再び「amazarashiと八木重吉」 | 高校日本史テーマ別人物伝 時々amayadori

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高校日本史レベルの人物を少し詳しく紹介する。なるべく入試にメインで出なさそうな人を中心に。誰もが知る有名人物は、誰もが知っているので省く。 たまに「amazarashiの歌詞、私考」を挟む。


○八木重吉とamazarashi

 おっとォ、またぞろ並べたい欲求が高まってきちめェやしたね。
 これまで何回かやってきた試みではありますが、前回記事を書くのに詩集を読み返してたら最近の amazarashi 楽曲の歌詞に照らした新しい共有点が見えてきましたんで。今回はそいつを並記していこうってェ趣向です。

 今までの記事の中で重複する箇所もあるかも知れませんが、大丈夫。そもそも本人がどこで何を書いたかまったく覚えてない、つまりァこの世の誰一人として気にはしてねェって事で。
 では早速。

 あ、ちなみに掲載順はこちら↓の詩集の後ろっからの逆順です。ケツから読み進めてたら色々と見つけちゃったもんで。
( 詩集の後半は詩稿とか腹案がほとんどなので、タイトルが付いてない作品が多いです。)

◇『八木重吉詩集』白鳳社 1967年


①重吉「魂」・・

 ふしぎなのは魂である
 完(まった)いたましいは
 腐れている
 砕けているときのみ
 魂は完全である

▼amazarashi『ドブネズミ』・・

〈綺麗な物が欲しくて
 奪い合ってる人
 綺麗な物を無くして
 美しく泣いてる人 〉




②重吉 無題詩(一部抜書)・・

 雲がよくないものを
 すいとってくれる
 木だっていい
 木だってわたしを
 すいとってゆく
 めずらしくいい空だ
 木とくもが
 わたしをすいとってしまって
 わたしはむなしいものとなって
 すわっている

▼amazarashi『この街で生きている』・・

〈空白みたいな 何もない空を
 ずっと眺めていたら
 全部がもうどうでも
 いいやって思えて来るんだよ
 ちっぽけな悩みも 〉





③重吉 いくつかの無題詩稿から抜き書き、継ぎ接ぎ・・

 くれたくないものを
 くれてみたり
 もらいたくないものを
 もらってみたり
 やむをえないとはいうものの
 さぶしいよのなかである

 食うためとはいえ
 こんな生活をくりかえしてゆく
 死んでやろうという
 かんげきもうせた
 生きようという
 あざやかなねがいもない
 あるものは
 ひとすじのぜつぼうと
 げんめつのこころだ

 かくほそくするどく
 ひとすじのみちをゆけば
 かたるものすくなしとは
 おもえど
 ひとりもなしとしれば
 ときありて
 あやまてるみちならずや
 とおもう

▼amazarashi『ごめんねオデッセイ』(MV全体のテーマ)・・

〈行けども行けども
 降り積む雪ばかり
 終わりは見えない
 ごめんねオデッセイ
 あの春 眩い 淀みない灯火
 ここは寒い
 ください ください
 木漏れ日を 木漏れ日を 〉





④重吉 無題詩・・

 このよに
 てんごくのきたる
 その日まで
 わがかなしみのうたはきえず
 てんごくのまぼろしをかんずる
 その日あるかぎり
 わがよろこびの
 頌歌(うた)はきえず

▼amazarashi『かつて焼け落ちた町』・・

〈たかが百年生きぬ癖に
 生きる死ぬに悩みは尽きない
 喜びの歌は未だ止まぬ
 悲しみの歌もまた然り 〉




⑤重吉 無題詩・・

 ただまっすぐに
 街のとおりがつっぱしって
 いるのもかなしいが
 ふとしたまがりかどへきたとき
 そこになにかしら
 “ひとだま” のように
 ぬらりとさびしいものが
 ふらついているのを
 かんずることがある

▼amazarashi『さよならごっこ』・・

〈憂鬱が風に散らばり
 吹きだまって影になる 〉





⑥重吉 無題詩・・

 さむかぜのそらに
 みか月がかかっている
 くろいよる
 頰(ほお)にきずをつけて
 こころよいいたさを
 かんずるようなつき

▼amazarashi『数え歌』・・

〈三つ ミミズ腫れの三日月〉

▼amazarashi『アルカホール』・・

〈目の下のクマは黒い三日月〉




⑦重吉「焼夷(しょうい)」・・

 焼夷せん しかし もえさかるその日まで いかに 遠い日であるだろう! 朗朗と 焼け夷(たいら)げゆかるる 狂悩の 曠野(こうや)は 幻影となってうかぶが 現(うつつ)のわれは はてしない 無明である 嗟嘆(さたん)と 欣求(ごんぐ)は あやとなりゆく はかなさよ

 ああ 何と くらいのだ 何と くらい 日なのだ
 あるときは 追うに疲るる みずからの 骨のきしみ 肉のうめきさえ きこゆるぞ

 だが ゆかねばならぬ ゆかねばならぬ 傷つかば 傷をつつんで ゆこう 孤(ひと)りならば ただ ひとりでゆこう

▼amazarashi『季節は次々死んでいく』・・

〈疲れた顔に足を引きずって
 照り返す夕日に顔をしかめて
 行こうか 戻ろうか
 悩みはするけど
 しばらくすれば歩き出す背中
 そうだ 行かねばならぬ
 何はなくとも 生きて行くのだ
 僕らはどうせ 拾った命だ
 ここに置いてくよ なけなしの〉






⑧重吉 無題詩・・

 わたしみずからも
 だれにもしられず
 わたしのうたもひとにしられず
 二つのものがむなしく
 土にかえっていっても
 それでも悔いない
 せかいをみたい

▼amazarashi『つじつま合わせに生まれた僕等』・・

〈罪深い君も僕も
 いつか土に還った時
 その上に花が咲くなら
 それだけで報われる世界
 そこで人が愛し合うなら
 それだけで価値のある世界 〉





⑨重吉「故郷(ふるさと)」・・

 心のくらい日に
 ふるさとは祭のように
 あかるんでおもわれる

▼amazarashi『帰ってこいよ』・・

〈真っ黒な夜
 真っ黒な夜でこそ思い出せ
 生まれた町を
 今年も花が咲いたよ
 遠くで鳴る境内の祭り囃子 〉





⑩重吉「皎皎(こうこう)とのぼってゆきたい」・・

 それが ことによく
 すみわたった日であるならば
 そして君のこころが
 あまりにもつよく
 説きがたく 消しがたく
 かなしさにうずく日なら
 君は この阪路(さかみち)を
 いつまでものぼりつめて
 あの丘よりも
 もっともっとたかく
 皎皎と のぼってゆきたいとは
 おもわないか

▽重吉「断章」・・

 もえなければ
 かがやかない
 かがやかなければ
 あたりはうつくしくはない
 わたしが死ななければ
 せかいはうつくしくはない

▼amazarashi『超新星』・・

〈最悪な予感ばかりが
 付きまとい
 君は夜に仄(ほの)明るい
 月纏(まと)い
 どこまでも羽ばたけ
 どこまでも羽ばたけ

 失ったらもういいぜ
 僕だったら超新星
 眩しく輝いて
 消えても消えない夢
 駄目だったらもういいぜ
 灰になれ超新星
 目が眩む残像を
 空の隅に残す
 見上げてくれ葬式で
 見上げてくれ葬式で 〉




 以上ッ!

 久しぶりに重吉詩集を読み返せたし、amazarashi MVもぺたぺた貼れたし。
 ヨシッ、気は済んだ!!