風水の理気の中に八宅という考え方がある。
八宅派と言われ名前から素直に考えれば家宅を8種類に分けるんだろうなと思われる。
実際、家の向きによる8分類が行われ、同時に人間もその生年月日時により8タイプに分類される。
この場合どちらも易卦による8分類が使われるので家の場合は宅卦あるいは宅命、人間の場合には命卦と呼ばれる。
この宅卦、命卦は大きく2グループに分けられ、それぞれ東四宅(命)、西四宅(命)と呼ばれる。
ざっくり言えば東四命の人は東四宅の家に住むのがよく、西四命の人は西四宅に住むのがよいとされる。
しかし実際にやってみるとわかるのだがこの方法には大きな矛盾がある。
そのために八宅派は使えない、初歩の導入用理論で実用性がないなどと散々な言われようである。
これに対し中国占術界ではよくあることなのだが、使えないのは理論や技術ではなくその人間個人なのだという話が出てくる。
つまり八宅理論はちゃんと利用できるのであり、その真実の用法があまり表に出てこないというだけのことなのである。使えないと言っている人間はその用法を学んでいないだけなのだ。
私自身もそれが正解だと思っている。
ただ、もう一つ興味深い異論がある。
2021年に畏友田中要一郎氏が台湾の徐芹庭師の著作『徐芹庭堪輿學叢書(2)羅經堪輿學』を日本語訳された。邦題は『風水羅盤大全』という。
徐師はこの書の中では一般的な八宅の解説をしておられる。ちなみにこの原書は2010年7月発行となっている。
そしてここにもう一冊の徐師の著作がある。
タイトルはシンプルな『陽宅風水』という。
1997年11月に台湾で初版が発行されている。見てお分かりの通り上記の書より前に出ている。
この書で徐師は(P91)東四宅西四宅之説錯誤と題して以下のように述べてられる。
「陽宅は人を以て主となし、方向を以て用神となし、門窗(窓)を以て納気となす。方位座山を以て宅命となすにあらず。」
つまり宅卦(命)というものは家の向きで決めるものではないということである。
では何で宅命を決めるのかと言えば家ではなく住む人で決まるのだという。
東四命の人が住む家が東四宅なのであり、西四命の人が住むのが西四宅なのだそうだ。
なるほどそういうことなら宅卦と言わず宅命と言った方がぴったりくるような気がする。
このことはこの書の中でかなり強調されているのだがなぜかその13年後に書かれた書では一切触れられていない。
さて、これをどのように考えるべきか?