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クローザーの価値は、もちろん
セーヴ数だけで量ることはできません。

シーズンも終了したところで、改めてリッキーさんを中心に
“印象”や“前知識”をアタマから追い出して
冷静に1から今シーズンを振り返ってみたいと思います。

まずは、こんなデータから。

$ピーナッツとクラッカージャック-CL2009data1

G : games(登板数)、SVO : save opportunities(セーヴ機会数)、
SV : saves(セーヴ数)、BS : blown saves(セーヴ失敗数)、% :セーヴ成功率。
※なお、イーグルスのクローザーはシーズン通して変動していましたので
ここでは比較対象から省略いたします。


実は小野寺さんがセーヴ機会に登板し失敗したのはわずかに3回。
武田久投手でも実は今シーズン、5回失敗している。

リッキーさんのセーヴ機会数が19回ですから
単純に倍掛けすればセーヴ機会38回に対し
成功32回、失敗6回となり他のクローザーと比較しても
何ら遜色ない成績となる成功率なのです。

これは実はバファローズの加藤大輔投手も同じことが言えます。

だいたいどのクローザーも登板数はだいたい同じです。
しかしリッキーさんや加藤投手はその登板数のうち
セーヴ機会での登板が圧倒的に少ない。

では、ここで疑問提起を。

リッキーさんや加藤投手は実はクローザーとして
そのしごとをじゅうぶんキチンとこなしており、
問題はセーヴ機会に彼らを登板させることのできない
そのチーム状況にあるのか?

もしそうだとすると、リッキーさんに信頼を置かずに
“印象的な”失敗を目の当たりにした首脳陣が
彼を登録抹消にしたという判断は少々早計だったのか?

ということで、次にとりあげるデータは
“結果”と共に首脳陣がその選手を“信頼”するために
とても重要な判断材料たる登板“内容”です。

$ピーナッツとクラッカージャック-CL2009data2

※データはこちらのサイトを参考にさせていただきました。
なお、ERA : 防御率、WHIP : 1イニングあたりに背負う平均のランナー数、
SLG : 被長打率、OBA : 被出塁率、AVG : 被打率、HR/9 : 9イニングあたりHR数、
K/9 : 9イニングあたり三振数、BB/9 : 9イニングあたり四死球数、
K/BB : 1つ四死球を与える間に平均いくつ三振をとることができるか、を示します。


う~ん、やはり言い訳の余地のないくらい悪い数字ですね。
特筆すべきはやっぱり、なんでしょうが四死球率の高さ。

馬原投手と比較してみると被打率(AVG)は低いのにもかかわらず
被出塁率(OBA)では逆転を許している。

更に、それでもWHIPがほぼ同じということも勘案すれば
それだけ犠打等でアウト・カウントを稼いでいるということ。
(※犠打などはSLG、OBA、AVGの集計の対象外です)

つまりイニングの先頭打者を出し
犠打・進塁打・犠飛などで(三振奪取率も低いのですから)
そのランナーを効率よく得点に結びつけられる、
そんなケースが多いと容易に想像できますね。

それは馬原投手と比べて2倍近い防御率が
よく物語ってくれていますね。

はい、ここでは至極当然のこととはいえ印象通り、
観戦したままの内容がそのまま数字に明確に反映されましたね。

それでは、今シーズンとおしてこれだけ内容が悪く
首脳陣の信頼を得ることができなかったリッキーさんですが

それならセーヴ成功率ももっと落ち込んでもいいはず。
しかし結果としてセーヴ成功率はまったく悪くはない。

だとすれば、そのギャップはいったい何故うまれて
リッキーさんは来シーズンに向けていったい何を
その改善点のポイントとしてとらえる必要があるのでしょうか。

ということで、今度は“平均化”されたデータではなく
今シーズンのリッキーさんの登板内容の詳細を見てみましょう。

※表をクリックして拡大してご覧ください。
$ピーナッツとクラッカージャック-onodera2009
なお、同点の場面でマウンドに上がり失点してしまったケースを
BH(blown hold、ホールド失敗)として表記しております。

まず着目したいのはクローザーのポジションに座っていた
4月19日~8月16日の39回の登板のうち

7割近くを占める(71%)28回の登板機会では
自責点・失点ともに0であるということ。

そして残りの11回の登板のうち
失点1でセーヴ成功の5月14日のゲームを除外した
計10度の登板についてみてみると

実は目をひくのは四死球との関連性ではなく
長打を浴びる確率、“被塁打”との関連性。

結局はやっぱり、制球なのでしょうね。
制球が定まらず、苦しむことが多く
頻繁に得点圏にランナーを背負ってしまう。

それでも能力で何とか抑え切れることが多いのは
流石クローザーの素質を持つ投手、なのですが

そんなに数は多くないものの状態の悪いときには
その上に長打を浴びてどうしようもなく大量失点。

良いときは素晴らしい結果を残すことができるが
悪いときは歯止めが効かずずるずる大量失点、

これでは安定感がなくチームの軸とはなりえず
当然首脳陣の信頼も得ることができませんよね。

ということで結論から言うと

リッキーさんがこれからもクローザーを目指すなら
まずは不調のときにどうやって“大量”失点を防ぐか、
これに最大限集中すべきだということ。

そうすれば自然と防御率も向上し安定感も増し
首脳陣からの信頼も大きくなるでしょう。

もちろんそのためには制球の向上が
大きな命題であり理想的な原因療法なのですが

それは時間をかけ試行錯誤が必要であって
スグに期待通り劇的に向上させることは困難。

だとすれば、それと並行してどんな対症療法を
リッキーさんは自分に施していくべきか。

それは状況に左右されずどんな時も自分の
“いつもの”能力と集中力を発揮することが求められる
チームの軸の選手であれば皆通る道。

自分が制球に難を抱えるのならば
それをまずはしっかり受け入れること。

日によっては、それが更に悪化することもある。

だとすれば、そんな追い詰められたときこそ
四球もダメ、甘い球で打たれてもダメ、
あれもダメこれもダメと自分で自分を追い詰め
自滅してあれよあれよと大量失点の悪循環でなく

自分の中に明確な優先順位をもち
最少失点で切り抜けるという確固たる明確な目標のもと
自分が最低限これだけは信じ貫くということを
それでも変わらず冷静に淡々と執行するだけ。

それは、これまで見てきたとおり
四球を出さないことなどではないのです。

むしろ今日の自分の制球のいつも以上の悪さに
四球を恐れて自ら能力と集中力を削ぎ

“ボールを置きにいって”長打を浴び
大量失点となることこそまず第一に防ぐべき。

2009年8月16日、札幌ドーム。
9回裏、3点リードの1アウト2・3塁の場面、

ファイターズの主軸、稲葉選手を迎え
フル・カウントからの9球目のストレート。

忘れたくても決して忘れることのできないだろう
リッキーさんの今シーズンを象徴する屈辱のシーン。

4月19日5月3日も含めファイターズ相手には
稲葉選手の2つのHRを含め長打を数多く浴び
今シーズン実に3敗、2つのセーヴ失敗を記録しています。

来シーズン、その同じ轍を踏まないためにも
自分の状態が悪くともどんなピンチの場面でも
自分は何をよりどころに勝負の瞬間に挑み続けるか。

四球、いいじゃあないですか。どんとこいですよ。
それもまたリッキーさんの“代名詞”なのですから。

逆にそれが怖くて自信を失い“力”半分で勝負し
魅入られたように痛打され大量失点の繰り返しだけは
もう二度とみたくないですね。

さてリッキーさんが来シーズン、
どのポジションを掴むか、与えられるかは別にして

目指すところがクローザーなのであれば
準備すべきことはもうじゅうぶんにわかっているはず。

チャンスは目の前にあるうちにぜひ、
自らのその手でガッチリと引き寄せ掴んでください。


さてさて、話はまったく逸れますがライオンズの
オフィシャル・サイトのニュースに載っていた
iGoogle 用ライオンズ・テーマ、いいデザインですね。

これからもどんどん、いろいろなサービスが増え、
そして洗練されていくことを心から期待しています。