雪と月 第四話 別れと再会 | フィリピーナ・ウィッチ ~bahalana ang dios~

フィリピーナ・ウィッチ ~bahalana ang dios~

フィリピーナを知ってますか?フィリピンに住む、まさに東洋の魔女。
しかし、真正魔女のフィリピーナも存在します。
神様の思召すまま(bahalana ang dios)フィリピーナ・ウィッチと共に生きていけるのか!?

 

おはようございます。

毎朝のっけてるお話関係の記事は予約で書いてます。

7時ころに掲載するようにしてますので、ご参考まで。

今週も頑張っていきましょう!!

 

 

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では、雪と月 です。

 

第四話 別れと再会

 

揺り起こされて気が付くと、目の前に彼女の顔。

いきなりディープキスをされる。
朝日にキラキラと輝いた金髪が耳をくすぐる。少し濡れていた。
石鹸の匂いがする。眠っている間にシャワーをしたようだ。

「ごめんなさい、早くアパートへ帰らないといけない。
  毎日朝の7時にママのチェックがあるの。
   家に居ないと、ペナルティで罰金とられるから、さきに行きます。」


!?フィリピーナか?お前は??
と思いながら、既に投げキッスをしてドアを開けて出ていく彼女を見送る。
「電話番号は、あなたの携帯に入れおいたから。
  あとで電話してください!」


彼女が出て行ったあと、念のために自分の所持品を確かめる。
何も無くなったものは無い。
財布やハンカチなど、ポケットに入っていたものは綺麗にサイドテーブルの上に並べて置かれていた。
中身も抜かれていない。
スラックスやワイシャツはハンガーに掛けられ、靴下も下着も綺麗に畳まれていた。
携帯を見ると、確かに30分ほど前に彼女の携帯だと思われる番号にコールした痕跡が残っていた。
サイドテーブルに載っていたメモにも同じ番号が書かれていた。

番号を確かめ、アドレス帳に登録する。

シャワーを浴び、ゆっくりと着替えて部屋を出た。
ベッドに微かに残る彼女の残り香が昨夜のことを思い出させる。
今までも会ったその日にホテルに行ったことはあるが、どこか醒めたところがあった。
いくら体を繋いでも、心がどこか遠いところに行っている。
昨夜は体も心も楽しんだ一夜だった。
話をする時の真っ直ぐに見つめる彼女の笑顔。
そして、胸を真っ赤に染めて逝くときの彼女の苦しそうな顔。
全てが新鮮なのに懐かしいものに思えた。

フロントにキーを返し、カードで清算を済ます。
外は昨夜とは打って変わった秋晴れの温かい日差しがまぶしいくらいだった。



それから1週間、太平洋側の大きな港町へ出張で行っていた。
今年の春から大きなプロジェクトを抱えており、毎日2時か3時過ぎに仕事を終え、近くの居酒屋で食事。
会社で借りたマンションに帰り、少し寝てまた朝早く仕事に行くという生活を既に半年ほど続けている。
ウイークデイの一週間をこの港町で過ごし、週末の日曜日だけ自宅へ帰る。
そしてまた出張。その繰り返し。
その後彼女からの連絡も無く、私の記憶から消えかけていた。
毎日の仕事に疲れ、当時先輩に連れて行かれたフィリピンパブに嵌り、毎日のように居酒屋のあとにお店に行く。
ラストのチークダンスでその日が終わる。
そしてゆっくり眠る間もなくすぐ次の日の仕事。
プロジェクトのメンバーも頑張ってついてきてくれているが、ちょっとしたことで口論となる場面も多くなってきた。
疲れが重い鉛のように体と精神を押さえつけていた。
少し休みたい・・・・・。
金曜日、ようやく週間の仕事にケリを付け、自宅に帰る車の中。
はっ!と気が付くと携帯が鳴っていた。
目の前の赤信号に気が付き急ブレーキ。
そのまま交差点の中ほどまで侵入していた。
幸い、深夜の国道で対向車も交差する車もない。
信号が青に変わるのを確認し、少し進んだところでトラック用の休憩所に車を止める。
自動車道の入り口を左手に見て少し過ぎた辺りにあるわりと広い駐車場だ。
端のほうに大型のトラックが1台駐車している。
静かだ。
あと1時間ほどの道のり。

改めて携帯を確認する。
先日会ったロシアの女からだった。
シートを倒し、電話をかける。
ワンコールもしないうちに声が聞こえる。
「こんばんは。元気ですか?いまどこに居るの?
  もうわたしのこと忘れたでしょ。
   あれから電話もメールも無いし・・・・さみしい・・・。」

「ごめん、仕事が忙しくて・・・。
  ずっと出張先に行ってたよ。これから帰るところ・・・。
   今、お店?」

「そうです。
  ねえ、もうすこしでお店終わるから、どこかに連れて行って。」

「え?これからお店いけないよ。車だし・・・・。」
「お店はもう来なくていいです。あなたに会いたいだけ。
  いいですか?」

「わかった。
  んじゃあ、お店の前に行ったら電話する。」

「あ、お店の前はだめよ。ママが見たらあなたに会えなくなる。
  お店に連れてこい!って言われるから。」

「そうか、んじゃあ・・・近くの公園わかるでしょ?
  そこの傍にある裁判所側の赤十字病院の前に車停めとく。わかるかな?」

「わかった。じゃああとでね。待ってます。」

今日は何時に帰れるかわからない。明日になるかも知れないから・・・と女房には連絡している。
帰りが明日になっても問題は無い。
明日、事務所で残作業を済ませてから家へ帰ろう・・・。
そんな思いを巡らせながら、再び車を走らせる。
深夜の有料道路はトラックが多い。
対向車が居ないのを確認しながら追い越していく。
先ほどまでの眠気は吹き飛んでいた。
頭の中は、先週のベッドでの彼女の姿が何度もリフレインされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

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