常に興味深いチームであるのも確か。

上述の記事では
今年のファイターズのここまでの不振を
BABIPという指標を使って分析されていますが

わたしはその記事の指摘を参考に
自分なりに何らかの“仮説”くらいは立ててみたいと

そのBABIPという指標をアタマの片隅に置きながら
今日のゲームを楽しみ、観戦しておりました。

まず、今日のゲームではとても都合のいいことに
ファイターズ先発のダルビッシュ投手の投球が

三振を数多く取るというものではなく
ボールを微妙に動かしてバットの芯を外し
打たせて取るものでした。

今日のゲームでのダルビッシュ投手の投球を見ると

9回を投げて打者36人に対し投球数150、
被安打6、与四球4、奪三振4で失点・自責点ともに0。


BABIPはインフィールドにとんだ打球を見ますから
いつも帆足さんの投球を分析するときに使う
エアボール・グラウンドボール比率を見てみます。

全36回の打者との勝負のうち与四球4、奪三振4、犠打1を除く
計27度の勝負において

グラウンドアウト15(うち併殺打1)、グラウンドシングル4と
グラウンドボールは計19個と7割を若干超えてきています。

残り8個の打球についても外野への飛球となったのは

内野へのラインアウト1、ファールフライ1を除き
フライアウト4とフライシングル1、ライナーシングル1の
計6個と2割強のみ。


対して今日はライオンズ先発ミンチェさんの投球ではなく
ファイターズ攻撃陣の打撃結果を見るため

ライオンズ投手陣 vs ファイターズ攻撃陣の結果を見てみます。

全36回の打者との勝負のうち与四球1、奪三振5、犠打2を除く
計28度の勝負において

グラウンドアウト10、グラウンドシングル8と
グラウンドボールは計18個で6割5分ほど。

残りの10個の打球についてですが
フライ二塁打2、フライシングル1、ライナーシングル1、
外野へのフライアウト6(うち犠牲フライ1、ファールフライ1)と

すべて外野への飛球となりその割合は3割5分ほど。


こう見てみると、グラウンドボール数も
打球全体に対するグラウンドボール比率も
実はほとんど変わらない。

そもそも帆足さんがグラウンドボール・ピッチャーとして
その戦術のもと順調に結果を残してこれているのは

BABIPは“運”か“守備力”かという議論の中で

少なくともエアボールよりもグラウンドボールのほうが
“運”の要素が少なく、長打も確率がぐっと下がり

安定して野手によって処理され
安定してアウトになる確率が高いから。

ところが今日のゲームでは
ライオンズ攻撃陣の放ったグラウンドボール19のうち
安打はわずかにシングル4と2割1分程度なのに対し

ファイターズ攻撃陣の放ったグラウンドボール18のうち
安打はシングル8と実に4割5分近くになること。

特に今日のファイターズの奪った5得点のうち
犠牲フライによる1点を除けば他の4点はすべて

グラウンドシングルによるもの。

さて、ここでやはり疑問提起となるのが

①これは“運”でしかなくたまたまだったのか

②ライオンズ内野守備陣とファイターズ内野守備陣の
守備力の差が如実に反映される結果なのか

③ファイターズ攻撃陣の徹底した
ランナーを得点圏へ進める戦術により
ライオンズ内野守備陣の守備範囲を限定した結果なのか


ということ。

ライオンズ攻撃陣は3回のナカジさんの併殺打でも
7回の上本さんの一塁手へのライナーでも

決して悪くない打球が野手の正面を突いたりするのに対し

ファイターズ攻撃陣は上述しましたように
特に下位打線のそれほど鋭いともいえない
グラウンドボールが計ったように数多く
三遊間、二遊間、一二塁間を抜けていき

それもグラウンドボールだけに
外野手が捕球するまでに時間がかかり

2塁ランナーがこれも数多く本塁へと生還しました。

守備力をきっちり客観的に計測する指標について
わたしはまだまだ理解が浅すぎるため

印象論や受け売りの知識で
拙速に結論を導くことは避けたいと思いますが

もしファイターズの堅守・俊足野手の優先起用や
更には徹底したランナーを先の塁へと進塁させる
グラウンドボール進塁打、犠牲バント戦術が

ランナーを本塁へ還し得点を奪う時にも
相手守備陣の守備範囲をランナーによって限定させ

打球の強さや鋭さというものを犠牲にしてでも
打球の方向というものを最優先とし

グラウンドボールをその "hole" を狙って
まずは徹底して“転がす”戦術へと

1つの大きなチームの骨格となる戦略の一環として
つながって完結しているとみるならば

昨年のファイターズの得点能力は
あながち運“だけ”とは言いづらいかもしれません。

いずれにせよ、ライオンズとはまた大きく異なった
とても興味深いチームであることは確かです。

今後ライオンズがファイターズと対戦する際には
この仮説がどこまで的を射たものなのか、

そして個人的にはこういったファイターズの
根幹となる戦略からはどうしても距離があると感じる

中田翔選手を如何にして育成していくのか、

注目しながら観戦してみたいと思います。

そしてもうひとつ、近い将来
守備力を評価する指標について理解を深め

自分なりにきっちりとライオンズ守備陣を
客観的に分析できるようになれればと思います。


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