最近の雑感を映画に絡めて | 香椎攻防記

香椎攻防記

轟丸英士、アラフォー。
底辺窓際サラリーマン。
主に通勤時間中の時間潰しの駄文、ならびにダイエット記録です。

 愚痴めいたことや、どこかで目にした言葉、その瞬間の思いだったりとしたことは、職場で使っている手帳や、日記とも雑記帳とも言えないノートにしばしば書き殴っているのだが、久々にウェブ上に書いてみる。

 

 先週の金曜日、ボクシングジムでどっぷりと爽快な汗を流して、電車の中でレモンサワーを飲みながら喉を潤す、という健康に良いのだか悪いのだかわからないことをして帰路についた。家に帰ると、すでに少々赤ら顔の私に半ば呆れた妻に迎えられ、改めて晩飯を食う。ご飯は食わず、おかずをツマミに、引き続きビールを飲む。

相変わらずの、やさぐれた生活である。

 

 ふとテレビをつけると、「となりのトトロ」がはじまった。久しぶりだ。ビールを腹に流し込みながら、なんとなくテレビ画面を眺める。…いつのまにか引き込まれていた。

 子供の頃から何度も見たアニメだからだろうか、それとも日本人の誰もが心に持っているような古き良き日本の原風景、家庭の情景が描かれているだからであろうか。なんだかとてつもなく懐かしい。心温まる、とはこういうことか、というくらい、ほっこりとした気持ちになった。

 そしていつの間にか何故だか涙がこぼれてきた。「となりのトトロ」を見て、泣けてしまうとは思いもしなかった。「トトロ」を見たのは久しぶりだが、いつの間にか、私はこの作品を見る自分の視点が大きく変わっていたのだった。

 子供の頃、「となりのトトロ」を見るときはいつも主人公のサツキやメイに心情移入していた。つまり、あの映画を見ることで、自分自身が田舎道を軽快に走り回り、トトロに抱きついて、猫バスに乗って空を飛びまわっていた。

 しかし、今回は違った。サツキやメイを俯瞰して、客観視して、見ていた。言い換えれば、アニメの中で生きている子供たちを、大人としての視線で見て、その健気さ、無邪気さに心打たれていたのだ。それ故の涙だった。…「となりのトトロ」を見ながら涙ぐむ私を見て、酔っ払いを見る目で、さらに妻は呆れていた。

 この感情は、親になったからであろうか。それにしても、なんだか最近、やたらと涙もろい。

 

 「となりのトトロ」を見た数日後、会社帰りにケータイでSNSを見ていると、トトロに関するインターネット記事のリンクが投稿されていた。

 「となりのトトロ」のサツキと「火垂るの墓」の節子は、同じ昭和16年生まれという設定である、という記事だった。それを見た瞬間、鳥肌が立ち、電車のなかで涙があふれてきた。記事には、笑顔のサツキとメイ、隣にはおぶわれて不安そうな節子の顔が、ならんで対照的に掲載されていた。…もちろんアニメの世界であり、どちらもフィクションである。しかしながら、同じ年に生まれながらこうして全く違った運命となった対照的な二人の子供を思うと、フィクションながら、あの時代の日本は大変だったのだなあ、と今更ながら思った。もしかしたら「となりのトトロ」も、戦禍を潜り抜けた後の、あの物語だったのかな、なんてことも妄想したし、二本立て公開だった「トトロ」と「火垂るの墓」は、対比を見せるために、あえて同じ年生まれという設定にしていたんだろうか、とか。だとしたら、宮崎駿はすげぇな、、、とか考えたりした。...なんにせよ、やたらと最近、涙もろい。

 

 話は変わるが、先週の土曜日には「ロッキー vs ドラゴ/ロッキー4」という映画を映画館で見てきた。これは1985年公開の「ロッキー4」を、監督のスタローン自ら再編集した作品だ。「ロッキー4」はロッキーシリーズの中でも、最もヒットした作品だが、賛否のある作品であった。私はどちらかというと、「否」の立場なのだが、ロッキーシリーズは大好きであるので、早速公開初日に、博多の映画館まで出かけて行った。私は数年前に、ロッキーの舞台である、フィラデルフィアまで一人旅したほどの熱烈ロッキーファンなのだ。

 ロッキーのスピンオフ映画である「クリード2」を数年前に見に行った時は、まさかの劇場に私一人きりだった。今回もきっとそのような状況なのだろうな、と思っていた。しかし、劇場に行ってみると、なんと8割方席が埋まっていた。殆どが男性で、私よりも年長の人ばかりの様だった。私はリアルタイムで見た世代ではないが、きっとこの人たちは、青春時代に「ロッキー4」を劇場で見て、熱くなった人たちなのだろうな、と思った。

 ボコボコにされたロッキーが、まるで水戸黄門の展開のように、最後はドラゴを当たり前にKOして映画は終わった。再編集されていたので、何度も見た映画だというのに、見たことのない新しいシーンもあり、興味深く見ることができた。この映画に熱くなっていた中学時代のように血沸き肉躍るような感覚はなかったが、TV画面でしか見たことないロッキーとドラゴの戦いをスクリーンで見ることができて大満足であった。…この感じも良くも悪くも私が大人になったということだろう。

 

 さて、今晩は、先週の「トトロ」に続いて、ジブリの「耳をすませば」が放映されるようだ。この映画も過去に何度か見たが、中学生の爽やかな恋愛模様を描いたアニメである。中高時代をむさ苦しい男子校の、更にオトコ純度の高い柔道部で過ごした私にとっては、なんとも複雑な思いを感じさせてくれる映画だ。きっとまたビールでも飲みながら、画面にむかって「たわけ!」とか言いながら見ることになるのだろう。そしてまた妻に色々と突っ込まれるのだろう。

 

 明日は休日だが、「サバカン」という映画を見に行ってみようと思う。

なんだかここの所、映画を見る機会が続き、いろいろと感じたので徒然なるままに文章を連ねてみた。おっと、ブログらしからぬ超長文になってしまった。ま、いいか。