こんにちは、健康水先案内人の岡田です。
今回は、最も古くからある治療法ともいわれる
吸い玉療法をご紹介します。

この療法には、他にもいろいろな呼び名があって、
吸角療法、カッピング、すいふくべ、真空浄血療法、
などがあります。

ようするに、U字型やV字型のコップ状の器具を使い、
タコの吸盤のように皮膚に吸い付けることで治療するのです。
 
ある中国人の医者のやりかたを例にとり説明すると、
湯飲みぐらいの大きさのガラス製で半球状の吸い玉を使い、
その中に小さな乾いた綿をいれて、その綿に火を付けるのです。

火を付けた直後、火が消えるまでに吸い玉を皮膚にあてると、
びっくりするぐらいピタッと、皮膚に吸い付きます。
見ていると、一瞬「熱くないの」と思いますが、
皮膚に付けた瞬間に火が消えるので熱くないのです。

中国の先生のところで修行していた当時は、
わたしも、この方法で行っていました。

日本でよく行われている方法は、
吸着面の反対側に弁のついた半球状のガラス製のカップを皮膚にあて、
電動や手動のポンプを使ってガラス玉を吸引します。

弁がついているので、吸引状態のままで保持できるので、
吸着時間によって、治療の刺激強度を調整できるのです。

特に、電動のものは、短時間に多くの吸い玉をつけられるので、
治療家の必需品といえます。
家庭で行う場合は、コンパクトな手動ポンプで充分でしょう。
http://item.rakuten.co.jp/waku2land/10000356/

このように吸引して疲労物質を吸い上げるのです。

わたしは、子供の頃から吸い玉療法の光景を見慣れているので、
ごく当たり前の、日常的な民間療法なのですが、
意外と、あまりご存じないという方が多いんです。

最近は、鍼灸や整骨の治療院で行っているところも増え、
けっこう、看板などに書かれているようになりましたが、
わたしが開業した頃には、かなりマニアックで、
知る人ぞ知る療法という感じでした。

長寿研究家の祖父が治療の中心にこの療法をすえていたこともあり、
その効果は、既に知っていましたから迷わず取り入れました。
 
いままで、ブームになったことはありませんが、
地味ではあるが、長い歴史をもつ伝統的な療法なのです。

ここで、ちょっと吸い玉の歴史にふれてみましょう。

この吸い玉療法は紀元前に栄えたメソポタミア文明で、
当時の医者に使われていたようです。
またギリシャの神殿跡からも、その記録が出土しています。

現代医学の祖といわれるヒポクラテスが、
吸角(吸い玉)を大いに利用していたという事実があります。
我が国でも、日本書紀や医心方に関連の記述があるようです。
 
この古代から伝わる療法は、現代においても
日本をはじめ、中国、台湾、韓国などアジアで、
英国、フランス、スイスなどのヨーロッパで、
ブラジルやアルゼンチンなど南米で、
というように世界中で行われています。
 
もちろん療法の名称や使う器具は違いますが、
吸盤のように皮膚に器具をあて、
吸い付けて行う原理はだいたい同じです。

これだけ、歴史があり、
今も世界中で行われている民間療法は少ないと思います。
ただ、その割には、ちょっとマイナーな感じは否めませんが。
 
つぎに、吸い玉の二つの方法について説明しましょう。
吸い玉療法には大きく分けて2種類の方法があります。
 
ひとつは乾角法といいます。
これは、血を出さないで吸い玉を皮膚に吸いつかせるやり方で,
老廃物の溜まった体液を皮下に集めて浄血する方法です。

もうちょっと、イメージしやすいように説明しますね。

たとえば口が吸玉だとして、腕のある部分を吸ってみましょう。
吸うと、その部分が皮下の血液が集められて赤くなります。
乾角法は、こんな感じです。

もうひとつは、湿角法といいます。
湿角法は、あらかじめ皮膚にわずかにキズをつけて、
その上に吸い玉を吸いつかせて、出血させ直接浄血する方法です。

湿角法は、あらかじめキズを付けているわけですから、
吸うと、その傷口から血が出てくるわけです。
ただ、それだけの違いですが、衛生上大きな違いがあります。

岡田も、開業当初は、湿角法も行っていました。
特殊な針で皮膚にキズを付けて、吸い玉をつけていました。
全部の吸い玉をそうするわけではありませんが、
ポイントと思われるところに傷をつけ吸い、血を出すのです。

多くの場合、そういうところはドロドロとした黒い血が出てくるのです。
ただ、あまりたくさん出したら、それが原因で貧血になるので、
総量でだいたい100mlぐらいまでに抑えていました。

そのうちに、時代が変わってきました。
注射針で感染したとか、そういう事故がクローズアップされてきたのです。
そして、自然とキズをつけにくい状況になってきました。

皮下に吸い上げるだけでも、充分に浄血できますから、
必ずしも血を出さなければならない理由はないのです。

打撲をしたとき、内出血をしますが、
1週間もすれば回収されていますよね。
これと同じように、老廃物を皮下に吸い上げれば回収されます。
 
そうした経緯で湿角法はしなくなり乾角法だけになりました。
また、刺激の強弱はそれまでのキズを付ける付けないではなく、
吸い玉の数や付ける時間によって調整するようになりました。

第2話につづく。

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