月(幽白。蔵馬独白) | as you like?

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大学生のヲタ語り。銀魂土受けメインに(土方はキングオブ受だと信じてやみません←)、声、ボブゲと幅広く萌えています。最近は鈴木達央・羽多野渉がマイブームかな。たまに思い出したように音楽の記事も上げます。

夢を、見た。


満月が煌々と照らす夜。ひどく寒々しい、凍てついた空気が辺りを支配する。
広い野原だった。木々が鬱蒼と茂った森がまわりを囲み、暗い影を落とす。広い、広い野原。そこだけ少し明るい。そこには、何かがたくさんあった。全く動くことのなく、倒れたままの。そう、死体だった。
数えることすら億劫な程の死体の山のなかに、ひとり佇む者がいる。おそらくこの死体の山は彼が作ったのだろうが、そんな虐殺をしたと思えない、ひどく美しい男だった。その長い銀髪は、返り血を浴び、赤い月の光に照らされ、いっそう輝いて見えた。
男の顔はよく見えなかったが、口元がうっすらと笑んでいるような気がした。自分が倒した死体を足元に踏みつけて、支配者の微笑。いっそ凄絶な程の。
その光景があまりに美しく、もっと眺めていたいと思った。否。光景ではなく、その男に興味を引かれたのだ。そして、じっと見つめていると、男がこちらに気付いたのか振り返る。
表情を見ようとして、そこで夢は途切れた。

深夜のベッドで、蔵馬は飛び起きた。大きな赤い月をバックに、凄絶な笑みを浮かべた美しい男。ひどく印象的で、そのイメージがいつまでも頭に残る。
おそらく昔の自分だろう。記憶にはないが、死体の山などいくつも踏み越えてきた。バイオリズムが近付くと、いつもこの夢を見る。自分の中の妖狐の血が、人を殺したがっているのだろうか。
ふと、頬を濡らす温かいものに気付く。涙だった。この夢を見ると、起きた時はいつも泣いている。何故?恐怖に?絶望に?
もう眠れそうにないかな、と思ってベッドから身を起こして窓辺に向かう。偶然、今日は満月だった。夢とは違う優しい光に、何故か涙が溢れた。